表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/48

各々の実力


 「あれが、その住処(すみか)ですか」


 「思って以上に大きい洞穴(ほらあな)だな。これは注意が必要だ」

 

 フィーとユウトは、ガルフよりも前に出て大蛇の住処(すみか)を確認する。

 

 周辺は、静かすぎるぐらい静まっており緊張感(ただよ)う雰囲気であった。


 「では、フィーがあの洞穴(ほらあな)にファイアボールを打ち込みますので、ユウはその後の援護をお願いします」


 「ファイアボールは気をつけて撃ってくれよ。この間の赤蜥蜴人(レッドリザードマン)の時も、貰い玉を受けそうだったからな」


 「分かっていますよ。ちゃんと大蛇を狙いますよ」

 

 フィーと確認を終えて、ガルフに合図(あいず)を送り送り返されたのを確認し手からフィーに言い戦闘を開始する。


 「よしっ。フィー打ち込んでやれ!」


 「分かりました。いけ、ファイアボール!」

 

 フィーの持つ錫杖(しゃくじょう)から放たれた、複数の火球(ファイアボール)は吸い込まれるように洞穴(ほらあな)の中へと入り、奥で爆発を起こしていた。そして、それからすぐに地鳴りのような音が周囲にし始め周りがざわめきだしそして、


 「キシャアアアアアアアアアアアッッ‼」

 

 火球(ファイアボール)により呼び起こされた大蛇はその体躯を怒りに震わせながら洞穴(ほらあな)から姿を現すのであった。

 

 ユウトはすぐにフィーを抱え込みその場を離れる。

 

 そして震える地面に戸惑(とまど)うことなくユウトは大蛇の出方を(うかが)う。話しに聞いていた通り大蛇はかなりの大きさに成長していた。間違いなくこの周辺の(ぬし)である。

 

 大蛇は自分を襲撃した獲物をそのうねる巨体で周辺の草木をなぎ倒しながら探し続ける。その怒りは呼吸からも伝わるほど荒々(あらあら)しかった。


 「ユウ。まずは上手く出来ましたね」


 「ああ。そうしたら次はどうしたものか」

 

 こんな大蛇がいるとは思っていなかったが、この大蛇が成長を続ければ、あの蜥蜴人(リザードマン)の村だけでなく他の場所にも被害が出るに違いない。


 「おいおい。二人共、攻撃しただけでその後をどうするか考えていないなんて駄目じゃないか」

 

 声の主は暴れ狂う大蛇の前に立つガルフであった。

 

 大蛇はガルフの存在に気づき、すぐにその大顎(おおあご)を全開に開き、ガルフの周辺を食らいつくす勢いで、噛みついたが大蛇の口には草木や土ばかりで肝心(かんじん)のガルフが入っていなかった。


 「さすがは大蛇と言ったところか。それにしても、久しぶりに勢いのあるモンスターだな。これは楽しめそうだ」

 

 瞬時に跳躍(ちょうやく)していたガルフは大蛇の頭上を取っていた。そしてその頭部めがけてその手に持つ黒槍(こくそう)で切り裂いた。


 「キシャアアアアアアアアアアアッッ‼」

 

 大蛇は痛みとそれによる怒りで激昂(げきこう)した。さらに体を大きく使い先ほどよりも強い地鳴りを起こしながら暴れ狂う。


 「さて、俺は一撃与えてやったよ。次はどっちがやるのかな?」


 「そうしたら、次はフィーが見せ場を作りましょう!ユウはそのままフィーを抱いたまま走りまわって下さい!」


 「おっ?おう!わかった」

 

 ユウトはすぐにフィーの考えを理解して言われた通り、大蛇の周辺をフィーに負担をかけない程度で、絶妙(ぜつみょう)に調整をしながら走り回った。


 「さて、行きますよぉ!フィーの最大の最高火力をお見舞いしてやりますよ!」

 

 フィーはそう言うと、錫杖からファイアボールを連続で放ち続けた。その数は数十発にも及び、その威力は大火力となり、大蛇を包み込んだ。


 「ギシャアアアアアアアアアアアアアッッ‼」 

 

 ガルフの攻撃からの連撃に大蛇の怒りも頂点になり目の色を変えて、大蛇はさらに大暴れをした。そして、そのおかげもあってフィーが放ったファイアボールによる周りの延焼(えんしょう)は防げたが、大蛇は最早、嵐の様に暴れまわっている。


 「フィリスの奴無茶苦茶やりやがるな。まぁ、周りに燃え移ったとしても俺が消しまわるからいいけど。さて、残るユウト君は何をしてくれるのかな?」

 


 「フィー!滅茶苦茶放ちまくったな!」


 「そうでしょう。これがフィーの実力というものですよ。さてそうしたら次はユウトの番でしょうから、どこかにフィーを降ろしてくれますか?」

 

 ユウトはフィーに言われた通り、安全な場所に降ろしてすぐに大蛇の元に向かう。

 

 大暴れをして疲れたのか、はたまた二人の攻撃により消耗したのか大蛇は動きが最初よりも鈍っていた。

 

 だが、目の前に現れたユウトを目にして大蛇の目は再び輝きだし、ユウトに向か食らいつくが、ガルフ同様ユウトも瞬時に回避する。しかし大蛇もその行動は読んでおりすぐに次の攻撃に転じた。


 その尾を全力で振り回し、岩肌(いわはだ)や地面をえぐりながらも振り回した。だが、がむしゃらともとれるその攻撃は最早大蛇の最後の足掻(あが)きであった。


 ユウトはそれらの攻撃を回避しつつ大蛇の体に飛び乗り、木々を上手く使いそして大蛇の頭部に乗り聖剣を突き刺した。


「ギシャアアアアアアアアアアアアアッッ……‼」


 大蛇の巨体が動きを止め硬直(こうちょく)したかと思った後すぐに力が抜けていき大蛇は体を地面に打ち付けるようにして倒れる。

 

 ユウトは力が抜けると同時に聖剣を抜き木へと移動していた。 


 「討伐完了だな。フィー、今迎えに行くからな」


 「分かりました!待っていますよ」

 

 安全な場所に運んでいたフィーをユウトは向かいに行く。その間にガルフは大蛇が死んだことを確認し、今回の依頼を一人で振り返る。そして結果にそれなりに満足する。


 「聖剣を手に入れてからここまで出来るとは上々だな」

 

 少してフィーと共にユウトが戻って来る。そして、それとほぼ同時に茂みからゾフ達の声がする。


 「冒険者様、ご無事ですか!」


 「ああ、問題ないよ」


  薬草や、その他諸々を手に持ちゾフ達はやって来た。実はゾフ達も遠くの安全な場所で初めからいて、地面の揺れが止んだのですぐにやって来たのだ。


 「おおっ!本当にあの大蛇を討伐されたのですね。これで我が村は平和になりますぞ。御三方本当に……本当にありがとう!」

 

 ゾフは泣きながら三人に感謝した。周りの蜥蜴人(リザードマン)も各々泣くほど感謝していた。

 

 それ程、この大蛇は蜥蜴人(リザードマン)達にとって脅威だったのだ。

 

 それを討伐してもらい、ようやく楽になれたのだ。


 「では。依頼も終わりましたし戻りましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ