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決着


 「ふむ。本当におまえは厄介(やっかい)だな」

 

 ガルフはあの後も一人ですべての攻撃を(しの)いでいた。

 

 息は上がっているが、背中にいるフィーはもちろんガルフ自身もあれからほとんど攻撃を受けていない。

 

 だが、状況は教皇が圧倒しておりガルフもそれを分かっていた。そして、傷を負っていないものの疲労からなのか意識が少し遠のいて来るのを感じていた。


 「もう限界だろ。今楽にしてやるっ‼」


 「ガルフ!しっかり!」

 

 フィーに言われガルフは。今までと同様に槍で受け止めようとするが、予想以上に教皇の攻撃が重い。だが体勢を崩しながらも攻撃を受け流した。


 「しぶといな。いい加減諦めたらどうだ」


 「悪いな。俺は諦めるという言葉は知らないんだよ」

 

 ガルフはそれでも、槍を構え教皇と対峙(たいじ)する。


 「はっ、さすがは王国の駒という訳か。なかなか面倒な奴だ」


 教皇は再び、ガルフを狙い切りかかりるがガルフもその攻撃について行く。

 

 だが、結果はガルフの防戦一方で常に教皇がリードしていた。

 

 そして教皇の一撃がまさにガルフを目がかけて打ち込まれようとしていた時だった教皇は突如(とつじょ)感じた自分の背後を狙う殺気(さっき)に攻撃を止め反転する。 

 

 しかし、前には誰もいない。そしてすぐに後ろを振り向くと、そこにはいないはず人間がいた。


 「なぜおまえがここにいる……」


 「さぁな。でも俺は今ここいる。俺はお前を倒すために戻って来た。教皇‼これで終わりにしようぜ‼」

 

 輝く聖剣を手にしてユウトは教皇の前に現れたことに対して教皇は忌々(いまいま)しく言うのであった。


 「ユウ!無事でしたか!」


 「遅いよ。というか君は何回俺を心配させれば気が済むんだよ」

 

 フィーはいつもと変わらず元気そうであったが、対照的(たいしょうてき)にガルフは疲れているように見えた。


 「二人共悪かった。ちょっといろいろあったんだよ」


 「それについては後で聞くから、さっさと教皇倒してくれよ」


 「言われなくても分かっているさ」

 

 ガルフはユウトに教皇を任してフィーを背から降ろして、自分の左腕の治療を始めた。フィーも何か思うことがあるようでその治療の手伝いをしようとしたのだが、ガルフに一度は止められたが無理にでも治療をしてあげていた。

 

 そして教皇に関してはこの状況になっても余裕で話合う三人の姿を見せつけられるという最大の屈辱(くつじょく)を受けその心中は穏やかなものではなかった。


 「おまえは何度死ねば、死ぬのかな」


 「そんなの知るかよ」

 

 それでもなお教皇の怒りは収まらない。

 

 確実に優勢だと思っていた状況に、終わったはずの人間が邪魔(じゃま)しに来たのである。

 

 そしてその怒りが頂点に達し、感情が爆発する。


 「(わずら)わしいぃいんだよ‼さっささと死んどけよォ‼」

 

 怒りに任せた、教皇の一撃はユウトを向けて叩き込まれる。


 だが、ユウトはそれを聖剣で受け止め弾き返す。


 「なに⁉」


 「さすがにやっぱり強いなお前。でも、もう負けることはないな」

 

 ユウトは教皇の剣をはじき返し、今度はユウトが教皇に切りかかる。

 

 そのままの勢いで切りかかるユウトの一閃(いっせん)を教皇は態勢を崩しながらも受け流し、教皇はすぐにユウトの二撃目を警戒(けいかい)するが打って来ないことに疑念(ぎねん)(いだ)く。


 「なぜ、二撃目を打ってこないのですか」


 「お前とはしっかり決着を着けたいからな」

 

 この世界に来てからの最初の敵。

 

 それこそ、この世界に来た意味であり試練とも言うのかもしれない。

 

 何度も追い詰められ、奪われて来たがユウトは(あらが)い続けた。

 

 そして、積もり積もったこの気持ちに終止符(しゅうしふ)を着ける為にも決着が大事なのである。

 

 しかし、教皇はユウトの気持ちなど、どうでもよくこの状況がただただ気に入らない。


 「偉そうなことぉ、言わせてぇおけば、グチグチと言いやがりやがって、お前は私に敗れた敗者のくせに‼勝者に偉そうなことを言うな‼」


 「違う‼最後に勝った奴が勝利だ‼」


 「だまれぇえええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」

 

 お互いに距離を取り同時に必殺の型を取る。

 

 俺は、ユウガに教えられた今出来る最強の技の構えをとる。

 

 そして、最初に動いたのは、


 「我が最強技ハ・デスをくらええええええ‼」

 

 教皇は剣を地に突き刺し、地面から湧き出した無数の黒い手が()いずりながらユウトに近づくが、ユウトはまだ構えを崩さず、ひたすら溜め続けている。

 

 地を黒に塗りつぶすように進む手が今まさにユウトに触れようとした時、一瞬ユウトは教皇の目の前から消える。


 「クロススラッシュ‼」

 

 そして教皇が気づいた時にはユウトの二連撃が教皇を切り裂き、その個所から血が()き出した。


 「がはぁっ……。だが、まだだッ、まだだぁぁあああああああ‼」

 

 だがその攻撃を食らっても、それでもなおまだ倒れない。

 

 教皇も負けずにありったけの力を振り絞りユウトに切りかかる。


 「うおあああああああああッッ‼死ねぇえええああああ!」

 

 教皇されど、ユウトを狙い剣振り続けるがユウトはその剣を弾き飛ばす、教皇はそれでも残されたもう片方の剣でユウトに切りかかるが、


 「終わりだ!教皇‼」


 「ぐはっああッ……」


 ユウトの振り抜いた剣は教皇の剣を砕くとそのまま教皇を切り裂き、ついに教皇は倒れるのであった。

 

 ユウトは、倒れた教皇を見ながらこれまでの出来事を思い出していた。教皇の召喚術により俺はこの世界に来た。そしてそのすべての因縁が今終わろうとしている。

 

 ユウトは高まること鼓動を抑えながらゆっくりと教皇の首めがけて剣を構えるが、先ほどとは違い震える手で何とか聖剣を握りしめ乱れる息を整えることが精一杯であった。

 

 俺が教皇を殺せばすべてが終わる。震えるな。やればできる。

 

 そう思いながら、トドメを刺そうとした時だった。


 ガルフがユウトの肩に手を置き、


 「ユウト君。本当によくやったね。あとは俺に任せてよ」

 

 ユウトは無言でガルフに託すと、ガルフは教皇の首を切り裂き完全に教皇にトドメを刺した。その後ユウトは教皇が全く動かないことを見届けると、急に力が抜けてしまい倒れてしまいそうになるところを、ガルフに支えられるのであった。


 「ユウ!やっと終わりましたね。…ってなんで泣いているのですか⁉」


 「あっ……いや、やっと終わったんだなって思ったら急に……な……」

 

 ユウトはいつの間に泣いてしまっていようだ。

 

 それもそのはずで、今日この時を迎える為に戦ってきた。

 

 そして、ようやくユウトの長い戦いは終わったのである。


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