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託された依頼


 ユウト達は無事ミシェラによって目的地付近に転送された。

 

 フィーやガルフは馴れているのかすぐに目的地に向かおうといているのだがユウトは転送術に感動していた。


 「いやー、やっぱり転送術って言うのは凄いな。気づいたらもう別の場所にたどり着いているからな」


 「確かに凄いけど体力の消費もかなり大きい心術(しんじゅつ)だから、あまり使いたくはないけど使ってもらえれば助かるのは間違いないね。ミシェラも無理しすぎなければいいけど」

 

 そんな凄い心術(しんじゅつ)を使ったのか。今度ミシェラさんに会ったらお礼を言っておこう。


 「ガルフやフィーもこの転送術を使えるのか?」


 「俺は使えるけど、使ったら先言った通り体力の消費が大きいな。でも問題はないかな」


 「フィーも同じく使えますけど、使ったらその日は力が入りません。誰かに常に介抱(かいほう)してもらわないといけなくなります」


 「じゃあ、もし今使ったらどうなるんだ?」


 「ユウにずっとフィーの事をおぶってもらいます」

 

 やっぱり大きな力には代償(だいしょう)があるんだなとこの時ユウトは思うのであった。


 その後少し歩いただけで、目的地の村に到着した。

 

 村の周りは木で出来た壁に囲まれており、ガルフはその門の近くにある物見に向かって呼び出す。


 「今回依頼を受けに来た冒険者だが依頼の詳細を聞きたいので門を開けてくれないか!」

 

 その声が届いたのか門の後ろで何やらざわめきが聞こえしばらくすると、ゆっくりとその重厚(じゅうこう)な門が開くのであった。


 「お待たせして申し訳ない冒険者殿。私はこの村の村長をしているゾフでございます」


 「今回依頼は大蛇討伐とお聞きしましたが、我々には時間がないので早急(そうきゅう)に内容の詳細を教えていただいてもよろしいですか」


 「もちろんですとも、ささっ、中へどうぞ」

 

 ゾフに案内され村の中へと入る。この時ガルフは自然にゾフと話をしていたが、ユウトとフィーは少し驚いていた。

 

 まさか、今回の件を依頼した村が蜥蜴人(リザードマン)の村だったとは。

 

 村の中へと入りその後は村長の家へと案内された。ユウト達は草で編まれた敷物(しきもの)の上に各自座っている。

 

 家の中は風通しが良くてひんやりとしておりとても気持ちよく、ユウトは審査の疲れもあって寝てしまいそうだったが、ゾフが戻って来たのに気づいたフィーがユウトの肩をポンポンと叩いて、ユウトは気合を入れ直すのであった。


 「お待たせしてしまってすいません。こちらが今回討伐してほしい大蛇(だいじゃ)の情報になりまして、さらにこちらはその生息地です」

 

 見せてもらったのは、大蛇についての詳細であった。書いてあった内容は一番近況(きんきょう)となる大蛇の情報とその絵が描かれていた。情報については狩りに出た蜥蜴人(リザードマン)数体が狩りの途中に大蛇に遭遇(そうぐう)し負傷者数体、二体が死亡した。その後討伐隊が組まれたのだが、見事に返り討ちにされたようだ。

 

 そして大蛇の成長と共に、活動範囲が広がり日を重ねるごとに危険性が増しているのだという。


 「分かりました。では我々がこれから、その大蛇討伐を行いたいと思います」


 「よろしくお願いします。……ですがお三方は本当に、討伐に行かれるのですよね」


 「なぜ、そのような事を?」


 「いや、その錫杖(しゃくじょう)を持っている子は分かるのですが、あなた様とその仮面をつけている方は武器を持っていないので、本当に討伐が出来るのかと思いまして」

 

  錫杖(しゃくじょう)を持っているのはフィーで、仮面をつけているのはユウトであるのだが、ユウトとガルフはなるべく目立たないようにするために武器をしまっているのだが、これはしまっておくようにガルフからここに来る前に言われていたからなのだ。


 「問題ございません。我々は武器をしまっているだけなので、ご心配なく。そしてすぐに目的を達成してまいりますので」

 

 そう言って、ガルフ達は村長の家を出て目的地へと向かうのであった。残された村長は一体となった部屋で無事に討伐出来るように祈った。

 

 そして静かになった部屋に一体の赤蜥蜴人(レッドリザードマン)がやって来た。この赤蜥蜴人(レッドリザードマン)は、最近まで強くなるために外に出ていたが、他に迷惑をかける前に依頼を出されて連れ戻されたばかりであった。

 

 連れ戻されてからは大人しくしていたが、いつかまた外に出ようと思っていたところ、因縁(いんねん)の大蛇を討伐しに来た奴らが来たと聞いて見に来たのだ。


 「やっと、大蛇を討伐してくれる奴が現れたんだな」


 「ああ。やっと来てくれたよ。村でかき集めたお金では見合わないが、それでも来てくれたあの人達には感謝の言葉しか出ないよ」

 

 赤蜥蜴人(レッドリザードマン)はその言葉を聞いて、自分の中にあった思いがあふれ出す。

 

「親父。俺が弱くてすまないな」


 「出ていったお前が戻って来てくれただけでも嬉しいよ。後は大蛇が討伐されれば私達も安全に暮らすことが出来るだろう」


 「そしたら、それはもう少しのことだな」


 「なぜそう思う?」

 

 「俺はあの仮面をつけた奴と戦った事があるんだよ。あいつは俺の爪を完全に防ぎ切った上にまだ余裕がありそうだった。あいつは相当な手練(てだ)れだから俺はあいつらを信じているからよ。それに俺をこの場所に戻したんだから負けてもらっては困る」


 「何とも、珍しい事もあるもんだな。でも確かに負けてもらったら困る。だからあのお三方には是非(ぜひ)とも奮起(ふんき)してもらいたいものだな」

 

 ユウトが初めてフィーと共に受けた依頼で出会った赤蜥蜴人(レッドリザードマン)は、父親である村長と一緒に三人の必勝を祈願するのであった。


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