Ep.72 絶品魚料理
港町レアルタに到着した一行は、潮の香りに誘われて海沿いの活気ある食堂へと足を踏み入れました。極東の「寿司」のような生食文化こそありませんが、そこには港町ならではの豪快で多彩な魚料理が溢れていました。
・ 港町レアルタの「火を通した」絶品魚料理
白身魚の香草ムニエル:「バターの香りがたまらないわね。カイル、一口食べてみる?」とリリィが勧める一品。小麦粉をまぶしてカリッと焼き上げられた魚は、中が驚くほどふっくらしています。
大魚のトマトとガーリック煮込み:ガイアスが満足げに食べている、厚切りの身を煮込んだ料理。ニンニクの風味が食欲をそそり、レベル上げで疲れた体に活力がみなぎります。
小魚の黄金フリット:「先代様、これならスナック感覚で食べられますよ!」とレオンが差し出す揚げ物。サクサクの衣が楽しく、つい手が止まりません。
貝と海魚の白ワイン蒸し:「海の旨味がすべてこのスープに溶け込んでいます。勇者様、温かいうちにどうぞ」とセシリア。素材の味を活かした優しい味わいです。
「……どれも美味しいけど、極東ではこれを『生』で食べるのか。不思議な国だぜ」
ガイアスは魚の骨を綺麗に避けながら、まだ見ぬ異国の地に思いを馳せます。
フローラも、香ばしく焼かれた魚の身を大事そうに食べながら、「勇者様……つぎは、さくら……?」と、旅の続きを楽しみにしているようです。
カイル、お腹も満たされ、港町での休息はバッチリです。
「よし、効率よく動こう。市場で資金を作りつつ、そのまま最高の船乗りを見つけ出すよ!」
カイルは軍師としての手際のよさで、仲間たちに的確な役割を振りました。
・ 市場での素材売却:軍師の商才
港の巨大な市場に、道中でガイアスとレオンがなぎ倒してきた「岩塊のゴーレムの核」や「ワイバーンの蒼鱗」を持ち込みます。
「ちょっと、その鱗ならもっと高く売れるわよ! 私の魔法で磨き上げたんだから!」
リリィが横で商人を威嚇(交渉)し、セシリアが聖女の微笑みで「適正な価格」を促すことで、買取価格は跳ね上がりました。
軍資金の獲得: 莫大な金貨(これで極東の最高級な着物が全員分買えます!)
カイルの心境: 自分の手で稼いだお金でみんなを喜ばせる楽しさに、また一つ「人間」らしさを感じています。
・ 腕利きの船長探し:魔王の威圧と軍師の眼光
市場の奥にある「荒くれ者の酒場」へ。そこには極東への難所『霧の海』を越えられる数少ない船乗りたちが集まっていました。
「おい、極東まで最短で行ける船を探してる。……腕に自信のある奴は名乗りを上げろ」
ガイアスが入口のドアを蹴破らんばかりの勢いで(実際はそっと)入ると、酒場が静まり返ります。隣でレオンが聖剣の柄をカチャリと鳴らし、無言の圧力を加えます。
そんな中、カイルは一人、酒場の隅で静かに地図を眺めている隻眼の老船長に目をつけました。
「船長、その地図……『霧の海』の逆流ルートだよね? 僕たちを乗せてくれないかな」
老船長は驚いてカイルを見ました。レベル36の少年が、自分しか知らないはずの難ルートを見抜いたからです。
「……ほう。ガキのくせに良い目をしてやがる。俺の名はバルト。俺の船『海竜丸』なら、一週間で極東の入り口まで届けてやるよ。ただし、道中の魔物避けはお前さんたちの仕事だぜ?」
こうして、極東行きの高速船が確保されました。
船には十分な保存食(セシリア特製の干し肉とリリィの乾燥果実)が積み込まれ、いよいよ明日、出航です。
「カイル、明日は早いんだ。さっさと布団に入れ」
ガイアスが、いつものようにカイルの生存確認を兼ねて、寝具の具合を厳しくチェックしています。
「そうだね。船旅は体力が勝負だし、明日の出航に備えて今日はしっかり休もう」
「はい、先代様! 私も隣の部屋で、何かあっても光速で駆けつけられるよう、装備を整えたまま仮眠に入ります!」
レオンは気合が入りすぎて、鎧を脱ぐのすら忘れていそうですが、セシリアに優しく諭されてようやく横になりました。
「ふふ、極東の夢でも見てくださいね。おやすみなさい、カイル様」
セシリアが部屋の明かりを落とし、小さな魔導ランプだけが淡く光ります。
「カイル……ふね、こわくない? いっしょに、ねる……」
フローラが、港の波の音に少しだけ耳を震わせながら、カイルの腕の中に潜り込んできました。尻尾が心地よい抱き枕のようにカイルを包みます。
「……おやすみ、みんな。明日の朝、水平線の向こうへ出発だ」
カイルはフローラの柔らかな温もりを感じながら、目を閉じました。
窓の外からは、寄せては返す波の音と、明日乗る『海竜丸』が軋む音が聞こえてきます。
カイルのレベル: 36
現在の所持金: 潤沢(極東での爆買いが可能)




