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第五騎士団


 現在ユウトとガルフは並びながら第五騎士団の支部(しぶ)がある場所へと向かっている。

 

 その途中にガルフに教えてもらったのは、騎士団(きしだん)役割(やくわり)についてであった。

 

 ガルフの話によると騎士団(きしだん)は現在全部で五つある。

 

 第一騎士団(だいいちきしだん)は騎士団の統括(とうかつ)を行っており騎士団の中で何か不穏(ふおん)なことがあれば調査できる権限を持っている。

 

 第二騎士団(だいにきしだん)心術(しんじゅつ)の開発と研究を行っている。第三騎士団(だいさんきしだん)についてはユウトが王都に来た時に聞いた通りで主に国内の守備(しゅび)に関係している。

 

 第四騎士団(だいよんきしだん)は回復や王国の衛生(えいせい)に関係しており怪我人や病人などを回復術による治療、および投薬(とうやく)をして国内の流行(はや)り病や疫病(えきびょう)なども防いでいる。

 

 そして最後にガルフが所属する第五騎士団(だいごきしだん)は最近出来た騎士団でその役割は国内のギルドの統括(とうかつ)。および九十九武器(つくもぶき)捜索(そうさく)である。

 

 九十九武器(つくもぶき)捜索(そうさく)は簡単に出来ない為、ほとんどがギルド関係となるが今回の教皇のような事件も担当となっている。

 

 以前は第二、第三騎士団が担当していたが、国は精鋭(せいえい)を集めた騎士団として第五騎士団を作ったのだ。

 

 そして、その副団長にガルフは任命(にんめい)されているのだ。

 

 ガルフが言うには、これでも簡単に説明したものなので、本来はもっと細かく決められているそうだが、ユウトが今知っておく分にはこれで充分(じゅうぶん)らしい。


 「意外とガルフって(えら)い立場だったんだな」


 「そうだよ。君やフィリスは俺の事を軽く見ているけど本当は偉いんだよ」


 「そうしたら次からガルフ様って言ったほうがいいかな」


 「そんなこと言わないでいいよ。むしろユウト君がこれからそうやって言われるかもしれないし」


 「俺が?」


 「そうだよ、ユウト君はまだほとんどの人に知られていないけどその聖剣の所持者だからそれが分かれば、立場が変わっちゃうからね」

 

 ガルフは笑いながら言っているがユウトはまだ現実味が感じられていなかった。

 

 そしてユウトは現在しまってある聖剣(せいけん)の事を思った。この聖剣のおかげで今のユウトがあると言っても過言(かごん)ではないが、この時ユウトはまだこの聖剣の持つ力の全てを知ってはいなかった。


 「さて話をしている途中(とちゅう)だけど目的地についたから続きはまた今度ね」

 

 「ここが、その騎士団の支部か……」


 ユウトの目の前には、大きくそびえたつ第五騎士団(だいごきしだん)支部(しぶ)があった。


 ガルフの案内で階段を上り中へと入るとその中は全く人がいなかった。その為中はとても静かであり、その静かさは二人の足音が聞こえる程であった。


 「あんまり人がいないんだな」


 「もともと、全体の人数も少ないしほとんどの騎士は国内各所(こくないかくしょ)に散らばっているからね」


 「意外とこの世界の人達も忙しいんだな」


 「そうだね。全員がここに集まることは基本ないだろうし俺も最近は出ていたから久しぶりに戻って来たよ」

 

 そしてユウトは、第五騎士団団長がいる部屋に案内されるのであった。


 「ミリアーナ入るぞ」

 

 ガルフは扉を軽く叩いて部屋の中に入る。


 「あら、少し遅かったわね。来るのが遅いから先に頂いていたわ」

 

 部屋の中に入ると一人の少女が食事をとっていた。ユウトはこの時それなりに年上の人を想像していたが、中にいたのはそれ程年も離れていなさそうな少女であった。


 「あれ、俺達は先に食事をとってからこっちに来るって言ってなかったっけ?」


 「言ってないわよ。ガルフの報告はここにそのユウト君を連れて来るってだけよ」


 ミリアーナは、これから来る人の為にわざわざ食事を用意してくれていたのだが、待っていても来ないので先に食べていたのだ。


 「まぁ確かにそうだけど、予定の時間も昼を過ぎていたから、先に食べさせておいたほうがいいかなって思ったし、それにフィリスもいたからなおさら()わせておかないとまた何を言われるか分からなかったからな」


 「フィリスちゃんは関係ないでしょ。あの子だってそれぐらい一人で出来るだろうし、それにエアリスちゃんはどうしたのよ?」


 「エアリスちゃんは、今頃フィリスと王都観光をしているはずだよ」


 「観光ですって⁉今日は全員一緒に連れて来るって言っておいたでしょ!なんでそんなに段取(だんど)り悪いのよ!」


 「怒るなって、たぶん時間差で聞いてなかったんだよ。それにエアリスちゃんは急ぎでもないだろう」


 「確かにそうだけど、せっかくなら二人一緒に……いや、やっぱり今度でいいわ」

 

 ミリアーナは何かを思いついたようで妖艶(ようえん)にその口元を緩めた。そしてそれを見たガルフは(あき)れるように、


 「お前なんか(たくら)んでいるだろう。ユウト君とエアリスちゃんはまだいろいろと慣れていないからやめておけよ」


 「失礼ね。何も(たくら)んじゃいないわよ」

 

 口ではまともな事を言っているがミリアーナが何かを(たくら)んでいるのかはユウトでも分かるぐらいであった。


 「さて、そうしたらあなたがユウト君ね。私は第五騎士団団長ミリアーナ・エクスベルトよ。覚えておいてね」


 「夏地ユウトです。この世界の事はまだ分からない事だらけだけど、とにかく食らいついて頑張りたいと思います」

 

 ユウトはそう言うとミリアーナに向かって頭を下げた。


 「それじゃあ、挨拶(あいさつ)もしたし本題の話をしましょうか。あっ、それとまだ私昼食中だから食べながらでもいいかしら?」


 「あっどうぞ。それと俺はどうしたらいいですか?」


 「みんなの分は用意したけど、ユウト君は食べられそうだったら食べておいてね。あっガルフは残さず食べなさいよ」


 「えっ⁉なんで」


 「なんで、じゃないわよ。このままだと無駄(むだ)になっちゃうでしょ。それに私達はこの後も仕事があるんだからこの昼食を今食べなかったら次に食べるのは明日になっちゃうわよ」


 「俺、今腹いっぱいなんだけど」


 「いいから食え」


 「はい……分かりました」

 

 ガルフは渋々(しぶしぶ)席に座って食事を始める。ユウトも目の前の席に座ってガルフを横目で見ていると、


 「さて、ユウト君。早速(さっそく)だけど、あなたの所持している武器はどれぐらい使えるの?」


 「正直まだ、それほど使えてないと思っています」


 「そっか。でも、ユウト君は例の事件で教皇とやらを倒したけどそれでもまだ強くなれると思うの?」


 「はい。間違いなく」

 

 その質問にユウトは即答(そくとう)した。ミリアーナもその答えの速さに思わず笑ってしまった。


 「あはっ。…おっと失礼。まさか即答(そくとう)してくるとは思っていなかったわ。でもユウト君はそれだけの自信があるんだ」


 「いえ、自信ではなく覚悟です」

 

 ユウトは真剣(しんけん)眼差(まなざ)しでミリアーナに答える。その眼差しは年相応(としそうおう)のものではなくそれなりの苦難を知りそれを乗り越えた者の目をしていた。そしてそれを見たミリアーナは、


 「いいわ。すごくいい。ユウト君は九十九武器(つくもぶき)所持者として扱おうとしたけど、とっても気に入ったわ」


 「ありがとうございます」

 

 ユウトはミリアーナに向かってお礼を言い、ミリアーナもユウトに対してお礼を言った。


 「お礼を言うのはこちら方よ。あなたが持つ九十九武器(つくもぶき)はこの国の大きな力になるわ。でもね。その力は期待される分ユウト君には大きな負担になるかもしれないわ。だから困った時は私やガルフにも遠慮(えんりょ)なく頼ってね」

 

 ミリアーナの頼もしい言葉にユウトは大きく(うなず)き返事をする。


 「本当にありがとうございます」


 「これくらいいいのよ。あなたも第五騎士団(だいごきしだん)の一員だしその団長として当たり前の事を言っただけだから」


 「えっ。俺が第五騎士団(だいごきしだん)の一員?」


 「そう一員よ」


 「ということは俺、騎士になりました?」


 「そうよ。騎士よ」


 「じゃあ俺ってもう冒険者じゃないのですか?」


 「ええそうよ。ユウト君は騎士になりましたよ」

  

 笑顔で現在のユウトの称号(しょうごう)を伝えるミリアーナだったが、ユウトはその言葉が理解できず混乱(こんらん)していた。そしてなんで急にこういう事態になってしまったか考えていると、ひたすら食事を進めていたガルフが教えてくれた。


 「ユウト君は、九十九武器(つくもぶき)所持者であるから国の大事な戦力なんだよ。それでその戦力を管理(かんり)する為に、国は所持者をどこかの騎士団に入れるんだよ。それで、今回はいち早くミリアーナがユウト君を騎士団に入れたわけだよ」


 「説明ありがと、そうしたら残さない様に食べておいてね」


 「まだ、食べるのか……」

 

 ガルフは少々げんなりしているが、なんだかんだ言いつも食事を続けるのであった。

 

 対してミリアーナは食事を終え、現在では食後のお茶を飲んでいる。しかし、ユウトはガルフの言った事を理解したつもりだが、ユウトはまだ納得(なっとく)がいっていなかった。

 

 しかしユウトは、騎士団に入るのが嫌なわけでないがいろいろと情報が整理出来ていないだけである。

 

 そして、そんなユウトを見てミリアーナは、


 「まぁ、ユウト君の言うところの成り行き任せとやらに従ったらどうなのかしら?」


 「はい。そうですね」

 

 ユウトはその言葉に納得(なっとく)するように返事をした。

 

「よろしい、では次ね」

 

 そしてその返事に満足したミリアーナは、次の話をし始めるのであった。


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