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Ep.51 ビーチ戦

・買い出し部隊の「悲哀」

一方、市場ではガイアスが額に汗を浮かべていた。


「……おい店主! マンゴーを全部で100個だ、担げるようにまとめろ! まったく、あのガキ共め、今頃海で浮かれやがって……。カイル、溺れてもしらねぇからな」


文句を言いながらも、ガイアスはカイルたちのために一番甘そうな実を厳選していた。


「ふふ、ガイアス様。カイル様はきっと、あなたが戻るまでに『素敵な出迎え』を用意して待っていますよ。例えば、砂浜に埋められるとか」


その隣で、セシリアが穏やかに微笑む。彼女もまた、ガイアスが背負う荷物の中に、自分の着替えなどをちゃっかりと詰め込んでいた。




・ ビーチの「悪巧み」


その頃、ビーチではカイルが作戦を立てていた。


「よし、フローラ。ガイアスが戻ってくる前に、リリィの魔法を使ってこの砂浜に仕掛けを作っておこう。戻ってきた彼を驚かせるんだ」


カイルは、市場から戻ってくる大男を驚かせるための、最高に「南国らしい」いたずらの計画を立て始めた。

しかし、状況は一変する。

白い砂浜に突如として現れたのは、森の魔物とは比較にならない生命力を持つ、異形の姿をした『深海の略奪者』だった。

Lv 22のカイルと、レオン、リリィ。そして静かに控えるフローラ。この窮地を脱するため、カイルは即座に戦士としての意識を切り替えた。




・ ビーチの急襲:四人の防衛戦

「……みんな、落ち着いて! フローラ、僕の後ろへ。レオン、リリィ、こいつは森の奴らとは動きの質が違う。波の動きに合わせてくるぞ、惑わされるな!」


カイルは砂遊びの道具を捨て、腰の魔剣『残響の白銀』を抜いた。鍛え上げた洞察力が、怪物の触手が動くわずかな予備動作を捉える。


「先代様、お任せください! 砂の上は足場が悪いけど、僕のスピードなら……ッ!」


レオンは波打ち際を蹴り、空中へと跳躍した。怪物の硬い珊瑚の皮膚に斬撃を浴びせるが、奴は海水を吸い込んで瞬時に傷を再生させてしまう。


「カイル! この作りかけの砂の仕掛け、そのまま拘束魔法の媒体に使うわよ!」


リリィが詠唱を開始する。カイルたちが積み上げた砂の壁が魔法で巨大な鎖へと変化し、怪物の触手を地面に縫い付けた。

カイルは、背後に控えるフローラの安全を確保しながら、冷静に敵の死角を指示し、自らも魔剣を構えて踏み込む隙を伺う。水分がある限り再生する厄介な特性に対し、カイルたちの連携が試されようとしていた。



・ 戦況:交戦中

カイル: 敵の再生能力を見極めつつ、リリィとレオンに指示を送る。

怪物: 潮風と海水を利用し、何度でも再生を繰り返す。

フローラ: カイルの判断を信頼し、その背後で静かに戦況を見守る。




・絶体絶命の「空白」


怪物が大きく口を開け、高圧縮の海水を弾丸のように放とうとしたその瞬間。


「…………おのれぇ……ッ!! 僕がいない隙に、何さらしてやがるッッ!!」


遠くの丘から、マンゴーのカゴを背負ったままのガイアスが、衝撃波を纏って弾丸のように飛んできた。その背後からは、セシリアの放つ聖なる光が海を割るように射し込んでいる。


「ガイアスたちが来るまであと10秒……みんな、それまで持ちこたえるよ!!」


かつての全能の力はなくとも、今の僕には信頼し合える仲間がいる。独りで全てを解決していた神の頃よりも、今の僕には彼らの存在がずっと力強く感じられた。




・ 海辺の共闘:フローラの参戦


「……大きいな。ターゲットを捉えた。みんなの動きは、僕が全部繋いでみせる!」


僕は魔剣『残響の白銀』を構え、怪物が放つ高圧水流の予備動作を読み切った。


「レオン、指示に従って! 0.1秒後の隙……そこだぁぁ!!」


僕の指示に合わせ、レオンが砂を爆発させて跳躍。珊瑚の鎧の継ぎ目を、神速の斬撃が裂く。だが、怪物の再生速度がそれを上回ろうとしたその時、銀色の閃光が視界をよぎった。


「……カイルには、指一本触れさせない!」


僕の背後で見守っていたフローラが、目にも留まらぬ速さで地を蹴った。両手のダガーが陽光を反射し、舞うような足捌きで怪物の触手を次々と細切れにしていく。Lv 65の圧倒的な手数は、怪物の再生能力すら凌駕するほどの嵐となって敵を圧倒した。


「リリィ、今だ! 合図通りに! 『砂の監獄サンド・プリズン』、最大出力!!」


フローラが切り開いた隙を逃さず、僕が足元を指し示す。リリィの魔法が発動し、砂浜が巨大な渦を巻いて巨体を深奥へと引きずり込んでいく。




・ 合流:五人の共鳴


「…………待たせたな、お前らッッ!!」


ドォォォン!! と大地を割り、ガイアスが怪物の頭上から彗星のように着地した。その背後ではセシリアの放つ聖なる光が海面を割り、闇を浄化していく。


「カイル! 指示を出せ! どこを叩けば、こいつは一番堪えるんだ!?」


魔王であるガイアスですら、今の僕の判断を信じ、その指示を待っている。


「カイル様、お怪我はありませんか? さあ、この騒がしい海を、静めて差し上げましょう」


セシリアの強力な聖法気が戦場全体を包み込み、僕たちの力を底上げしていく。




・ 戦いの終わりの夕凪


「……よし、みんな! これで決めるよ!! ガイアス、そこだ!!」


僕が剣先で敵の核を指し示すと同時に、全員の力が一点に集中した。巨大な海の怪物は、光の粒子となって波の間に消えていった。


(……ああ。独りで戦っていた頃にはなかった、確かなぬくもりがある。互いに背中を預け、命を繋ぎ合う。これこそが、僕がずっと求めていた『絆』なんだ)


カイルは魔剣を鞘に納め、肩で息をしながら仲間たちの笑顔を見つめた。共に泥にまみれ、無事を喜び合う。その胸に広がる熱い手応えは、孤独な全能では決して得られなかった、人間としての真の強さだった。




・ カイル

レベル: 22→26 (みんなとの共闘でレベルアップ!)

状態: 「みんなと一緒に戦い、共にあることを感慨深く感じている」


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