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いざ王都へ


 村を出発したユウト達は街で王都(おうと)まで向かう道のりの間に必要になるものを調達していた。


 「なぁフィー。これなんてどうだ。結構(けっこう)役に立つと思うけど」


 「それは、また王都で買いましょう。それに種類も多いのでそっちのほうがいいでしょう」


 「フィーちゃん。これとこれ、どっちがいいかな?」


 「フィー的には右の方がいいですが、ユウにも聞いてみたらどうですか」


 「そうだよね。ねぇ、ユウトはどっちがいい?」


 「うーん。そうだな」

 

 現在ユウト達はとある雑貨屋(ざっかや)で買い物をしていた。この雑貨屋はこの街で一番商品が多いということで、それなりに人が常に店内にいる人気店である。

 

 その中でユウトはこの世界らしさに感動して、エアリスはこういった場所には来たことが無かったのでとても楽しんでいる。

 

 そして今は三人で陳列(ちんれつ)されている商品達を見ているのだ。


 「三人共待たせてごめんね。今さっき全部手続きを終わらせてきたよ」

 

 人を避けながらやって来たのは、ギルドで報告を終えて来たガルフであった。

 

 今回の村で起きた出来事の報告及び税の提出と王都に入る為の手続きをして来たのである。


 「ようやく王都に行けるのか。一体どんなところなんだろうな」

 王都はこの国の中枢(ちゅうすう)でありこの王国の全てが集まる場所である。そしてなぜユウトが王都に向かうことになったかというと、ユウトの所持する聖剣が関係していた。


 ラファール王国及び他国もユウトが持つ聖剣を含む武器の総称である九十九武器を求めている。


 また、ユウトは国外からやって来た教皇の心術(しんじゅつ)による召喚術(しょうかんじゅつ)で召喚されたということも今回の王都に向かう理由にも含まれており、またその召喚主(しょうかんぬし)であるエアリスも今回呼ばれている。


 「それはもう少しすれば分かりますよ。しかし、王都に入ること事態(じたい)が珍しいことですからエアリスも呼ばれて良かったですね」


 「本当に良かったよ。俺がエアリスに一緒に来てくれって言ったあとにやっぱり一緒に行けないなんて言えないからな」


 「私も知らなかったから驚いちゃった。それに私にも何か価値があるなら嬉しいしユウトやみんなと一緒にいられるならもっと嬉しいわ」


 「それじゃあ、早速(さっそく)王都に向かって出発するとするか」


 ガルフは準備も整ったので王都に向けて出発しようとしたのだが、


 「ガルフ、ちょっと待って下さい!」


 「ん?どうしたフィリス?」


 「もう少しこの店の中を見てから向かいましょう!」


 「良ければ、私ももう少し見て行きたいです」

 

 目を(かが)かせるフィーとおずおずと手を上げるエアリスを見たガルフは、


 「フィリスだけではなくエアリスちゃんもとは……二人共時間も無いから少しだけだからね……」


 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

 その後ユウト達は街を出て王都に向かって移動中である。移動中は特に何も起こらず順調(じゅんちょう)に移動することが出来た。そして現在は王都の外壁(がいへき)が見えるまでに来ている。


 「すげー、あれが王都か」


 ユウトは息を飲むほど驚いていた。全体にそびえ立つ外壁(がいへき)は王都を守る象徴(しょうちょう)でありその外壁は多くの困難(こんなん)から王都守り続けている。


 「王都全体はかなり広いから、俺が用意した通路で入る予定だよ、それじゃあユウト君もついて来てね」

 

 ガルフとフィーはユウト達より先に進んでいき、ユウトも置いて行かれない様にその後をついて行くのであった。

 

 王都(おうと)には中につながる門が各所(かくしょ)にあり、そこから人や物が出入りする。しかし、王都の大きさとその移動する物や人は毎日相当(そうとう)な量である。その為王都は中に入る門にも(くらい)付けをして優先順位を決めてあるという。

 

 一番下の(くらい)であると待たせられる時間はかなり長くなってしまうのだが、今回ガルフが用意してくれた入り口は上位の入り口となる。しかし、その入り口は現在いる場所からそれなり距離(きょり)があるので移動するまでに時間がかかるのである。


 「なぁ、ガルフ。その門にまだ着かないのか?」


 「もう少しだから我慢(がまん)してね」

 

 ユウトはその言葉を信じて進み続けるとガルフが馬を止める。


 「ここだよ。ユウト君もエアリスちゃんもお疲れさま」


 「なぁガルフここってなにも無いように見えるけど本当にここで合っているのか?」


 「もちろん。俺はここを何度も使っているから間違えることはないよ。ほらっ、見ていて」

 

 ガルフは外壁に近づき何かをかざすとその場所から確かに門が出現した。


 「ガルフ様お疲れさまです。それでは、検査を順次(おこなっ)ってまいりますのでそのままお進み下さい」

 

 門から出て来たのは数人の門番であった。そしてその門番の案内で先にガルフとフィーが中に入りその後ユウトとエアリスがそれぞれ部屋へと案内されるのであった。

 

 ガルフとフィーは簡単な検査だけで済んだのだが、ユウトとエアリスは入念に検査がされた。ガルフの事前の報告があったとしても初めて王都に入る者達はこのように検査をされるのだという。

 

 そしてユウトは検査員の人と話で聞いたのは、外壁の門を始め国防(こくぼう)を担当しているのは第三騎士団ということで、外壁よりさらに上の天蓋(てんがい)と言われる空の守りと、各地の憲兵(けんぺい)は全てこの第三騎士団の所属(しょぞく)でありその総合人数はどの騎士団よりも多いという。

 

 そしてユウトは検査を終え部屋を出ようとした時、何かを感じ後ろを振り向いた。しかし後ろ振り向いてもいたのは先ほどまで検査をしてくれた人しかいなかった。


 「あの、どうかしましたか?」


 「いや、何でもないです。ありがとうございました」

 

 気のせいだったかと思いお礼を言ってユウトは部屋を出て行く。

 

 そして、静かになったその部屋に一人の少女が降り立つ。


 「ふぅ。危なかったー。ここでバレると、この後の楽しみが減ってしまうところだったわ。それにしてもあれがガルフの言っていたユウト君かぁ」

 

 報告書通りであればあの子が新しい九十九武器(つくもぶき)使いであるという事と、あの聖剣の所持者ということになる。


 検査の途中で所持品を確認するときに見えたのだが、あの剣は輝くまで完全に復活(ふっかつ)しており、以前見た時とは比べ物にならないほどになっていた。

 

 あとは持ち主であるユウト君の現在の実力ということになるが、それはガルフからもある程度は報告で聞いている。だが正直(なぞ)な事が多い報告であった。

 

 今回解決した(けん)についても、主犯(しゅはん)はユウト君が退治したという。フィーちゃんを持ちながら戦っていたとしてもあのガルフに一撃(いちげき)を与えているのだからその教皇とやらも決して弱い存在でないだろう。

 

 そうするとユウト君の力は聖剣による能力向上(のうりょくこうじょう)は間違いなくあるとしても、その使い方は時間がかかるはずだ。ましてや心術(しんじゅつ)もほとんど使っていなかった人間が短期間で強くなれるとは思わない。

 

 ガルフの報告ではユウト君は一度死んだとかで、それで死んだ先で前の聖剣の使い手に(きた)えられたと言っていたが、そんなことはあり得るのか。

 

 前例や私の知る限りだと聞いたことはないが、謎が多い九十九武器ならもしかしたらあり得るのかもしれない。

 

 さらに謎なのが、ユウト君が最初に持っていた武器は安っぽい槍だったとも聞いている。

 

 ユウト君は元(やり)使いなのか。……いやそれは考えづらい。槍使いならそれに見合(みあ)った槍を選んでいるはずだし、それこそ聖剣がそんな人間を選ぶことはありえないだろう。

 

 そして結果から(みちび)きだされたのは、ユウト君は謎が多い少年ということである。


 しかし私的にはむしろそれがいい。謎が多くある少年ということは謎を知る際にいじるのも楽しみだ。


 「しかし、見た目はカッコイイというか可愛いほうだったなぁ。そして一緒に来たのが、エアリスちゃんだっけ。あの子も可愛い子だったなぁ」


 「あのミリアーナ様そろそろこの場所も閉鎖(へいさ)しますので、移動をお願いします」


 「んー。ああそうね。ごめんなさい。それにしてもこれから楽しみね」

 

 ミリアーナはそう言ってここに来る前よりも機嫌(きげん)が良さそうに部屋を出て行くのであった。

  

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢


 「あれ、エアリスの方が早かったのか?」

 

 ユウトが部屋から出てくるとすでに三人はユウトが出て来るのを待っていた。


 「うん。私は意外とあっさり終わったよ」


 三人を待たせてしまったと思うとユウトは少し申し訳ないと思った。


 「ユウト君は確認する事が多いから仕方ないよ」


 「確認ってそんなに俺の事を調べる必要ってあるのかな」


 「でもそれ程私が出て来てからすぐにユウトも出て来たから気にしなくていいと思うよ」


 「そうですよ。ユウがちゃんとここを通れれば問題ないですから」


  確かにここに来るには厳重(げんじゅう)な検査を通らないと入れない場所である王都なのだから入れればまずはそれでいいのかもしれない。


 「さてそれじゃみんな無事に王都に入れたことだしまずは、ご飯を予約してあるから行こうか」


 「さすがガルフ、ちゃんとそういう用意をしているところは褒めてあげますよ」


 「はいはい。さて、フィリスは行ったことのある場所だから平気だと思うけど、ユウト君とエアリスちゃんも食べたいのがあったら好きに食べていいからね」


 「悪いな。ガルフ」


 「ありがとうございます。ガルフさん」


 「これぐらい安いものさ。さて行こうか」

 

 四人は食事をするために移動するのであった。


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