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Ep.50 新しい旅

・街の噂:珊瑚の海と禁断の果実


とある日、街中で一つの噂を耳にした。この街よりずっと南に、美しい珊瑚礁の海と美味しい南国フルーツが溢れる湾岸都市があるという。


「南の果てにある都市『コーラル・ベル』。そこには宝石のような珊瑚礁が広がり、一口食べれば天国が見えるほど甘い『太陽のソーラ・マンゴー』が実っているらしい……」


広場で旅人が語るその話に、僕は静かに胸を躍らせた。

Lv 22となり、魔導と剣技の統合に励む日々。ガイアスの隣に立つためのLv 99という高い目標を掲げた今、今の僕たちに必要なのは、新しい場所での経験と、少しの休息かもしれない。


(……珊瑚礁か。みんなを連れて行ったら、どんな顔をするかな。ガイアスは暑さに不平を言いそうだけど、レオンやリリィはきっと喜ぶはずだ。フローラも、綺麗な海を見たら癒やされるだろうね)


僕は頭の中で旅の計画を練りながら、足早に屋敷へと向かった。




・屋敷への招集:それぞれの期待


屋敷に戻るなり、僕はリビングに集まっていたみんなに向かって声を上げた。


「みんな、聞いてくれ。次の目的地が決まったよ。南の湾岸都市、コーラル・ベルだ。そこで少しの間、腰を落ち着けて過ごそうと思う」


「あぁ? 南だと? 暑苦しいのは御免だぜ」


ガイアスはぶっきらぼうにそう言ったが、その手はすでに、カイルが海で溺れないようにと特大の浮き輪を準備し始めている。


「珊瑚礁の海……素敵ですね。カイル様、日焼け止めや、その……新しい装いを用意しなくてはなりませんね」


セシリアは少し頬を染めながら、旅の支度を頭に浮かべて微笑んだ。


「南国フルーツ! 食べ尽くしてやるわ!」

「先代様! 僕、海の上を走る特訓をします!」


リリィとレオンも、それぞれの目的を見つけて大いにはしゃいでいる。その隣で、Lv 65のフローラは静かに僕の袖を掴み、期待を込めた眼差しで頷いてくれた。




・始まりの航海:青い海を目指して

移動手段は、リリィの魔導技術を詰め込んだ魔導船を採用することにした。


僕は船首に立ち、隣に並ぶフローラと共に、風を切って進む船から眼下の景色を眺める。どこまでも続く碧い海。そして前方には、噂に聞くコーラル・ベルが宝石を散りばめたように輝き始めていた。


「よし。美味しいフルーツと、綺麗な海。そこで、今の僕たちがどこまでやれるか試してみよう」


自らの足で歩み始めた僕の旅路は、南国の太陽の下で、新たな一歩を刻もうとしていた。




『碧海への降下 、湾岸都市の歓迎とそれぞれの夏』


・雲の上の語らい:魔導船の微風

「カイル、みて! 雲が綿菓子みたい。風がとっても気持ちいいね」


フローラは僕の服の裾をそっと掴みながら、身を乗り出すようにして空の旅を楽しんでいた。彼女が隣にいてくれるだけで、屋敷の空気はふわりと和らぐ。ガイアスの隣に立つために厳しい修練を積んできた僕にとって、彼女の無垢な笑顔は何よりも心を解きほぐしてくれる「癒やし」そのものだった。


(……神だった頃、僕は一瞬でどこへでも行けた。でも、こうして仲間の隣で風の冷たさを感じ、目的地が近づくのを待つ時間は……悪くない。いや、最高だ)


背後の甲板からは、相変わらずの賑やかな声が聞こえてくる。


「……おい、リリィ! この船、少し揺れすぎじゃねぇか! それとカイル、さっきから俺の背中に変な魔導具を仕掛けるのをやめろ!」


ガイアスがぶっきらぼうに吠えるが、その肩にはすでにリリィの悪戯か、奇妙な音を出す魔導具が定着している。


「見てください、カイル様。あの湾の入り口、本当に珊瑚が……。あそこで過ごす時間は、きっと一生の宝物になりますね」


セシリアの手には、いつの間にか用意された「お揃いの麦わら帽子」が握られていた。




・ 目的地:『コーラル・ベル』の全貌

ついに魔導船が高度を下げ始めた。白砂のビーチ、色鮮やかな市場、そして潮風に乗って、ふわりと甘いフルーツの香りが漂ってくる。


「よし、みんな。着陸態勢に入るよ。フローラ、しっかり掴まって。僕たちの休暇の始まりだ!」


港に降り立つなり、僕はあえてガイアスに買い出しを兼ねた調査を頼むことにした。


「ガイアス、悪いけど例のマンゴーをみんなの分、頼んだよ。僕たちは一足先に海の状態を確認してくるから」


「……チッ、体よく荷物持ちを押し付けやがって。……おい、あんまり沖まで行くんじゃねぇぞ!」


文句を言いながらも、ガイアスは僕たちの安全を気遣いながら、賑わう市場の方へと消えていった。




・ 常夏の休息:コーラル・ベルの青い海

「……ふふ、最高の眺めだ。まずはこの透明な海を堪能させてもらおうか」


Lv 22となり、戦士としての自覚も深まった僕だが、今日ばかりは日差しを浴びてキラキラ輝く波の音に身を委ねることにした。


「先代様! 見てください、僕の泳ぎ! 訓練の成果で、魚を追い越せるようになりました!」


レオンは宣言通り、凄まじい水飛沫を上げて沖へと消えていった。


「レオン、それは水遊びというより猛特訓に見えるよ……」


砂浜ではリリィが怪しい魔導式を書き始めている。


「カイル、この珊瑚の粉と海水を混ぜると、一瞬で固まる『防壁』ができるわよ。これで戻ってきたガイアスを驚かせちゃいましょうか?」


相棒の悪巧みは、南国でも絶好調のようだ。


一方の僕は、浅瀬で小魚を追いかけるフローラの隣で、穏やかな波の音を聞いていた。神の力ではなく、自分の足で辿り着いたこの場所で、大切な家族と過ごす時間は、次なるLv 99への道のりに必要な、何よりの活力になるはずだ。


【カイル(航海者)】

* Lv: 22

* 状態: 「心地よい潮風に吹かれ、心身ともにリフレッシュ中」

* 所持品: セシリアとお揃いの麦わら帽子

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