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第64話 ユーキのバズレシピ

 俺はケイトさんと一緒に厨房に急いだ。

 厨房では料理長に、ランペイジブルのお礼を言われた。すごく好評だったらしい。

 市場に出回る量が少なく、滅多に手に入らないとのこと。

 ストレージにあと何頭か入っているから、1頭渡したら大喜びされた。

 なんだ、これもシェフィールドのお土産になりそうだな。

 それならと、もう1頭、お土産にするということで解体をお願いした。


 これでお土産問題は解決したが、一旦プリンを思い出したら無性に食べたくなったので、厨房を使う許可をもらった。材料も調理器具もあるようだ。

 ケイトさんも楽しみにしてるしね。


 プリン作りは手慣れたもので、ちゃっちゃと作ってしまう。

 カルメラはグラニュー糖だったと思うが、まあいいか。

 俺が何か始めたものだから、休憩時間で暇してた料理人たちが集まってきた。

 だったらちょっと手伝ってもらおうということで、オーブンに火を入れてもらった。

 あっ、型の器はどうしよう?

 ないなら土魔術で作ろうかと思ったら、丁度いいサイズのガラス容器があったので、それを借りた。

 蒸し焼きが終わったら、冷却は魔術で時短だ。

 10個のプリンが出来上がった。

 料理人たちも興味津々だ。やはり初めて見るらしい。


 小皿を用意してもらって、プリンを型から取り出す。


 実食!

 おお、イケるじゃないか!懐かしい味!

 ケイトさんを見ると、一口食べて目をまん丸にした後、蕩けるような表情で食べ続けていた。

 料理人たちも大騒ぎで、試食分が回らなかった人も食べさせろと争いになっている。

 これならお土産に持っていけそうだね!


「ユーキ様!このレシピを教えていただくわけにはいきませんでしょうか?」


 料理長がすごい勢いで迫って来る。

 来るな!男の接触は断固拒否だ!


「全然構いませんよ」

「本日のデザートにお出ししても?」

「もちろん大丈夫です。これでよければぜひお出しして下さい」


 レシピなんて簡単だしね。俺が作れるくらいだから。

 この後、料理長たちに実践でプリン作りを教えて部屋に戻った。

 シェフィールドへのお土産は、料理人さんたちに作ってもらえることになった。


 部屋に入るとケイトさんが、「ユーキ様すごいです!あんな美味しいスイーツを作れるなんて」と、絶賛してくれた。この世界でもプリンは人気になりそうだね。

 なんで聖女様は作らなかったんだろう?


 俺はストレージからこっそり収納しておいたプリンを取り出す。


 (トーダ、食べるだろう?)

 (おう、気がきくやないかユーキ。ワイ、見とって食いたかったんや)

 (ちゃんとわかってるよ)


 トーダはプリンに飛びついて夢中で食べている。


「あれ?精霊様が食べられているんですか?」

「そうだよ。食いしん坊だからね」


 ケイトさんにはトーダが見えていないので、いつも不思議な光景だよね。勝手に食べ物が減っていくんだから。


 (ユーキ!ユーキ!これめちゃ美味い!今まで食うた中で一番美味い!もっとくれ!)


 プリンを食べ終わったトーダが飛びついてきた。


 (いや、今はそれで終わり。作るとこ見てたでしょ?)

 (なら作ってくれや!殺生や、もっとくれや!)


 これは困ったな。そんなに気に入ったのか。

 これは今後も常時用意しとかないといけないな。


 (今厨房で作ってると思うから、後でもらってきてやるよ。でも1日に何個も食べるのはダメだ!)

 (そない冷たいこと言わんといてや。ワイ何個でも食えるで!)

 (食えてもダメ!お菓子は大量に食べるもんじゃないの!)


「ユーキ様、どうかされましたか?」


 ケイトさんが俺の様子がおかしいと感じて心配そうに聞いてきた。


「あ、大丈夫だよ。精霊がプリンをもっと食べさせろってわがまま言うから、ダメだって注意してたとこ」

「まあ精霊様が!では厨房に少し多めに用意するように言っておきますね」


 そう言ってケイトさんが駆け出して行った。

 あれ自分も食べたいんだよね・・・。


 その日の夕食のデザートに出されたプリンは、侯爵家に旋風を巻き起こした。

 俺はエリカ様に呼び出されて、プリンの説明をさせられた。

 そして、果物やアイスクリームなどを盛り付ければ高級感も出せるなどと説明したら、料理長まで呼ばれて議論になり、結局来年の社交会で披露した後は、侯爵家直営でプリンのカフェを領都レグルスと王都に出そうなどという、壮大な計画に発展した。

 好きにしてくれ!


 俺の部屋には食事のデザートとは別に、10個プリンが運ばれてきた。

 仕方ないので、トーダとケイトさんに1個ずつ食べさせた。

 さすが本職の料理人。俺のプリンよりも洗練された感じの味になっていた。

 ところが幸せそうに食べていたトーダが、ふざけたことを言い出した。


 (これもめちゃ美味いんやけど、ワイはユーキの作ったヤツの方が好きやわ。ユーキ、また作ってくれへんか?)


 なんでだよ!どう考えても、こっちの方が美味いじゃないか!

 結局これからもプリンを作ることを約束させられた。

 そう言えばハルも俺のプリンが一番美味いとか言って、他のプリン食べなかったな。

 どこが違うんだ?



 それから俺の日常に、プリン作りがルーティンに加わり、ストレージには既に200個以上のプリンがストックされている。

 トーダもケイトさんも毎日プリン食べてよく飽きないね。

 ケイトさんなんか「ユーキ様!プリンは女神様か精霊様の食べ物です!」なんて言い出すものだから、トーダが(このネーチャンようわかっとるやないか)と言ってケイトさんのことをすっかり気に入っていた。この二人、心話してないよね?

 ちなみに女神様の食べ物はコンビニで売ってるぞ。



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