↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハルノオト〜聖女召喚の欠陥品ー俺は男だ!〜  作者: 島村都心
第二部【王立ロマリア学院1年】
129/179

第129話 合体!

(トーダ!何とかなるかな?)

 (コイツ相当強いわ。まあ、何とかなるやろ。ちょっと、浄化いうヤツ試してみぃ。軽くやで)

 (わかった!)


 俺はこちらに近寄って来る巨人のミイラに、弱めの浄化を放ってみる。


「浄化!」


 巨人ミイラが杖を振って俺の浄化を打ち払った!


「ふん、ピュリフィケーションか。小賢しいことよ。光魔術なぞ我に効くと思うたか!」


 そう言って軽く振るわれた杖から無数の小さな魔刃が飛来し、一瞬で俺たちをズタズタにした。ルクスも含めて全員が血塗れだ。くそぉ、魔装もお構いなしかよ。


 (トーダ、ダメだ)

 (いや、アイツ杖で払いよった!当たれば効く証拠や)


 そういうことか。確かに直撃を避けたな。


 (トーダ、合体してくれ!)

 (よっしゃ)


 トーダが俺の中に入る。魔力が満ちてくる!

 巨人ミイラが訝しげな顔をする。何か気づいたか?

 そして俺に近寄ってきて、俺を見下ろす。


「貴様、何者だ?」

「さあな」


 次の瞬間、俺は特大のパイルバンカーを巨人ミイラの腹にぶちかましてやった!

 腹は一番的が大きくて避けにくいからね。

 トーダの魔力も合わさったパイルバンカーは半端ない威力で、巨人ミイラのどてっ腹に大きな風穴を開けて吹き飛ばした。

 同時に俺たちの拘束が解ける!


「散会!動き回れ!止まるな!」


 俺たちは思い思いの方向に天駆で駆け上がる。


「貴様ぁ!!」


 やっぱりあれでは死なないよね。滅法お怒りだ。

 俺は上空を駆け回りながら、浄化を連発する!

 巨人ミイラは、それをことごとく杖で打ち払う。やはり当たりたくないようだ!

 その隙をついて、コーザさんとエドが巧みに斬りつけていく。ルクスも蹴りや噛みつきで襲いかかる。

 致命傷にはほど遠いが、それでも巨人ミイラの傷が増えていく!


「この羽虫どもがあ!!」


 巨人ミイラは、左手の杖で俺の浄化を弾きながら、右手で手当たり次第に無数の魔刃を放ってくる。コーザさんとエドは、いくつかの魔刃を受けて血飛沫をあげている。

 俺はトーダのおかげで無傷だ。スマン!


 広範囲の浄化ならどうだ?

 ダメだ!杖の一振りで全部払われた!

 ならば地道に!俺はさらに浄化の連射を早めていく。

 コーザさんとエドとルクスも攻撃を絶やさない。

 よし!何発か当たった!


「グオォ!」


 巨人ミイラの叫びが上がる。当たった箇所から光の粒子が立ち昇るが、消滅には至らない。

 やがて光の粒子が収まった。


「攻撃を続けるぞ!」


 逃げた方がいいのか?いや、コイツ多分ダンジョンの魔獣じゃないだろう。こんなヤツ野放しにはできん。ここで倒す!

 俺たちは必死の攻撃を繰り返す!

 巨人ミイラも俺たちを生贄にするはずだったのに、殺人級の威力で魔刃や魔弾を放ってくる!

 速度にやや劣るコーザさんが、魔弾の直撃を受け吹き飛ばされた!壁に激突する!


 この野郎!

 そのときルクスの魔力がかつてないほど高まった!


「エド!離れろ!」


 ゴーッ!!!


 エドが離れた瞬間、ルクスから強烈な炎のブレスが巨人ミイラを襲った!


「ギャー!」


 炎に包まれる巨人ミイラ!

 杖を振るうと炎が収まる。しかし、祭服や身体からブスブスと煙が立っている。

 そのとき、俺の中からトーダが飛び出し、龍の身体に戻って巨人ミイラに巻きついた!

 締め上げるトーダ!もがく巨人ミイラ!


「ユーキ!今や!昇天の方や!」


 そうか!浄化はただの光魔術。昇天なら!


 俺は全力でトーダに抑えられて身動きの取れない巨人ミイラに向かって昇天を放つ!


「昇天!!!」


「ギィエー!き、貴様は!ユリスのぉ!」


 巨人ミイラが絶叫する。

 今度は全身から光の粒子が立ち昇っていく。


「・・・、も、申し訳ありません、サマトさ・・・」


 その言葉を最後に、巨人ミイラは消滅した。


 俺とエドは、それを見て一気に緊張の糸が切れ、ストンと腰を落とした。

 ヤバかった。駄目かと思ったよ。

 あ、いけない!コーザさん!

 俺は慌てて立ち上がり、コーザさんの元に走る。

 コーザさんは血塗れで、壁際で倒れていた。大丈夫、息はある。

 俺は大急ぎで治癒魔術をかける。

 肋骨が何本か折れているが、内臓に刺さったりはしていない。

 これなら問題ない。

 よし、治療完了だ。まだ気を失っているが、呼吸は安定した。


 次にエド。エドもかなり負傷している。


「エド、大丈夫か?」

「ああ、何とかね。ホッとして気が抜けたら痛み出したけど」


 そう言って、エドがニコリと笑う。女の子がグラリとくるヤツだ。


「すぐ治療する。ああ、エドも肋骨折れてるな」


 コーザさんよりはマシだが、十分やられている。


「よし、これで大丈夫だ」

「ありがとう。コーザさんは?」

「うん、大丈夫。今は気を失ってるだけ」

「そうか、良かった」


 次はルクスだ。


「ルクス、おいで!」


 ルクスがヨロヨロとやって来る。


「ルクス、ありがとうね。あのブレス凄かったよ!」

「そうだよ、ルクス!君はすごいな!」


 エドも褒めてくれる。ルクスはブルルと嬉しそうに鼻を擦り付けてくる。


「ルクス、怪我治すからね」


 俺はルクスに治癒を施す。うん、ルクスは骨折はないな。良かった!


「ユーキ、自分の傷も治さなきゃ」


 エドに言われて気がついた。そういえば俺も血塗れだったよ。

 全員かなり出血していたことから、もう一度皆んなに造血の治癒魔術をかけ、浄化でさっぱりしてから、やっと落ち着いた。


 (トーダ、ありがとう。いつも助けられてばかりだね)

 (ええから、ええから。ワイらもう家族や。ユーキが強うなるまでは、ワイが助けてやるけん)

 (頼りにしてるよ。トーダなら、アイツ簡単にやっつけられた?)

 (結構強かったな。負けはせんけど、アイツ止め刺すんはどうすんやろな。ユーキの昇天やったら一発やけど。なんや知らんけど変な力持っとったで)

 (そういえば最後サマトとか言ってたね。堕神の関係か・・・)

 (そうやろな)


 おっと、シャトルが飛び出してきた。

 俺に必死でじゃれついてくる。


 (ユーキ、ユーキ、ボクも戦いたかった!トーダおじちゃんに出ちゃダメって言われた!)

 (わかってるよ、ありがとうシャトル。でも、シャトルはまだ子供過ぎるから、もうちょっと大きくなってから頼むね)

 (ユーキ、ユーキ、ボク早く大きくなる!)

 (うん、楽しみにしてるよ)


 ああ、シャトルは癒される!


 エドとコーヒーを飲みながらしばらく休んでいると、コーザさんが目を覚ました。


「ぐっ、すまん。不覚をとった。倒せたのか?」

「はい、何とか。どこか具合の悪いところはありませんか?」

「大丈夫だ。治してくれたんだな、ありがとう。しかし参ったな。やられたのは俺だけか。情けない・・・」

「あれは偶然です。誰がやられてもおかしくなかった」

「気を使わせてすまんな。で、どうやって倒したんだ?」


 俺はコーザさんにもコーヒーを渡して、トーダとのコンビで昇天を使ったことを説明する。


「そうか、大精霊様に助けていただいたのか。それに女神様の力か」

「はい。ヤツは最後にサマト様と言いかけていました。おそらく堕神の関係の者かと」

「そうか・・・。やはりユーキ様と呼ばせていただくわけには」

「やめて下さい!説明したように、俺は女神様と会ったこともありません。この力は偶然ですから!」

「わかった、わかった。そう怒鳴るな。しかし、あれはユーキのその力がなかったら、一方的にやられていたかも知れんな」

「そうですね。ちょっと強すぎでしたね」


 俺たちはしばらく黙り込む。


「世界にはあんな強いヤツが他にもいるんだろうな」


 エドがボソッと呟いた。


「そうだね。そう考えると、俺たちはまだまだだね」

「俺も全盛期に戻すなんて考えではダメだ。あの頃より強くならんとな」


 実際アイツが俺たちを生贄にするなんて考えてなければ、俺たちは瞬殺されていた。それに、女神様の力がなかったら、ヤツを防御に回らせることもできなかった。運が良かっただけだね。


 しばらく身体を休めてから、建物の中を調べることにした。

 シャトルが鼻をクンクンさせながら、尻尾を振って先頭を歩く。可愛い。


 最初の部屋は武器庫。片っ端からストレージに入れていく。何だか強盗のような気分だが、ここはダンジョンだ。それに殺されそうになったんだから、戦利品くらいいいだろう。

 次は書斎か?本棚に大量の本が並んでいる。これもいただいて行こう。

 反対側のサイドに回ると、鍵がかかっている部屋があった。

 鍵を破壊して扉を開けると、なんと!

 そこには何箱もある宝箱から、金貨や宝石が溢れかえっていた!


「・・・これは・・・」


 皆んなが呆然と立ち尽くす。


「はあ、アイツ宗教家じゃないのかよ。こんなに財宝溜め込んで!」


 俺は思わず悪態をついた。


「ユーキ、これどうする?」

「当然いただく!」


 俺はキッパリと答える。


「ここはダンジョンだ。ダンジョンの宝は見つけた者がもらう。それに持ち主はもう死んだ」

「元から死んでたけどね」


 そうでした。


 誰も反対する者はおらず、俺たちはせっせと財宝を集めて、俺のストレージに放り込んでいった。こりゃあ、一生分どころか、国でも買えそうだな。三人で分けるだけでも大変だ。


 他の部屋はガラクタばかりだった。

 さて終わったかと思ったら、シャトルが祭壇の裏に走って行った。


「どうした、シャトル?」

 (ユーキ、ユーキ!ここ何かあるよ!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。