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第63話 ともかくプリンだ!

 平和な日々が続いている。

 あのダンジョンの日々に比べれば大抵のことは平和なのだが。

 最近は、朝の騎士団の訓練への参加を復活した。

 騎士団の訓練では、二つの課題に取り組んでいる。


 一つはパワーアップ。筋力や体重は一朝一夕では上げられないので、魔術でカバーする。

 魔装の練度と重力魔術の併用だ。

 団長のフレッドさんや巨漢の団員と正面からぶつかった場合、パワー負けして跳ね飛ばされることもある。魔獣の場合は、相手が圧倒的にでかい。

 盾役の人は、体力強化と魔装で重量差をカバーしているらしいが、俺はこれに重力魔術を加える練習をしている。目標は打撃や防御の瞬間に無意識でも重力が加わることだ。

 更に魔装は、表面だけでなく、筋肉や骨の隅々まで魔力を浸透させること。これを意識せずに重力魔術で打撃を放ったら、腕の骨が砕けた。盾役の人の魔装を観察したら、なんとなく魔力が体内まで浸透しているのが見えた。どうやらこれでありえないようなパワーを出しているようだ。このことは団長のフレッドさんにも報告し、全団員の魔装訓練にもメニューとして加えられた。


 二つ目は相手の魔術の無効化だ。

 今回のダンジョンで、俺の魔術を跳ね返す魔獣がいた。

 魔術への対抗手段はいくつかある。

 単純に速度を生かして回避する。

 物理的な盾で防御する。

 マギシールドや強い魔装で防御する。

 反対性質の魔術で打ち消す。例えば火に水。

 そして、試しているのが相手の魔術に干渉して魔術の効果を消滅させる。

 ダンジョンで出会った魔獣の中には、強い防御力で魔術を防いでいるヤツもいたが、パンッと音をさせて魔術を消滅させているヤツがいた。多分こちらの魔術に干渉されたような気がした。

 俺たちが師匠から教わった魔術は、直接魔素を支配制御する方法なので、この延長でできるのではないかと思い練習中だ。

 この練習中に、エドに魔術を撃ってもらい、強い魔弾を当てたら、それだけでエドの魔術は消し飛んだ。なんかこれでも使えそうだけど、これじゃない感が強い。魔術に干渉して無効化という点にロマンがあるのだ。エドにロマンは必要だったか?と言われた。

 しかし、俺より強い魔力を込められて魔術を撃たれた場合には、やはり干渉による無効化が必要になるはずだ。俺の研究は続くのだ。


 午後は、俺の養子が決まり、立場がしっかりしたことから、かねてから懸案だった、侯爵家の中の人で身体に欠損を負った人の治癒を行なっている。

 大体1日に3人程度。やはり元騎士団員が多いが、他にも鍛治師や、建築土木作業員、林業、農業など色々な分野の人がいた。

 これまでに既に15人の欠損修復を行ったが、まだいるそうだ。

 例によって涙を流して礼を言われ、聖女様と崇められるのだけはやめて欲しい。

 この治癒については、ジェームス様から一人につき金貨5枚が支払われた。

 お金は不用と断ったが、今後のこともあるので報酬は取るべきだと強く言われた。

 ギルドは金貨3枚だと言ったが、それは冒険者特例であって、5枚でもまだ安いと言われた。

 ダンジョンで稼ぎすぎてお金は十分にあると言って、通帳を見せたら失笑された・・・。


 そう言えば、ランペイジブルのシチューを作ってもらったが絶品だった。

 3人分を用意してもらって、遠慮するケイトさんにも無理矢理食べさせたら、その美味しさに絶句していた。

 そして、今後のことも考えて、ケイトさんには絶対秘密だよと言って、実は食いしん坊の精霊の友達がいることを告げた。トーダは、ワイは式神や!と言って怒っていたけど。

 初めは信じられなかったようだが、目の前でシチューが消えていく様を見て、さすがユーキ様、精霊と友達なんてと感激していた。どこがさすがなんだろう?

 トーダは念願のランペイジブルのシチューに狂喜乱舞していた。

 トカゲの舞である。

 待て、トカゲは二本足で踊らないぞ!

 トーダのリクエストで、ケイトさんには、ときどきメインディッシュを2人分手配してもらうことにした。トカゲの姿見せたら驚くかな?女性って爬虫類嫌いなイメージがあるけど・・・。




 そんな日々を過ごしていたとき、エリカ様に呼ばれてシェフィールド領行きの日が決まったことを告げられた。1週間後だ。

 メンバーは、俺の他に、エリカ様、シルビアちゃん、双子ちゃん、エドだ。今回のエドは家令代理の役目を負っている。もっとも、行き先がエリカ様の実家なので、大した役目はない。

 ジェームス様とチャールズ様は、領の仕事があるため行かない。

 このメンバーに、それぞれのメイドや使用人がつき、騎士団50名が護衛する。

 貴族の移動は本当に大所帯だ。

 メイデン師匠は、しばらく前に、どこかに調査に行くと言って一人で出掛けてしまった。

 俺とエドは自主トレを命じられている。


 季節は秋に入り、旅には絶好の気候だ。

 そこで俺ははたと気がついた。お土産どうしよう・・・。

 ストレージには珍しい魔獣も残っているが、魔獣がお土産というのもな・・・。

 ダンジョンのゾンビ司教が持ってた杖とかタリスマンもいらないよな。

 あ、そう言えば、まだチョコレートとマカロンが残ってなかったっけ?

 ストレージを確認すると、チョコレート一箱と、マカロン二箱がまだあった。

 でも、これ今出したらエリカ様に怒られそうだ。以前、これが最後みたいなフリして出したからなあ。

 エリカ様、チョコレートが作れないかって言ってたな。

 作れるのか?

 俺、一度もお菓子作りしたことないぞ。

 久しぶりに文明の利器、タブレットを取り出す。

 せっかく持ってるのに全然役に立ってない。

 ストレージに入っていたので充電は問題ない。

 タブレットにインストールしている実用百科を開きチョコレートの作り方が掲載されているか確認する。

 おお、あった。料理編には、他にも色々レシピがあるな。

 俺の自炊はジャングルで捕まえた蛇を焼くとか、そのくらいだったから、こんなもの読んだことがなかった。そのうち役にたつかな?


 さてチョコレートの作り方。

 ・・・。読んでみたが、俺にできる気がまったくしない。

 カカオ豆の選別、ロースト、シェルやカカオニブの取り出し、長時間すり潰してペースト状にして砂糖やココアバター、粉乳を混ぜる、コンチング、テンパリング、型入れ、冷却、型抜きなど。

 よし!きっぱりあきらめよう!


 あれ?そう言えばこの世界にプリンあったっけ?

 聖女様が普及活動をしたのか、この世界の食事は元の世界にとても似ている。

 ケーキやクッキーなどのお菓子もある。

 チョコレートはなかったが、作り方を見る限り、手作業で質の高いチョコレートができるとは思えない。聖女様もそれであきらめたのか?それとも自分の嫌いなものは作ってないのか?


 それはともかくプリンだ!

 プリンは唯一俺が作れるスイーツだ。

 研修所時代、ハルに、男でも一つくらいスイーツが作れないとモテないと言われて、無理矢理作らされた。それがなぜか好評で、ときどき仲間のためにプリンを作っていたな。

 ハルもお気に入りだった。


 ケイトさんにプリンがあるか聞いてみると、名前も知らなかった。

 卵と牛乳なんかで作るプルンプルンのやつと言っても、通じなかった。

 ならば、試しに作ってみようではないか!





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