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面接開始


 ミリアーナは、一枚目の紙を選び読み上げる。


 「そうしたら一つ目、ユウト君は何を一番に望みますか?」

 

 ユウトはその質問の答えに少し悩んだ。俺が一番に望むもの……。となるとあれになるのか。


 「ミリアーナさん、その答えって現在の一番ってことでいいですか?」


 「いいわよ。一番を教えてちょうだい」


 「そうしたら、ゆっくりとした日常(にちじょう)を望んでいます」

 

 その答えに部屋全体がしんっと静まる。そしてその静けさにミリアーナは耐え切れず、


 「あはははっ。ユウト君は九十九武器(つくもぶき)があるのに、それが一番の望みなの」

 

 ミリアーナは予想外に答えに思わず笑ってしまった。だが、ユウトはそれでも答えを変える気はなかった。


 「でもこれが、今のところ俺の一番の望みなので……」


 「そっか。誰もが(うらや)む力を持っているのにユウト君はそれを望むんだ。まるで、歴戦(れきせん)の勇者みたいな事を言うのね」


 「まぁ。そういう知識はありますから」

 

 俺が知る限りではチート級の力を手に入れたとしても、それほど派手(はで)な事はしないで、のんびり過ごす人は多いはずだ。まぁ欲を言えば可愛いヒロインがちゃんとそれなりにいると尚更嬉(なおさらうれ)しいけど。


 「わかったわ。それじゃ次ね。そうしたら今のユウト君に欲しいものはありますか?」

 

 望みの次は欲しいものと聞かれ、また悩むユウトであった。そして悩んだ結果出た答えが、


 「すいません。今は思いつくものがありません」

 

 ユウトは正直に答えたが、その答えにミリアーナは驚きを隠しきれなかった。


 「本当に言っているの。それともユウト君は現状で満たされているのかしら」


 「確かに現状にも満足していますし、それに俺、この世界の事をまだあまり知っていないので」

 

 ユウトはこの世界にきてそれ程経っておらず、ほとんどの事を知らないのである。そして現状は特に不満という不満もないのである。


 「なるほどね。知らないからそれ以上が無いということね。なら、今後のユウト君の成り行き次第では、変化の余地(よち)ありということね」

 

 そしてミリアーナは、次の質問をするのだが、この質問が一番ユウトを困らせるのであった。


 「それじゃ最後ね。ユウト君には将来を約束した女性はいますか?」


 「はいっ⁉」

 

 その質問にユウトは声を裏がえし赤面(せきめん)した。そしてその姿をみたミリアーナは口元を緩めるのであった。


 「あーその顔可愛いわねー。いるの?将来を約束した子。もしかしてエアリスちゃん?それともフィリスちゃんかしら?」


「あっあの……その、エアリスは……それにフィーも……」

 

 ミリアーナの追撃(ついげき)の質問にユウトは戸惑いに戸惑ってしまい、どうすればいいか混乱していると、ミリアーナはその(あわ)てるユウトを見て、さらにイジろうとした時、


 「ユウト君には、まだ将来を約束した子はいないよね」

 

 ガルフの助け舟にユウトは悩むことなく乗り、大きく何度も(うなず)いた。そしてその返事にミリアーナは一瞬顔をしかめた。


 「ガルフったら余計な事を……。でもまぁ、それならそれでいいけど、とりあえずはエアリスちゃんとフィリスちゃんが候補(こうほ)ってところかしら」


 ミリアーナが一人で考えている内にユウトは、大きく息を吸い乱れた呼吸を整えた。


 「まぁ、最後の質問はもっと聞いておきたかったけど、これ以上聞くとユウト君が耐えきれそうにないからやめておくわね」


 「たっ……助かります」

 

 ようやく、ミリアーナの面接が終わったかと思い一息つくユウトであった。


 「それじゃ、面接も終わったし次は制服の準備ね。シルフィアこっちに来てちょうだい」

 

 ミリアーナが呼ぶと扉を開けて一人の少女が入って来た。


 「はーい。ミリア来たわよー」


 「紹介するわ。この子は第四騎士団(だいよんきしだん)所属のシルフィアよ。今は第五の手伝いをしてもらっているの」


 「第四騎士団(だいよんきしだん)所属のシルフィアです。よろしくっ!」

 

 シルフィアは元気な声でユウトに挨拶(あいさつ)をする。見た目はミリアーナと同じぐらいでユウトから見るとお姉さんという表現がしっくりくる。


 「さて、そうしたら、シルフィアにはユウト君の制服を合わせてもらうけど頼んでもいいかしら」


 「もちろんだよ!それじゃ、ユウト君は私について来てね」

 

 シルフィアはそう言って先に部屋を出る。


 「ユウト君、全部終わったら帰りは送ってあげるからね」


 「悪いなガルフ。それじゃあ行って来るよ」

 

 ユウトもシルフィアの後を追って部屋を出て行く。そして部屋にはミリアーナとガルフだけとなった。


 「ユウト君は変わった子ね。でもそれがいいのかもしれないわ」


 「ミリアーナがそう言うのならそれでいいじゃないか」


 「そうね。でも心配な事も多いから尚更(なおさら)、エアリスちゃんに会いたくなっちゃったわよ」


 「そうだね。でも今日はユウト君だけで良かったかもしれないね。今日の答えだと尚更(なおさら)エアリスちゃんがユウト君にとって大事になるかもしれないから」


 「私も思ったわ。だからこそ、シルフィアにはちょっとユウト君にいたずらをしてもらうように言ってあるわ」

 

 ミリアーナは無邪気(むじゃき)に笑いながら言う。そしてそれを見るガルフは、


 「本当に、そういう性格はどうかと思うよ」


 「でも、ガルフも嫌いじゃないでしょ」


 「そんなことを言わせるなよ」

 

 ミリアーナはまた楽しそうに笑いだす。そしてガルフはその楽しそうに笑うミリアーナのを見て少しだけ表情を緩めるのであった。


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