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安息


 ユウトはあの後から急に疲れが出て来てしまい、その後のことは全てガルフに任せていた。またガルフも元々そのつもりだったらしく、腕の治療を終えてからすぐにキビキビと事後処理をしていた。

 

 そしてしばらくしてガルフがすべての始末(しまつ)を終えてユウトの元にやって来る。


 「村人たちの催眠も解け始めているし本当に教皇を倒し終えたようだね。手下達も全員捕縛(ほばく)したしこれで全部終わりだよ」


 「そっか、全部終わったのか」

 

 だが、ユウトにはまだ終わっていないことがあるが、それはガルフや他の人には頼めないことであった。


 「しかし、君はあの後なにがあったのか教えてもらってもいいかい?」


 「あの後俺はエアリスを(かば)って教皇の一撃を食らって倒れたよ」


 「えっ⁉でもユウはそんな風に見えませんでしたけど」


 「それは、これのおかげ」

 

 ユウトは、ポケットから金のペンダントを出す。傷を負ったユウトはこのペンダントの能力で超回復をした。


 「へー。そんなのどこで手入れたの?」


 「これは元々ユウガの持ち物で、俺の召喚の時に使われた道具でもあって、最初は全く使えなかったけどユウガが起動してから使えるようになったんだ。でも、今回で使ってしまったから当分(とうぶん)は使えないな」


 「君は本当に珍しいというか、なんというかこう、上手く言えないけどなんでも上手く出来ているよなぁ」


 「俺もそう思っているけど、それを言ったらここに来てからずっとそんな感じだぞ」


 「そうだねぇ。それがずっと続くかは分からないけど、今のところは問題ないのかな」


 「そうだな。出来れば、この後の事も上手く出来ればいいと思っているけど」


 「ユウト!」

 

 遠くでユウトを呼ぶ声がする。その声に応えるようにユウトも呼ぶ。


 「エアリス!」

 

 エアリスは急いでユウトの元にやって来る。


 「ユウト!怪我は無い?」


 「ああ、全く問題ないよ」

 

 やって来た少女こそ、ユウトが全力で戦い抜き守りぬいた少女エアリスである。エアリスは聖堂を出てからすぐに近くの場所に隠れていた。そして周りが静かになり、村人達もいつもの表情で村の中へと戻って来たので一緒に戻って来たのである。

 

 エアリスはガルフとフィーを見るとすぐにお礼を言う。


 「本当にありがとうございました。あなた達がいなければこの村はどうなっていたか分かりません」


 「いや。それ程の事をしていないよ。俺もそんなに仕事していないし、フィリスなんてほとんど何もしていないからね」


 「なっ⁉フィーは出来る限りのことはしましたよ」

 

 フィーはガルフに猛抗議(もうこうぎ)をしているのを見ていると、エアリスがユウトにもお礼を言う。


 「ユウトも本当にありがとうね」


 「まぁ…約束したからな」


 「うん。そうだね……」

 

 エアリスが照れながら言いユウトも照れながらも返答している姿をガルフとフィーは珍しいものを見るようにして眺めていた。


 「おー珍しい。フィリス見てみなよ。ユウト君が照れているよ」


 「ユウにもそういう姿があるんですよ。ここはそっとしてあげましょうか」

 

 ガルフとフィーがこちらを見て何やら二人でニヤニヤしているが今は無視だ。無視。


 「それでだなエアリス。少しだけ話をしたいけど――――――――」

 

 その時、急いでユウト達に向かって来たのは村長達であった。


 「すまんが、衛兵さんこっちに来てくれるか!」


 「そんなに急いでどうしたのですか?」


 「とにかく、急いでこっちに来てくれ!」

 

 ユウト達は村長に達に連れられて急いで向かうと教皇がいなくなっていた。


 「これは……⁉」

 

 村人によると教皇の体が急に現れた黒い手によって地面に吸い込まれていったということである。そして、教皇がいなくなると同時に神官達も砂となり消え去ったという。


 「結局手掛かり無しということか」

 

 ガルフはこの結果に肩を落とす。今回の事件は他の事件に比べてかなり特殊(とくしゅ)な事件であった為、貴重な情報が手に入るとガルフは思っていたが、結局この事件の根幹(こんかん)である教皇が創ったと思われる召喚術について聞くことが出来なかった。


 「でも、これで本当に終わったってことだろ。まずはそれを喜ぼうぜ!」


 「ユウの言う通りです。やっとあの教皇を倒せたのですから、みんなで喜びましょう!」


 「そうですな。それなら我々の村出来る限りのことをさせてもらいますから、楽しみにお待ち下さい!」

 

 そう言って村長は急いでどこかに行ってしまった。周りの村人もいつも通り元気そうだし今のところ問題という問題は見られなかった。


 「それじゃあ俺は、村の周りと聖堂の調査でもしておくかな」


 「そうですね。そうしたらフィーもガルフについて行くとしましょうか。もしかしたら、珍しい何かがあるかもしれませんし」


 「そうだ、もしそういうのがあっても回収するからな」


 「あっ⁉そうやって独り占めするのですね。やらせませんよ」


 「違うって、ちゃんと今回の事件の証拠(しょうこ)として提出するんだよ。それでその後は……まぁフィリスの気にする事ではないからな」


 「あー、そうやってやっぱりもらうつもりですね。そうはさせませんよ」

 

 ガルフとフィーは二人で言い合いながら聖堂の方へと向かう。そして二人して一瞬ちらっとユウトの方を向いたかと思うとそのまま行ってしまった。

 

 フィーとガルフは気が利くのか、それともいじって楽しんでいるのかはこの時のユウトは分からなかったが、それを気にせず残されたユウトは待っている間に先ほどの続きを言おうとすると、先にエアリスに袖を引っ張られた。


 「ねぇ、ユウト。少しだけいいかしら?」


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