最初の任務
「さて次だけど、ユウト君に最初の任務を与えるわ」
「任務ですか……」
いつの間にか冒険者から騎士になってしまったが、任務という言葉を聞いて思わずユウトはドキリとしてしまった。
「いったい、どんな任務ですか」
ユウトはおそるおそるミリアーナに向かって聞くと、
「それはね……ユウト君には学生になってもらいます」
「はい?俺が学生?」
「そう学生よ」
「ということは、俺は学生になりました?」
「そうです。学生ですよ」
「じゃあ俺ってもう騎士じゃないのですか?」
「いえ、騎士兼学生よ」
さすがに今回はまだ騎士であるらしい。というか騎士兼学生ってなんだよ。本当に俺の成り行きはどこへ向かっているのかわからないぜ。
「そんなにもったいぶらずにまとめて言えばいいのに」
すべてを平らげたガルフはお茶を飲みながらミリアーナに向かって言う。ユウトはそのガルフの姿を見てよくあれだけ食ったなと思っていた。
「そんなの駄目よ。せっかくの楽しみが減っちゃうじゃないの」
ミリアーナにとってはユウトとの会話は楽しみであったことを知り、ユウトは思わず苦笑する。
「で、次から本題だけど、ユウト君に学生になってもらうのは嘘じゃないわ」
「でも、なんで俺が学生にならなくちゃいけないんですか」
「騎士になってもらっても学力がないと今後の行動に関係するの。それにユウト君は戦力として大きい九十九武器の所持者ならなおさらね」
「俺は前も学生だったから別にそれ程気にならないからいいですけど、また学生になるとは思ってもいませんでしたよ」
「えっ⁉ユウト君、前も学生だったの。それは何とも奇遇ね」
「本当に奇遇だと思っていますし、どこに行っても結局収まるところに収まるものですね」
「そうね。それに騎士になったと言った時も、それほど騎士について動揺していなかったし、さてはユウト君は前もこちらで言う騎士兼学生だったのかしら?」
「いえ、騎士については知識だけです」
「あら、そうなの。なんか残念」
ミリアーナは本当に残念そうな表情をするが、それはユウトが騎士でなかった事ではなく、騎士兼学生だったら面白いと思っていたからである。
「すいません。期待に応えられなくて」
「ううん。別にそれ程気にしていないわ。むしろ今でも充分過ぎるぐらいユウト君は大事な存在よ」
ミリアーナに大事な存在と言われ照れてしまうユウトであったが、すぐに気を取り直す。
「とりあえず、今から学園の事について話すわね。ユウト君に通ってもらう学園は、将来この国を支えることになる子供達が集まる学園よ。そこでいろいろと学んでもらって将来は国の為に……ってユウト君あんまり興味ないのかしら」
「すいません。なんか話が大きすぎてついていけなかったです」
俺が国を支える存在になるなんて想像すらしていなかったことだ。でも俺が持っている力はそれだけの力だったということを改めて知らされた。だが、そんな話を急にされても現実味がなさ過ぎて俺のことであるとすら思えない程である。
「確かにこんな話をしても理解しにくいわね。よしっ、そうしたら今日は面接をしてユウト君を調べるだけにしましょう」
ミリアーナはそう言うと机の引き出しから何やら紙を数枚取り出した。
「さて始めるわよー。」
なにやら楽しそうにしているミリアーナを見てユウトは嫌な予感しかしなかった。そしてユウトはこの時、冒険者になる時に行った審査を思い出していた。
あの時はフィーの手助けや運も味方してくれたおかげで何とか乗り越えられたが今回は相手がミリアーナである。
ユウトは息を飲み面接に臨むのであった。




