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復活


 聖堂内で、エアリスはあの後もユウトを抱えながら泣き続けていた。

 

 すでに心術(しんじゅつ)は発動できず、ユウトはあれから全く動かない。それからは目を覚ますように願い続けたがどれだけ願ってもユウトは目を覚まさない。

 

 ようやく会えたのに、その会えた時間は本当に短い時間であった。


 「私がもっと出来る子だったら、ユウトもみんなもこんなことにならなかったのに、全部私のせいだ。皆に迷惑をかけちゃってもうどうすればいいのか分からないよ」

 

 最早どうすればいいか分からなくなってしまっており、エアリスはその状況にただ泣く事しか出来ない。その時エアリスは自分がどれだけ無力(むりょく)なのかを思い知らされていた。

 

 しかし無情(むじょう)にも、状況はエアリスをさらに追い詰めた。

 

 バタバタと誰かの足音が近づいてくる。しかもその足音は一人のだけではなく複数人の足音でありその音は迷うことなくこちらに向かってどんどん近づいて来る。

 

 その事に気づいたエアリスは急いでユウトと共に隠れようとしたがすでに遅かった。すぐにぞろぞろと部屋に入って来た神官達に囲まれてしまった。


 「エアリス、なぜおまえがあの部屋から出ているかは分からんが、その男をこっちに渡せ。大人しく渡せば、おまえには危害を加えんぞ」


 「嫌よ。絶対に嫌!あなた達がユウトを使って悪いことをしようとしているのは分かっているのよ」

 

 エアリスはこの神官たちが狙っているのはユウトだと分かりユウトにしがみ付く。


 「おい、どうする。入り口であいつが意識を失っていなければ、まだ楽に出来たが俺達だと出来ることが限られて来るぞ」

 

 入り口で見つけた女神官は何かの心術(しんじゅつ)で拘束されておりさらに意識がないことを確認して神官達はすぐに諦めここまで来たのだ。


 「だが、我々も急いで教皇様の元に戻らなくてはならない以上何が何でもやらなくてはならない」

 

 神官達は、エアリスに近づきユウトから()がそうとするがエアリスも必死に抵抗する。神官達もここでユウトを回収しなければならないのでエアリスに抵抗されつつも何とかしてエアリスからユウトを離そうとしていた。

 

 本来なら抵抗すれば心術(しんじゅつ)を使ってでもユウトを回収するところだが、エアリスは今後の計画に必要となっていると教皇から言われているので下手に傷つけでもして能力が低下することになってしまったら、今後の計画にも関わってしまう。

 

 だからこそ、なんとかしてエアリスを傷つけない様にしてユウトを回収しなければならないのだが、予想以上にエアリスに抵抗されている。

 

 だがこのままだと教皇に力を渡すことすら出来なくなってしまう。それも起きてはならない事なので、一人の神官が力を込めエアリスの近くの床に心術(しんじゅつ)を打ち込んだ。


 「次は当てる。早くそいつを離すんだ」


 「嫌!絶対にユウトを渡さない!」

 

 どんな状況でもユウトだけは渡さないと、ユウトに覆いかぶさるようにしてエアリスはユウトを守っていた。

 

 最後まで、抵抗するエアリスだがここまで言っても意思が変わらないと思った神官は、最終手段として、仕方なくエアリスに向かって心術(しんじゅつ)を放つ構えを取った。

 

 残りの二人の神官もその行動に焦りを感じていたが、このままだと時間ばかり過ぎてしまうのも事実であったので、黙って見ていた。


 「放つぞ、エアリス。本当にいいんだな」


 「絶対に私はユウトを守るのよ!」

 

 本当は怖くてどうしようもないけど、もうこれ以上ユウトには傷ついて欲しくない。その一心でエアリスは全てを受け入れたのだ。 

 

 恐怖のあまり目を強く閉じていると、


 「ありがとう。エアリスここからは俺が戦うよ」


 「えっ?」

 

 優しくその頭を()でると同時に、その声の主が立ち上がろうとしていた。


 「ユウト……やっぱり生きていたのね」


 「ごめんな。何度も泣かせて」


 「本当よ……ユウトなんて最低なんだから……でも良かった……」


 「あとでまた謝るから今は少し待っていてくれ」


 「おいっ!お前。そこを動くな!大人し―――――」

 

 いつの間にか周りにいた神官達はユウトにより吹き飛ばされていた。


 「すごい……」

 

 一瞬の出来事にエアリスはただただ驚いていた。その強さは本当にユウトなのかと疑ってしまうほどであった。

 

 そしてエアリスの元にユウトは戻ると、


 「じゃあ。また行ってくるよ」


 「また行ってしまうの……」

 

 教皇は恐らくガルフやフィーと戦っているはずだ。だからこそ早く戻らないと。

 

 だが、ユウトを心配そうに見つめるエアリスは、今すぐにでも抱きしめてしまいそうなぐらい魅力的(みりょくてき)だった。だが、俺はその感情を押し殺し、


 「大丈夫だって!今度は死なないで帰って来るから」


 「絶対だからねっ!ぜっーたいに帰って来るのよ!」


 「分かった約束するよ。絶対に俺はエアリスの元に帰って来るよ」


 「約束よ!約束したからね!」

 

 いつも以上にエアリスはユウトに対して強め言うのであった。もちろんその言葉の全てにはユウトの事を思ってということが含まれている。


 「おう‼任せておけ!」

 

 ユウトは、エアリスに拳を突き出す。

 

 エアリスは、その拳にこつんと(ひたい)を当てて、


 「今度心配させたら許さないんだから。でもユウト頑張ってね」


 「ああ、行ってきます!」

 

 そう言い、ユウトは心術(しんじゅつ)を発動し一瞬で聖堂から消え去った。

 

 そしてエアリスもユウトの後を追うように聖堂から出て行くのであった。



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