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覚悟の確認


 その後ユウト達は村に戻りゾフが高らかに結果を報告すると、村全体は割れんばかりの大歓声(だいかんせい)に包まれた。

 

 それから、何度も村のみんなに感謝された。そして村はすぐに祭りの準備に取り掛かかったのだが、ガルフは時間がないことを伝えるとゾフは残念そうな顔をしたが、どうしてもお礼をしたいということなのでガルフはユウト達に確認を取りほんの少し時間を作った。


 ゾフはすぐに家へと案内して引き出しから取り出した少しの宝石ともう一度感謝の言葉を送った。


 ガルフはお礼の言葉受け取ったが、宝石は受け取らず三人はゾフと握手をして家を出ようとした時に、


 「おい、仮面の!」


 ユウトはその言葉に振り向くとあの時戦った赤蜥蜴人(レッドリザードマン)がいた。


 「あっ、あの時の赤蜥蜴人(レッドリザードマン)ですよ」


 「ここの村だったのか。あの時はいい勝負だったな」


 「ぬかせよ。お前にとって俺なんか楽勝だろ。それよりも大蛇を討伐してくれてありがとう。これでこの村もひとまず安心だ」


 「そっか。良かったな」


 「もう、村に迷惑かけるんじゃないですよ」


 「お前にも言われたくないからしばらくは大人しくしているよ」


 そうして、ユウト達は少しだけ祭りを楽しみ街へと戻るのであった。


 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢


「まぁ、いろいろあったけど、なんとかみんな無傷で大蛇討伐の依頼も完了できたし、蜥蜴人(リザードマン)の村も大喜びだったことだったから本当によかったな。あとは、明日ユウト君がいた村でもあれぐらい喜び合えれば最高だね」


 「そうだな。そうでありたいよ」

 

 ユウト達は蜥蜴人(リザードマン)の村での祭りは時間も無いということもあった為軽めに参加しただけだとしても心から喜ぶことが出来なかった。

 

 蜥蜴人(リザードマン)達の喜ぶ声や表情を見てしまいその姿を自分がいた村と重ねてしまった。その輝く明るさをどうしてもユウトは直視する事が出来なかった。

 

 エアリスはまだあの村に縛られている。きっと、無事だと思うがもし本当にもし万が一何かあった時、俺は何をするか分からない。

 

 さっきまで、なんとか抑えていた感情もまたふつふつと戻って来るのを感じながらこれ以上広がることが無いように抑え込む。


 「ユウト君。これから君に失礼なことを聞くけどいいかな?」


 「失礼ってなんだよ」


 「君の覚悟を聞いておきたいんだ」

 

 その言葉を聞いて一瞬顔が引きつる。覚悟。その言葉はユウガにも聞かれたユウトの意思を示す言葉。その言葉は勇気を与えてくれるが、場合によってはユウトを追い詰める言葉でもあった。


 「いいよ。言って」


 「それじゃあ、ユウト君。君はその大事な子を斬れるかい?」

 

 ガルフはさらっと凶悪(きょうあく)な事を言った。


 「ガルフ!なんでそんなことをいうのですか!」

 

 突如そんなことを言いだしたがガルフにフィーは声を荒げた。そしてその言葉が突き刺さりユウトは絶句した。


 「相手は洗脳や操作が出来る可能性があるとしたら、最悪そのユウト君の大事な子とも戦う可能性はあるだろう。その時どんな手段を使っても駄目だったら君はその子を斬れるのかい?」


 「お……俺がエアリスを斬る……だと…」


 「ガルフ!戦う前からなんてことを言うのですかこれでは、ユウトが戦えないではないですか!」


 「むしろ、これで戦えないならそれはそれで問題ないよ。さらに日を使って兵をかき集めてあの村に強襲をかけるまでだよ。まぁ、そうなれば人はかなり死ぬな。でも間違いなく制圧は出来るよ」

 

 ガルフの言う通りこれで戦えないなら行かない方がいい。それこそユウトが取り乱してガルフやフィーを巻き込むならなおさらだ。

 

 でも、それで俺はいいのか。いいはずがない。 

 

 それに仮に俺が行かないで、エアリスを迎えられたとしても心からエアリスに会うことは出来るのか。

 

 もし、出来るとしたら俺は何のためにここまでみんなに協力してもらったのか分からなくなりそうだ。

 

 ユウガやみんなに鍛えてもらって、フィーに仲間になってもらい、ガルフも力を貸してくれているのに、それを今から使わなくてどこで使えばいいんだ。

 

 そして結果だけを求めるなら、間違いなくガルフの言うことは正しい。ただ、その結果は教皇とその仲間を排除する事だけを目的とした掃討戦(そうとうせん)となる。

 

 それなら俺が覚悟を決めた意味がない。もしそれならその時は。


 「ガルフ、そんなことを聞くなよ。もちろん決まっているから。その時が……万が一その時があったら……その時があったら……俺は…エアリスを斬るよ」


 「そっか。それなら明日は頑張ろう。それで早くそのエアリスちゃんを救ってあげよう」


 「……そうだな。そうしよう」


 「それじゃ、俺は別のところに宿を取っているからこれで失礼するよ。じゃあまた明日会おうな。あっそれとフィリスに渡しておくものがあるからちょっと来てくれないか?」


 「なんでしょうか?それなら持って来てくれればいいじゃないですか?」


 「いいから、送り迎えはしっかりしてやるからついて来いって」


 「うーん。分かりましたよ。それではユウ少し行ってきますね」

 

 そう言ってガルフとフィーは部屋を出て行った。

 

 ユウトは静かになった部屋でつぶやいた。


 「エアリスを斬る…か」


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