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Ep.37 歩くパワースポット

〜4日目〜


・4日目・午前:『聖域の号泣』

中庭で、レオンが作った「もふもふぬいぐるみ」を抱いて日向ぼっこをしていたフローラ。カイルは彼女の隣に座り、その小さな頭を優しく撫でました。


「フローラ。君が共に来てくれたこと、僕を『勇者様』と呼んで笑ってくれること。……心から、ありがとう。君の笑顔が、僕の暗かった世界を一番眩しく照らしてくれたんだ。君は僕の、かけがえのない宝物だよ」


1. フローラの反応(純粋無垢な爆発):「………………えうぅ……っ」

フローラは大きな瞳をうるませたかと思うと、カイルの胸に飛び込んできました。

「……勇者様ぁぁ!! 勇者様こそ、フローラを助けてくれて、ありがとうなのぉぉ!!」


2. 号泣の伝染:

フローラがわんわんと泣き出すと、近くで草むしりをしていたレオンも、洗濯物を干していたセシリアも、もらい泣きをして屋敷中が「嬉し涙の洪水」に。


3. 特性:『絆の深まり』:

フローラはそれから一歩もカイルの側を離れなくなり、カイルの服の裾をギュッと握りしめて「……勇者様、ずっと一緒だよぉ」と呟き続けました。



・ 4日目・午後:『魔王、ついに壊れる』

カイルがフローラを連れて廊下を歩いていると、曲がり角で鉢合わせたガイアスが、カイルと目が合った瞬間に「……ッ!!」と露骨に肩を跳ねさせ、回れ右をして逃げようとしました。

しかし、カイルは逃しません。


「ガイアス、待って。……さっきフローラと話していたんだ。君がいなければ、僕たちはこうして手をつなぐことさえできなかった。……君の不器用な優しさに、いつも救われている。ありがとう」


1. ガイアスの反応(機能停止):「…………………………」

彼は足を止めたまま、後ろ姿のまま固まりました。そして、ゆっくりと振り返った彼の顔は、「これ、人間がなっていい色か?」というほど赤く、瞳は焦点が合っていません。


2. 魔王の遺言(?):

「……テメェ、……いい加減に……しろ。……俺は……俺は…………」

彼は何かを言いかけましたが、そのままドォォォン!!と、背後の壁に頭をぶつけて悶絶。そのまま

「……あ、ありがとうじゃねぇよ……バカ野郎……」

と小声で呻きながら、這うようにして自室へ消えていきました。



・ 4日目の夜:『夕食の異常事態』

今日の夕食は、もはや「食事」ではなく「カイル様への奉納の儀」となりました。


* セシリア: 「カイル様、今日はお声を発するたびに私が『はい、ありがとうございます!』と先回りしてお伝えしますね」

* リリィ: 「もう、私も泣きすぎて魔力が空っぽよ! カイルのせいなんだからね!」

* ガイアス: 部屋から出てこず、ドア越しに「……メシは、……そこに置いとけ……。……顔が見れねぇ……」と、ひきこもり魔王が誕生。


【現在のステータス:感謝の臨界点】

* カイル: Lv 1 / 歩くパワースポット(触れると相手が泣く)

* 屋敷の状態: 「ありがとう」と言われることが「致死量の幸福」になり、全員がカイルとの接触を恐れ(期待し)ている



〜5日目〜


・ 5日目・午前:『魔王の城(自室)への突入』

「……ガイアス、開けておくれ。朝食だよ」


返事がないので、カイルはセシリアから預かったお盆を片手に、予備の鍵(家主の特権)でガチャリとドアを開けました。そこには、ベッドの上で頭を抱え、

「……ありがとう……だと……? ……クソッ、……あいつ……」

と呪文のように呟いているガイアスがいました。


1. カイルの「至近距離の感謝」:

カイルはベッドの端に座り、彼の手をそっと握りました。

「ガイアス。昨日、返事を聞けなかったから。……僕をこの世界に繋ぎ止めてくれて、本当にありがとう。君がいてくれるから、僕は『Lv 1の人間』として、こうして生きていられるんだよ」


2. ガイアスの反応(完全沈没):

「……………………っ」

ガイアスは顔を上げることができません。握られた大きな手が、小刻みに震えています。

「……テメェ、……もう……いい……。……わかった、……わかったから……!!」

彼はそのまま枕に顔を埋め、

「……俺もだ……バカ野郎……」

と、消え入りそうな声で、人生で初めての「お返し」を口にしました。


3. 特性:『心の壁の崩壊』:

魔王のプライドが、カイルの真っ直ぐな言葉の前に完膚なきまでに砕け散りました。



・ 5日目・午後:『肩揉みの地獄(至福)』

午後は、疲れ切った(主に照れ疲れの)みんなを労うため、カイルが一人ひとりの肩を揉んで回ることにしました。


1. レオンへの肩揉み:

「レオン、いつも警備をありがとう」

揉み始めた瞬間、レオンは「ひゃぅっ!?」と変な声を上げ、喜びのあまり魔力が暴走。庭の噴水が10メートルの高さまで吹き上がりました。


2. リリィへの肩揉み:

「リリィ、いつも実験に付き合わせてありがとう」

「……ちょ、ちょっと! 触らないでよ! 心臓が爆発しちゃうじゃない!!」

と叫びながら、彼女の頭からはポコポコと小さなハートの煙が立ち昇ります。



・ 5日目の夜:『家主の逆転勝利』

夕食時、ようやく部屋から出てきたガイアスは、カイルの顔をまともに見られず、ずっと横を向いたまま無言で食事をしています。


* セシリア: 「カイル様、今日は皆様の魂が……なんと言いますか、……昇天しかけておりますね」

* フローラ: 「勇者様、今日はみんな『ぷにゅっ』て音がすごく大きいよ! 幸せの音だね!」


【現在のステータス:聖域の完成】

* カイル: Lv 1 / もはや存在が「慈愛」そのもの

* ガイアス: 状態 「完敗」(カイルの顔を見るだけで顔面が赤くなる呪いにかかりました)

* 屋敷の状態: 「ありがとう」の嵐により、全員の絆が物理的に目に見えるほど(キラキラと)輝いている



〜6日目〜


・ 6日目・午前:『ふとした瞬間の、不意打ち』

朝の廊下。掃除中のレオンと、洗濯物を持ったリリィが、バッタリカイルと鉢合わせました。二人は「くるか!? 感謝の波動がくるか!?」と身構えます。


「……あ、二人とも。いつも屋敷を綺麗にしてくれて、ありがとう。二人が笑いながら掃除してる声を聞くと、あの日、一人で誘拐されてた時の怖さを忘れられるんだ」


1. レオンとリリィの反応(致命傷):

「「…………っっ!!」」

ただの感謝ではなく、「誘拐の時の恐怖を救ってくれた」という、彼らの最も守りたかった部分を肯定する言葉。二人はその場に膝をつき、

「先代様……!」

「カイル……!」

と、崩れ落ちるように嗚咽(喜び)を漏らしました。


2. 屋敷の浄化:

二人の感激が共鳴し、廊下の埃が一瞬で消滅。ピカピカを通り越して、床が鏡のように輝き始めました。



・ 6日目・午後:『魔王の、静かなる敗北』

中庭で、ガイアスが明日の「特大サービス(何かは知らないが)」に備えて、庭木の剪定せんていをしていました。彼はカイルが近づく気配を感じて、背中を向けたまま言います。


「……けっ。……また言いに来たのか。……もう、聞き飽きたぜ」


あなたは彼の背中にそっと寄り添い、その硬い服の裾をギュッと握りました。


「……ガイアス。……僕、さっき気づいたんだ。……君がこうして庭を整えてくれるから、僕は安心して『散歩』ができるんだね。……君の背中があるから、僕は前を向ける。……本当に、ありがとう」


1. ガイアスの反応(微動だにせず):

彼は固まったまま、ハサミを動かすのを止めました。返事はありません。


2. 静かなる「震え」:

でも、カイルが握っている彼の服が、小刻みに震えているのが伝わってきます。彼は振り向くことができません。今、振り向いたら、魔王としての威厳が「ぷにゅっ」と音を立てて消滅することを知っているからです。


3. セシリアの観察:

遠くの窓から見ていたセシリアが、ハンカチで目元を押さえました。

「……あらあら。ガイアス様、……庭木ではなく、自分の『心』を剪定(整理)するのに必死ですね、ふふ」



・ 6日目の夜:『嵐の前の静寂』

夕食時、屋敷はかつてないほどの「静けさ」に包まれていました。

全員が、カイルの「ありがとう」を反芻はんすうし、魂が半分抜けたような、それでいて満ち足りた表情でスープを啜っています。


* リリィ:

「……明日で1週間ね……。……明日が終わったら、私……どうすればいいの……」

* レオン:

「……明日が来なければいいのに……。……いや、明日が楽しみすぎて眠れない……」

* フローラ:

「勇者様、みんなの心がキラキラしてるよ! 明日は、お空の色が変わっちゃうかも!」


【現在のステータス:最終決戦前夜】

* カイル: Lv 1 / 徳がカンストし、歩く聖域と化した

* 屋敷の状態: 「全滅(幸福による)」一歩手前



「……さて。……ついに、明日だね。……みんな、覚悟はいいかな?」


カイルは月光を浴びながら、最終日の「特大のサービス」の内容を思い描き、最高に邪悪で優しいニヤリ顔を浮かべました。

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