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第100話 IT’S SHOWTIME!!

 「あの馬鹿が・・・」


 カインさんが頭を抱えている。

 そこにフレッドさんが天駆で駆け上がって来た。


「よう、えらい紹介のされようだな」

「団長!」

「フレッドさん、ご無沙汰しております」

「カイン、エドとユーキが世話になってるようだな」

「いえ、こちらの方が学ばせてもらっています」


 二人は顔見知りか。

 あ、ティラノサウルスがこっちに向かって来た!

 とりあえず足止めしとこう。

 俺は風魔術の竜巻をティラノサウルスにぶつける。

 ゴブリンどもを巻き上げた竜巻も、ティラノサウルスの重力はさすがに巻き上げるのは無理だ。10トンくらいあるよね。でも、ティラノサウルスも身動きが取れない。時間稼ぎにはなる。


「さて、あれだけの紹介をされたんだ。無様は晒せんぞ!」

「はい!」

「ユーキ!ヤツの弱点はわかるか?」

「背中と頭はかなり硬そうです。狙うなら喉元か腹かと。それにアイツもトカゲです。寒さには弱いかもしれません」

「よし!ならお前が動きを鈍らせて、ひっくり返せ!俺たちがヤツの喉元と腹を叩き斬る!カイン!ここは王都だ!お前がヤツの首を叩き斬れ!出し惜しむな!一撃に全魔力を込めろ!いいか!」

「はい!!!」


 すごい!フレッドさんが加わっただけで一気に勝ちムードだ!

 さっきまでの不安が吹っ飛んだ!


「行くぞ!まずは波状攻撃だ!」


 フレッドさんの声に俺たちは散会してティラノサウルスに向かう。

 うわぁ、アイツ竜巻を吹き飛ばした!

 俺は正面からティラノサウルスに向かって行く。

 俺を睨むティラノサウルスの口元に赤い魔力が集まる。

 え?何?

 ティラノサウルスの口が大きく開き、俺に向かって炎が吐かれた!

 うわぁ!何でティラノサウルスが火を吐くんだよ!

 そういえばコイツも魔獣だった!地球の常識が邪魔をした!

 炎に包まれる俺!

 クソッ!

 何とか防御は間に合ったが、炎に吹き飛ばされた。


 フレッドさんたちも空中から急降下して波状攻撃を仕掛けるが、背中側の外皮が硬くて大きなダメージにつながらない。

 喉元を狙おうとしたカインさんを、ティラノサウルスが首を振って吹き飛ばした!

 あの図体で思いの外スピードが速い。

 ヤバッ、カインさんの腕が折れている!

 俺は即座にカインさんの元に行き、治癒魔術をかける。


「すまん、しくじった」

「いえ、アイツスピードもありますね」

「ああ。よし、もう一度行くぞ!」


 俺たちは再びティラノサウルスとの戦闘に挑む。

 俺は側面から氷魔術を放つ!

 しかし、すぐに振り向かれて炎のブレスを浴びせてくる!

 回避!


 重力魔術で動きを抑えようと試みたが、俺の魔術を魔力で弾き飛ばした。

 クソッ、強い!

 今のところ多少なりともダメージを与えているのは、フレッドさんだけだ。それも、致命傷どころか、大きなダメージにさえなっていない。


 腹の下に潜ろうとしたエドが、鉤爪で引き裂かれた!

 まずい!

 俺は即座に救出に向かうが、ティラノサウルスの腕が俺に向かって振り下ろされる!

 やられた!

 そう思ったとき、ガキィーンという音と、肩の激痛が同時に来た。

 俺の右肩が抉り取られて血が噴き出しているが、ティラノサウルスの腕は頭上で止まっていた。

 フレッドさんが剣でティラノサウルスの腕を止めている。

 しかし、フレッドさんの肩にも鉤爪が一本突き刺さっている!


「エドを早く!」


 考えるな!

 俺は素早くエドを抱えてティラノサウルスの元から離脱する。


「すまん、ユーキ」


 エドの意識はある。大丈夫だ。

 俺はエドの引き裂かれた胸を素早く治癒するが、自分の傷の痛みで集中が難しい。

 クソッ、治癒にこんな弱点があったか。

 それでも何とかエドの治癒を終えて、自分の肩の治癒を行う。

 抉り取られているから再生だ。少し時間がかかる上に、集中が途切れがちになる。


「ユーキ!踏ん張れ!」


 フレッドさんの檄が飛ぶ!

 そうだ、フレッドさんも肩を!

 歯を食いしばって自分の治癒を終えると、すぐにエドとともに戦闘中のフレッドさんとカインさんの助成に向かう。


 側面からティラノサウルスの顔面にパイルバンカーを打ち込む!

 ティラノサウルスの顔が跳ね上がった!


「離脱!」


 俺の叫びに、四人が一斉に空中に駆け上がる。

 ティラノサウルスは俺たちを見失って、キョロキョロと探している。

 しかし、こちらは全員満身創痍だ。


「団長、ひとまず治癒します」

「頼む」


 うわぁ、フレッドさんの肩もザックリ抉り取られている。

 こんなんでよく平気な顔して戦闘続けいてたな。


 フレッドさんの治癒が終わり、何とか四人とも戦えそうだ。ギリギリだけど。

 長時間の戦闘は不利だ。

 よし!決めてやる!


「団長、三人でヤツの前方で撹乱して下さい」

「ヤツの背中に張り付いて、そこから全力で氷魔術を撃ちます!」


 遠距離からの魔術は跳ね返される。密着してやるしかない。


「振り落とされるなよ!」

「大丈夫です。死んでも成功させます!」

「死ぬな!馬鹿もん!」


 久しぶりに俺たちに笑いが起こった。


「よし!行くぞ!」


 フレッドさんの号令で、再び俺たちはティラノサウルスに向かう。

 三人がティラノサウルスの正面から攻撃を仕掛ける!


 (トーダ!)

 (よしきた!)


 トーダが俺の中に入る!

 人式!

 散々練習してるんだ。たまには使わなきゃね!それに今の俺の力だけではコイツを倒す力はない。


 俺はティラノサウルスの背中に飛び乗り、全力で氷魔術を放った!

 トーダと一体になると魔術の威力が格段に上がる!

 そして魔力も無限に感じる!

 ティラノサウルスの身体がみるみる冷えていき、表面に霜が降りてきた!

 行ける!

 更に氷魔術を放ち続ける。

 俺を振り払おうとしていたティラノサウルスの動きが鈍ってきた!

 よし!



 俺はティラノサウルスの背中から飛び降りると、横っ面に思い切り特大のパイルバンカーを叩き込んだ!

 一撃で吹っ飛ぶティラノサウルス!

 横転したティラノサウルスを蹴り上げて仰向けにする。

 そして重力魔術で地面に磔にした。動かない!

 大丈夫だ!ティラノサウルスは体温低下のせいで、まともに魔力を使えていない!


「団長!」

「よし!良くやった!行くぞ!」


 三人が風の速さで駆け降りて来て、空中で剣を振りかざし落下して来る!

 うおー、怖え!


 斬!


 3人の剣が魔刃を纏ってティラノサウルスに叩き込まれた!

 盛大に噴き上がる血!


「おいカイン!首が落ちとらんぞ!」

「無茶言わんで下さいよ!」


 見ると、ティラノサウルスの首は7割ほど斬られているが、かろうじて繋がっていた。

 しかし、胴体の方を見ると、何とティラノサウルスは真っ二つに分かれていた!

 このオッさん、あのデカい胴体斬っちゃったよ・・・。


「ユーキのおかげで魔力も纏っとらん魔獣だ!このくらい斬り落とせ!」

「どこかの怪物と一緒にしないで下さい!」


 ガハハと笑うフレッドさん。

 頭を掻くカインさん。

 エドがため息をつく。


「どうしたの?」

「俺の剣、半分くらいしか通らなかった」

「いや、十分でしょう…」


 なんか周りが化け物だと自信失くすよね。

 気がつくと闘技場は観客の大歓声に包まれていた。

 結局逃げなかったのかよ。なんだか、ここまでがショーの一部みたいになってるよ。


「見よ!古代獣は王国の剣によって討伐された!この瞬間を目に焼き付けよ!」


 会長もういいよ!

 ますます盛り上がる会場。

 大歓声の中を俺たちはそそくさと退場した。

 もう俺はへとへとだ。

 なのにフレッドさんとカインさんは、陛下のところに報告に行った。何で平気な顔してんだよ。



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