た の し 、 双 六
「おい!人生ゲームしようぜ!」
「…………!人生ゲーム……」
あのおデートから一週間後、
僕らはなぜか義経と不思議と仲良くなった。
那須先輩の籠絡は相変わらず続いている。
続いてはいるが、以前までのようにグイグイとは来なくなった。
何故かはわからないが…まあ過ごしやすくなったのは明瞭だ。
そして義経は僕らのグループに入ることになった!
教経とも至極当然、義経は仲良くなった。
そうして僕らは一緒に昼ごはんを食べるまでの仲になったのだ!
僕も物怖じしないで対話ができようになったし…
成長を感じられて嬉しいことこの上ない!
そんな中、教経が突如人生ゲームの箱を抱えて飛び出してきた。
「どうしたの?人生ゲーム!しようよ!」
その場にいた義経も口を開く。
「人生ゲーム?」
「うん人生ゲーム」
「逆から読んでみて」
「ムーゲいせんじ」
「ふふふ… (愉悦)」
「あ、きゃあああああああああ!!!」
「いや何もかかってなくないすか?」
僕こと芳一はおもわずツッコんだ。
そのツッコミを華麗にシカトし、義経は続ける。
「にしても『ムーゲいせんじ』かぁ…」
「なんで逆さ文字で理解できてんだよ」
「なんでそんな破廉恥なこと復唱できんのよ!」
「お前らにとって『ムーゲいせんじ』ってなんなんですか?!僕にも教えて!履修させてよ!」
すると義経が話しかける。
「あれ…?『僕』…?」
あ、やばい…
僕は途端にシャーペンを握り………
教経に台パンされた。
「え?怖…え?」
「人生ゲーム、しようぜ!」
しつこく誘う教経にとうとう義経が言葉を返す。
「いや…いいよ?別にいいんだよ?やっても……やってもいんだけど……今ご飯食べてんだよおおおお」
そう!今は絶賛お昼休み5分経過中である!
机上に弁当やサンドイッチを広げ、午後ティーを飲みながら談笑中だったのだ。
そんな中、教経が人生ゲームを小脇に抱え、登場した…というのがことの顛末である。
「ま、このナゲット食べ終わったら考えてもいいけど?」
義経はそう言うと、売店で買ってきた親指2本分大のナゲットを一つ取り出し、
凝視した。
チラリ。
義経が教経の方を見ている。
またもやナゲットを凝視する。
これを何度も、
何度も
何度も
何度でも
義経は繰り返し…
やっと口の中に放り込んだ。
「ん〜〜〜〜♡おいしーーーー!」
それを見かねたのか、教経は咄嗟に義経のナゲットの袋を手に取り、
一気に喉へ流し込んだ!
モッシャモッシャ「しようぜ!人生ゲーム!」
「よっすぃ…わかった……早く貴様がゴールできるように努めてやるよ…」
「え人生ゲーム始めようとしてません?!」
僕の叫びの後、間髪入れずに…
「お?人生ゲームかな?いいねえ懐かしいねえ!」
後ろの方で柔らかい声が聞こえた。
誰だろうと後ろを振り向く。
そこにいたのは…巴御前であった!
「と…巴御前ん?!」
「おっす鏡介君!」
「な…なんでアンタがここに…?」
流石の教経も吃驚仰天である。
「いやさーあの苺戦争あったじゃん?あれ以来仲良くなってねー」
「いやまじでなんでよ」
教経の華麗なツッコミが決まった。
まあそれも当然。
女子の喧嘩はもっと泥臭いものじゃなかったか?
「しかし、人生ゲーム…懐かしいね!あらかじめ敷き詰められたコマを渡ることで、実際の人生も誰かに操作されているに過ぎず、私たち自身、敷かれたレールの上を走ることしかできない木偶人形なんだってことを伝える知育ゲーム!」
「あれ?人生ゲームってなんだっけ」
僕は思わず呟いてしまった。
「まあまあ!やろうやろう!」
乗り気な2人に気圧され、義経も渋々プレイすることになった。
机上に卓袱台分の大きさの盤が敷かれる。
小さい頃は大きな盤だと思っていたが、高校生にもなってみてみるとそこまで大きくないような気がするものだ。
教経は駒を僕らに仕分け、時計回りに義経 (橙)、僕 (緑)、巴御前 (赤)、教経 (青)の順で回ることになった。
因みに回す順は教経の独断である。
異言がなくてよかったよかった!
「よっし!じゃあ回していってね!」
「絶対勝ってナゲットせびってやる!」
義経は殺る気満々でルーレットを回した。
カラカラと軽い音が響く。
ピタッ…
ルーレットは6を指し示していた。
「おー12中の6かあ…良くも悪くも…!」
義経は指先でコマを辿り、その先の6番目の文章を読んだ。
「えー、何何ー?『初めて立つことができた!しかしその拍子で転んで…頭をぶつけて死亡……最初から』…ざっけんじゃないよぉ!」
「えー結構ダークな世界観だねー」
巴御前が言った。
「まぁ実際の人生ってこんな風に非常だしね」
「ゲームっすよね?これって……まぁ次は僕か…」
僕はルーレットの芯を摘み、回転をかけた。
ピタッ…
ルーレットは1を指し示す。
「1だ…『堕胎された、最初から』はあああああああああ?????????」
「まあ実際の人生はこんなだしね」
「んなわけねえだろです!もっと子供大切にしろです!MADE IN 裏社会です?!これ!」
昭和の漫画のようにえげつない死に方を強要される。
人生ゲームは此処迄重い内容だったのか?
……いやそんなわけない。
「次は私だねー」
巴御前がルーレットを回す。
「っしゃあ!12だぁ!へっへーお先ー」
巴御前は駒を動かし、その先の文を読む。
「『入園式!しかし天から“火の魔王ラー“が降りてきて、無惨にも殴り倒されてしまった!最初から』おいちょっと待てぇこのクソゲー!」
とうとう巴御前がキレた!
「え?どしたんよ?」
「おかしいだろ!なんで火の魔王が降りてくんだよ!どんだけ私のこと殺したいんだよ!しかも『火の魔王』だろ?!火ぃ使えや!殴っとんじゃねえぞ!」
「あ、そーだ!この人生ゲーム5を出すまで一生前に進めないんだった!」
「なんで忘れてんだよぉ!忘れんな!メモれ!体に書け!」
「嘘でしょアタシスタンド攻撃受けてんの?」
巴御前の口撃がとまらない!
「人生ゲームは子供に社会の現実見せる知育ゲーだってのに…!」
「あんた人生ゲームのことなんだと思ってんの?」
義経が横槍を刺し出した。
「ま、まぁ…今度はアタシの番……みてなって!」
カラカラカラ……
ルーレットが回る音が響く。
「お!やった5だぁ!」
「ねえなんでこいつに5が出んの?」
「知らね」
「知んないよ」
僕らは教経に隠れて耳打ちしあったのである。
そんなことなどどうでもいい!
5の面には一体何が書かれてあるのか?
「『養子に出された!だけどのその養親は某大会社の取締役だった!絶好調だぜキャホー!』、だってさ!」
「ふざけんなやあああああああああ」
巴御前がまたキレた!
「なんだこのクソゲー?2進法かよ!0と1しかねえのかよ?おおおん?!」
「これアナログだよ?」
「わああってんだよ!『ひよ』だよ『ひよ』!この『比喩』っこ!」
「逆じゃない?」
義経も再度横槍を刺す!
ただし、それを聞き入れず巴御前はまだ続ける!
「こんなの人生ゲームじゃない!こんな運ゲーと資本主義ゲーを足して2で割ったみてえな…」
「え?でも確か貴女…こーゆー系こそ人生ゲームだって…」
僕は思わず問うた。
「ちがーーーーう!なぁにが資本主義だ!共産主義こそ正義なんだよ!」
「…あ?」
「は?」
巴御前の発言に思わず義経&教経は唸った。
「お前は…ここで…殺す!」
「やってみろよぉおおおお!五カ年計画ばんざーーーーい!!」
「てめえに経済格差の恐ろしさ見せてやるよおおおおおお!!」
「もうやめてくださあい!」
僕はもう見ていられなくなり、叫んだ。
「もうやめましょうよ!これ以上やるとこのコンテンツが政治的な勧誘を目的としていると見做され…ひいては垢BANですぞ?!いいのか?この政治厨供!」
「……はぁい…」
僕の渾身の一声で3人とも黙りこくって席に座ってしまったのでした。
全国のネトウヨやパヨクに告ぐ!
扇動は程々にな!




