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 「ふぅ~。ごちそうさまでした」


 「やっぱり美味かったな」


 「ははは、それは良かったね……」

 

 三人共、しっかりと食事を済ませお腹は満足となった。

 

 だが、きっとガルフの財布は()せたに違いない。


 「いやー最高のただ飯でしたね」


 「まさか、こんなに高い料理を扱っているとは……知らなかった」

 

 財布の残りを数えながら(なげ)くガルフを気にすることもなく、フィーは話を続ける。


 「まぁ、今日の依頼の報酬が全て食事代になったと思えば、問題ないですよ」


 「確かに、ミシェラが用意してくれた依頼はそれなりの報酬だったし、君らがその前に色々とやっておいてくれたおかげでいろいろと好都合(こうつごう)だったからね。でも、これは結果的には少し赤字じゃないか」


 「ガルフはお金持ちですから、そんな事を気にするなんて必要ないですよ」


 「他の人からにも言われてからは、最近はちゃんとお金の管理をするようにしていたけどなぁ。今度からはもっと注意しておかないと」


 「しかし、報酬は全部腹の中に入ってしまったけどあの依頼は確かに意味のある依頼だったから良かったな」

 

 話はこの作戦会議をする前の話になる。

 

 ユウト達は連携(れんけい)とお互いの実力を測る為に、ギルドマスターであるミシェラに何か都合の良い依頼を用意してもらうことになった。

 

 だが、時間ももう昼を過ぎたし時間の都合もあるのでそれ程遠くには行けないし、その事もあって今すぐ出来る依頼と言ったら採取(さいしゅ)か調査ぐらいだろう。

 

 もし、気に入ったものが無ければ、近くの場所で連携(れんけい)の確認とでも思ったが、ユウトがいるとなるとこの近くで、行動するのも危ない可能性がある。

 

 だからと言ってわざわざ遠くに行って連携を確認するのも、時間が無駄になってしまうのであまりしたくはない。


 「お待たせしてすいません。いろいろと探してみたのですか、皆さんにやって……合いそうなものを用意してまいりました」

 

 一瞬、ミシェラさんがやってほしいと言いそうになったのは、気にしない方がいいのかもしれない。そう思いながら、何枚か並べられている依頼書を適当に一枚手に取ると、高難易度なのに報酬が見合わない依頼であった。

 

 何かの間違いかと思ってとりあえず、その依頼書を見なかったことにして次の依頼書を取ったのだが、これも先ほど同様嫌われそうな依頼だった。というかこの依頼達は今からすぐに出来る依頼ではない。何日か(つい)やして行う(たぐい)のものだと思われる。


 ガルフの方を見るとガルフもユウトと同じことを思っているようで、依頼書を手にとっては静かに元の場所に戻していた。


 フィーに関しては、自分が出来るか出来ないかを悩んでいるようだったので放っておいた。


 「……なぁ、ミシェラ」


 「はっ、はい。ガルフ様なんでしょうか!?」


 「この依頼だけど」


 「はい。どれかいいのがありましたか?」


 「これ、全部塩漬(しおづ)けの依頼だろ」

 

 その言葉にビクッとミシェラは体を震わせた。


 「いや、あの……その」


 「正直に言ってくれ、塩漬(しおづ)けだよな」


 「……はい。これらは全て受領(じゅりょう)してから、それなりの日数が経っている依頼です」


 「やっぱりそうか。まぁそうだろうな。時間も時間だからそれ程依頼も残っていないだろうし、仕方がないか」

 

 塩漬(しおづ)けの依頼とは、ユウトにも若干(じゃっかん)だが分かるものがある。ゲームでもそうだが、報酬と内容が合ってないのは敬遠(けいえん)されやすい。

 

 そして、そういう依頼が少しずつ集まった結果がこの目の前にある依頼達となる。

 

 それでミシェラはそれほど報酬を気にしてないということと、それなりの難易度を求めているであろうと思い、この依頼達をユウト達に出したのだ。


 「しかし、これら以外となると採取(さいしゅ)か、探索(たんさく)になってしまうかそれこそ何日かの日を要するものになってしまいます」

 

 ミシェラが言う通りこの塩漬(しおづ)けの依頼以外のとなるとそれはそれで都合(つごう)が悪い。

 

 だとすると、気が進まないがやはり塩漬(しおづ)けの依頼を選ぶしかないか。


 「ねぇ、ユウ。この依頼なんてどうですか?」


 フィーがユウトに手渡した依頼は、村に現れた大蛇(だいじゃ)を退治してほしいというものであった。大蛇(だいじゃ)は毒を持っていないが体の成長が早く体が大きくなっており、これ以上放置しておくと被害が予想されるので討伐してほしいというものであった。

 

 報酬はもちろん安めであったのだが、ここからそれ程離れていないことが、この依頼書から分かった。

 

 距離と時間などを考慮してもこの依頼でも仕方がないと思いながら、ガルフにもどうかと聞いてみようとガルフの方を見ると、


 「私だって……出来るだけ依頼をしてもらえるように頼んでいるのですが……ぐすっ、皆さん、聞いてくれなくて……ぐすっ、それに、依頼者さん達がまだ誰も受けてくれないのかと私に言い寄って来るんですよ……私だって頑張っているのに……うわーん!」


 「分かった。分かったから。頼むから泣かないでくれ」

 

 どうしてこうなったのか一部始終(しじゅう)は見ていないがユウトが見ただけだとガルフは、ミシェラさんを泣かせていた。

 

 そしてそれを見たフィーも一言、


 「ガルフ、サイテー」


 「いや、これ俺が悪いのか!?」

 

 何とかミシェラさんを落ち着かせ、ガルフと共にどの依頼にするか検討(けんとう)する。


 「全く、ガルフは状況を分かっているのですか?フィー達には時間が無いのですよ。それなのに、ミシェラを泣かせるとは何事ですか」


 「だから、泣かせたわけではないって、俺も似たような境遇(きょうぐう)があるから分かるぞって言っていたら急にミシェラが泣き始めてしまったんだよ」


 「そうです。ガルフ様は全く問題ないんです。悪いのは全部……わたしでして、ぐすっ、私がもっと仕事が出来れば……」


 「おいっガルフ!これ以上ミシェラさんの事を泣かせるのは良くないぞ!」


 「そうです!ガルフは謝るべきです!」


 「俺は泣かせようともしてないし、何について謝ればいいんだよ!」

 

 だが、時間も無いので早く依頼を決めなければならない事もあり、結局フィーが見せて来た大蛇討伐となった。

 

 決まり次第(しだい)すぐに目的地に向かおうとしたが、その時にミシェラに呼び止められる。


 「あのよろしければ、私の転送術(てんそうじゅつ)で皆さんをお送りいたしましょうか」


 転送術は便利な心術だが、体力をかなり使う。その事を知っている者は使ってもらえることは助かるが使用後にどうなるかを知っているので、素直に喜びにくいのである。

 

 「確かに使ってもらえれば助かるが本当にいいのか?」


 「構いませんむしろこれくらいさせていただかないと私も……ぐすっ」


 「分かった。今すぐに俺達を送ってくれ、そして後ろで二人して俺をジト目で見るな!」

 

 ガルフがまたミシェラを泣かせていると、思いながらユウトとフィーはジト目で見ているのであった。

 


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