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ハルノオト〜聖女召喚の欠陥品ー俺は男だ!〜  作者: 島村都心
第二部【王立ロマリア学院1年】
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第139話 訓練終了

 結局、今の俺たちの力ではこの噴火エリアを通り抜けることは困難だということで、引き返すことにした。Sランクで踏破できないのはショックだが、このダンジョンがもし女神に用意されたものだとしたら、人間に要求されるレベルがかなり高いことになる。一体どれほどの事態を想定しているのやら。逆に考えれば、俺たちはもっと強くなれる可能性があるということだろう。そう、前向きに考えよう。


 帰りはまた温泉で一泊して、露天風呂を謳歌した。せっかく凝りまくって作ったからね。

 36階の階段に戻ると、怪我をしていた二人もすっかり回復していた。

 ペインさんたちは無事を報告するために、一度地上に戻ると言う。

 俺たちは、ケビンたちとの約束の日まで、35階のサバンナエリアで訓練を続けることにした。

 ここには相当強い魔獣がいるからね。


 セーフティエリアでペインさんたちと別れてから、ここをを拠点にして、俺たちは毎日強い魔獣を求めて彷徨い、戦いまくった。最後の三日は、単独行動に切り替えて、各自がバラバラに行動し、個人の力をアップさせることにした。夜、セーフティエリアに戻ったときは、皆んなが血だらけ、傷だらけという状態だった。それでも俺たちは強くなることに貪欲だった。


 ルクスはますます強くなり、ブレスも強力になってきた。シャトルは一回り身体が大きくなり、トーダの助けなしに魔装が使えるようになった。しかも速い。スピードなら俺たちの中で一番だ。

 こうして俺たちの夏休みのダンジョン訓練は終了した。




 ケビンたちとの約束の日、俺たちは正午くらいにダンジョン探索を切り上げ、地上に戻った。

 レクシャールのギルドに行くと、ケビンたちはまだ来ていなかった。

 一応受付には、俺たちがダンジョンから戻ったことを報告しておく。

 受付嬢に双翼の話しを聞くと、やはりペインさんたちの件は大騒ぎになっていたらしい。

 その後何事もなかったように戻って来たペインさんたちは、今度は魔術師の再訓練だと息巻いて、青い顔をした魔術師連中を引き連れて、またダンジョンに戻っていったそうだ。

「ペインさんて見かけはカッコいいのに、ノリがオジサンみたいなのよね」とは、受付嬢の言。

 俺も同感だ。ワハハ!ペインさん、意外とモテないな!


 それから、ギルドの中で昼食を食べながら、戦利品の話しをする。

 討伐した魔獣の買い取りは、今回もランカスターのギルドだろう。これは処分してから三等分にする。今回も相当な金額になりそうだよね。

 問題は、35階の聖堂だか教会だかのミイラが持っていた財宝だ。あれいくらになるんだよ!

 ところが、コーザさんがその配分はいらないと言い出した。


「俺はユーキに目と足を治してもらった。本来なら俺が死ぬまで働いても払えない額の治療費だろう。もし俺に分配すると言うのなら、その分を治療費に当てといてくれ。それにあのミイラは、ユーキが一人で倒したみたいなもんだろう」

「俺ももう金はいいよ。今回の魔獣の買い取りだっていくらになるんだよ。俺、使いきれないぞ」


 エドまで何を言い出すんだ!


「ダメだよ。パーティ活動で得た成果は、均等分割する。これはパーティのリーダーの俺の決定だ」

「あんなもんもらってどこに保管するんだよ。俺たちお前みたいにストレージ持ちじゃないんだぞ」

「換金すればいいじゃないか」

「どこで換金するんだよ。下手すると国の予算以上にあるぞ」


 確かに。もう面倒くさいな。


「わかったよ。じゃあとりあえず俺が預かっておく。何か必要になったら言ってくれ。中身の確認はどうしようか?」

「ジェームス様に頼めば?管財部門とかでやってくれるかもよ」

「わかった、相談してみる。コーザさんもそれでいい?」

「だから俺の分はユーキに渡す」

「もう!」


 頑固なオッサンだ!

 そんな話しをしていると、ギルドの入口の方が騒つく。

 気配を探るとケビンと真司だ。帰って来たな。

 そちらに目をやると、さーっと人垣が分かれていく。どうしたんだ?

 鼻をつまんで逃げ出す女の子までいる。

 なんだ?何か臭うな・・・。

 そこに二人の人影が現れた。


 血塗れ、泥塗れ、汗塗れ。

 ボロボロの服とボサボサの髪。無精髭。

 ウワー!ゾンビ並みじゃないか!

 臭い!まだ距離があるのにここまで臭ってくる!

 そうか!コイツら風呂持ってないんだった!

 俺たちも装備はボロボロだけど、風呂に入って清潔にはしてたからな。


 入口近くの冒険者たちが一気に逃げてしまった。

 それを見て呆然と立ち尽くすケビンと真司。あ、ミューもいる。

 俺は慌てて二人に駆け寄る。ゲッ!臭っ!!!


「浄化!!!」


 俺は全力で二人と1匹に浄化をかけた!ゾンビみたいに消えないだろうな?

「あ、雄輝さん。ただいまっす。なんで皆んないなくなったんすか?」

「お前らが臭いからだ!」

「ニャ?」


 浄化で綺麗になった二人と1匹を連れてテーブルに戻ると、エドとコーザさんが爆笑していた。

 そう言えば、俺たちも前回はゾンビ扱いされたよね。それだけ必死で頑張ったんだろう。


「ケビン、真司、ミュー!お帰り!無事で良かったよ!」


 まずはケビンたちを座らせてから、食事と飲み物を注文する。


「お前たち怪我は?」

「ああ、怪我だらけだよ。ポーションじゃ中々治らなくてね。安静にしてれば治るかもしれないけど、時間がもったいないから無理してたら痛みに慣れた」

「そうっすね。死にそうな目に遭うと、痛み感じなくなるっす」

「ニャ!」


 コイツら頭おかしくないか?

 俺は魔力視でケビンたちの身体の状態を診る。

 うわー、傷だらけだ!火傷もしてるし骨にヒビも入ってる。化膿してるところもある。

 よく平気でいられるな。

 俺は黙って治癒魔術をかけた。

 二人と1匹は、おおー、とか言って身体を動かしている。

 これが普通の状態かぁ、って、お前ら絶対おかしいぞ!


 ケビンたちは、最初の10日間は、寝る間も惜しんで14、15階辺りで戦闘訓練を続けたらしい。その後、残りの10日で、20階まで踏破したと言う。二人と1匹で!

 すごい成長だ。


「雄輝さん、ケビンって天才っすね。剣の上達も魔術の上達も、半端ないっす」

「いや、それシンジもだろう。君のアレはヤバいって」


 そりゃそうだろう。たった二人で20階だぞ。

 俺たちのときは、メイデン師匠がいる安心感もあったし、俺の治癒魔術で回復しながらだったのに、コイツらポーションだけで20階まで行ってるんだから。

 とりあえず全員が無事にダンジョンから帰還した。

 一息ついたので、俺たちはレクシャールの代官屋敷に行き、馬を引き取って、そのままランカスター城に帰ることにした。ケビンの馬は、ギルド近くの馬喰に預けたあったのを引き取ってきた。

 ケビンは、実家の手前、ランカスター城に行くのを躊躇っていたが、学生会の仕事関係だと誤魔化せ、と言って無理矢理連れて行った。

 ランカスター城で一泊して、翌日ランカスターギルドに魔獣の買取りを依頼に行った。

 ケビンと真司は、大量の魔獣を買取りに出して、ギルマスのマックスさんに怒られた。

 それでも金貨500枚ほどの金額となり、二人は大喜びしていた。

 そして、俺とエドとコーザさんは、もっと怒られた・・・。

 例によって査定に相当日数かかるということで、エドがランカスターに残って対応してくれることになった。金額は三等分だよ。

 ギルドの素材保管用の冷凍倉庫は、なぜか拡張されていたので、全部置いてきた。あ、ランペイジブルの肉と、サンショウウオの皮は引き取りだ。あとはエドに任せる。


 夏休みもあと1週間。

 コーザさん、ケビン、真司は先に王都に帰る。

 エドは、ランカスターに残ってギルドの買取り対応と、領の仕事を片付ける。

 俺は、シェフィールドに顔出ししてから王都に戻る。

 その前に、ランカスターで大量の買い物をして、大急ぎでダンジョンに戻った。

 転移装置で35階に行き、トーダに乗せてもらって34階のエルフの森に行く。

 俺がまた現れたことにリルカ様たちはとても喜んでくれた。


 俺はお土産です、と言って、ベッド、寝具、家具、調理器具、食材、本、楽器、リバーシやボードゲーム、おもちゃ、農具、野菜や小麦の種、衣類など、色々な生活用品、娯楽用品を大量に渡した。

 プリンを渡したときだけ、トーダが不機嫌だった。

 リルカ様、マリス様は涙を流して感謝してくれ、王女様、王子様は大はしゃぎだった。

 泊まっていけと言われたが、シェフィールドにも行かなくてはならない。ユグドラシルの種も植えに行く必要がある。また遊びに来ることを約して、俺はエルフの森を後にした。



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