Ep.36 元勇者による感謝の飽和
カイルはいつも支えてくれるみんなに感謝を伝えたいと思い、ありがとうウィークを計画しました。
そう、些細なことであっても「ありがとう」を伝えるのです!
「みんな!今日から1週間、僕は感謝を沢山伝えるよ!」
〜1日目〜
・ 1日目:『魔王、フリーズする』
キッチンで、ガイアスが
「……おい、カイル。テメェ、また薄着でフラフラしやがって。ほら、この特製スープ(栄養満点)を一滴残らず飲み干せ。残したら承知しねぇぞ」
と、いつものように険しい顔で毒づいています。
そこで、カイルはスープを一口飲み、彼の目を見て静かに微笑みました。
「……ガイアス。いつも僕の体を気遣ってくれて、ありがとう。君が作るスープは、世界で一番温かいよ」
1. ガイアスの反応(0〜2秒):
「………………あ?」
手に持っていたおたまが、カラン……と床に落ちました。思考回路が完全にショートし、筋肉の塊のような巨体が石像のように固まります。
2. ガイアスの反応(3〜5秒):
顔面が、熟れすぎたトマトのように真っ赤に。耳の先から蒸気が出そうなほどの動揺です。
「……ッ、テメェ、……何を……変なモンでも食ったか!? ……お、おう、……当たり前だろ! ……残すなよ! ……絶対に残すなよ!!」
3. その後の奇行:
彼はそのまま裏庭へ飛び出し、叫び声を上げながら、これまでにないスピードで薪を3日分ほど叩き割りました。
【カイルの戦果】
* 状態: 「聖女のような清らかな勝利」
* ガイアスの被害: 「重度の動揺・照れによるオーバーヒート」
* 特性: 『全肯定の家主』
・ 屋敷に広がる「感謝の連鎖」
セシリアがカイルの身支度を手伝いに来ました。
「カイル様、おはようございます。……さあ、顔を洗って……」
そこでカイルは、彼女の手をそっと握り、真っ直ぐに瞳を見つめて言いました。
「……セシリア。昨日も、今日も、そして明日も。僕のわがままを全部受け止めて、この場所を『家』にしてくれて、本当にありがとう。君がいなければ、僕は今ここにいないよ」
1. セシリアの反応:
「…………っ」
彼女の動きが止まりました。いつも完璧な微笑みを絶やさない聖女が、唇を震わせ、大粒の涙をポロポロとこぼし始めました。
2. 聖なる氾濫:
「……カイル様、……なんてことを……。……私こそ、……私こそ感謝しておりますのに……!!」
彼女の感激が魔力として溢れ出し、屋敷中の花瓶の花が一斉に満開になり、部屋中に「浄化の光(100倍)」が充満。眩しすぎて前が見えなくなりました。
3. ご馳走の山:
その日の昼食は、カイルの好物がテーブルからはみ出すほど並べられました。「食べてください! もっと! 栄養を!!」と、彼女の愛が物理的な量となって襲いかかります。
〜2日目〜
・ 2日目・午後:『勇者の忠誠心、爆発』
中庭で剣の稽古をしていたレオンに歩み寄り、カイルは彼の肩に手を置きました。
「レオン。君がいつも明るく笑って、屋敷を活気づけてくれてる。……僕の憧れだよ。ありがとう」
1. レオンの反応:
「えっ!? ……あこ、あこ、憧れ……!? 先代様に、僕が……!?」
レオンは顔を真っ赤にして、その場でバネのように飛び上がりました。
「……ありがとうございます!! 僕、今日から寝ないで屋敷の警備を強化します!! アヒルも全部磨きます!!」
2. 猛特訓の再開:彼は興奮のあまり、ガイアス(薪割りで疲労困憊)を捕まえて「稽古つけてください! 先代様のために強くなります!!」と叫び、ガイアスをさらに追い詰めました。
・ 2日目の夜:『屋敷のカオス度、上昇』
夕食時、屋敷の雰囲気は異様なことになっていました。
* セシリア: カイルを見るたびに涙ぐんで、スープを注ぎ足し続ける。
* レオン: 「ありがとうございます!」と1分おきに敬礼してくる。
* リリィ: 「ちょっと、私にはないの!?」とソワソワして順番待ちをしている。
* ガイアス: 隅っこでワインを飲みながら、「……けっ、……ありがとうだと……? ったく、……気色悪ぃ……」と毒づきつつ、耳が真っ赤なまま。
【現在のステータス:感謝の嵐】
* カイル: Lv 1 / 徳の積みすぎで後光が差している
* 屋敷の状態: 「全員、カイルへの愛で情緒不安定」
〜3日目〜
・3日目・午前:『魔術師、暴走(物理)』
リリィは自分の部屋で、わざとらしくドアを半開きにして
「あー、喉が渇いたわー。誰か『ありがとう』って言いながらお茶でも持ってきてくれないかしらー!」
と独り言を言っていました。
あなたは淹れたてのハーブティーを持って、彼女の前に立ちました。
「リリィ。いつも僕のくだらないイタズラに付き合って、一緒に笑ってくれてありがとう。君の明るい魔法が、この屋敷の暗い過去を全部吹き飛ばしてくれたんだ。君は僕の最高の協力者だよ」
1. リリィの反応(静止):
「………………えっ」
真っ赤な顔で待機していた彼女ですが、予想以上に「ガチ」な感謝の言葉を投げられ、手元が狂いました。
2. 魔力の暴発(多幸感):
「な、ななな、何言ってるのよ急に!! ……協力者だなんて、……当たり前じゃない!! バカ! カイルのバカァァ!!」
恥ずかしさが限界突破し、彼女の周囲でピンク色のハート型の小爆発が連発! 部屋の窓から「ポポポンッ!」と可愛い花火が昼間から打ち上がりました。
3. プレゼントの猛攻:
「これ、あげるわよ!! 先日の『アヒル増殖粉』の改良版よ! あと、この『一生脱げない最高級のパジャマ』も!!」
と、自慢の魔道具を次々とあなたの腕に積み上げました。
・ 3日目・午後:『魔王、耐えきれなくなる』
廊下で、またもや「カイルの歩く道に石が落ちていないか」をチェック(過保護継続中)していたガイアスとすれ違いました。
カイルは彼の袖をちょん、と引き、見上げて言いました。
「……ガイアス。今日も、僕の隣にいてくれてありがとう。君の背中を見ていると、世界で一番安心できるんだ」
1. ガイアスの反応(崩壊):
「………………ッッッ!!!!」
昨日から耐えてきたガイアスですが、3日連続の直球に、ついに膝から崩れ落ちました。
「……テメェ、……いい加減にしろ……。……心臓が……もたねぇだろうが……!!」
2. 魔王の逃走:
彼は顔を片手で覆い、無言で地下の薬草園へと逃げ込みました。そこから「……クソッ、……あいつ、……何なんだよ……」という呻き声が聞こえてきます。
・ 3日目の夜:『屋敷の限界突破』
夕食のテーブルは、もはや「誰が一番カイルに尽くせるか」という聖戦(感謝のお返し合戦)の場と化しています。
* リリィ: 「カイル、この魔法の杖、叩くとメロディが鳴るわよ! 護身用に持ってて!」
* セシリア: 「カイル様、明日は『ありがとう』とおっしゃる前に、私がお礼の10倍返しをいたしますからね!」
* ガイアス: 席を離し、遠くからカイルを直視できずに、ひたすら無言で肉を噛みしめている(耳は真っ赤)。
【現在のステータス:感謝の飽和状態】
* カイル: Lv 1 / もはや神々しすぎて、フローラが拝み始めた
* 屋敷の状態: 「ありがとう」への免疫がゼロになり、全員がカイルの一挙手一投足に怯え(喜び)ている




