別れ…
レイチェルを解放して俺たちの元に戻ってくる。レイチェルも意識を取り戻していて、ルースミアの傷を見ると慌てて駆け寄った。
「ルー姉さまの傷を治して!」
しかし無情にも傷の癒える気配がない。
見ると先ほどよりルースミアの顔色が悪く見えた。
「なんで!どうして?愛と美の神さま、ルー姉さまの傷を治して!」
「無駄だ。神が我を救うために力は貸さん」
「じゃあルースミアはどうなる!」
俺は焦った。やっぱり無事というわけではなかったようだ。
フローズンデスに蝕まれているため、ユックリとルースミアの命の灯火を凍りつかせようとしているようだった。
「ルースミア様、以前お父さんに傷つけられたとおっしゃいましたよね?なら治す方法も知ってるのではないですか?」
そうだったよ。
「あの時はここまで深くはなかった。が、少しばかり時間はかかったな」
「時間をかければ治るって事なのか?」
ルースミアは首を縦にふる。それを見て俺は安心した。
「竜の聖域に我の魂を保管してある。そこで休めば問題はない」
「ならすぐに行って治して来なよ!」
俺の言葉を聞いたルースミアは悲しそうな顔をする。
「この傷はさすがに深い。竜の聖域に行けば問題はないが、おそらく治るまでに100年以上はかかる。つまり定命の主とはこれで今生の別れとなるな」
その言葉を聞いて俺は…
「ルースミア、俺…「よい。そもそも我の我儘に付き合わせたのだ。主が気にすることはない」
ルースミアは俺から鞄を取ると中から初めて洞窟から出た時に使った大袋を取り出すと、そこに財宝を詰め直し、そして俺の鞄にも結構な量の財宝を入れて渡した。
「全部はやらん。だがそれだけあれば主が生きている間困ることはないだろう」
全くこんな時もルースミアはルースミアだな。っとそうじゃない。
ルースミアを見ると守護のローブを脱いでジッと見た後無雑作に守護のローブをレイチェルに突き出す。
「これはレイチェルにやろう」
そう言って手渡すとレイチェルは大粒の涙を零し泣き出してしまう。
そしてルースミアが次にカイの方へ向いた。
「カイ、貴様には服や湯浴みとやらの世話になったな。これからはもう奴隷としてではなく自由に生きよ。
解呪」
カイの手の甲にあった奴隷紋が消え去る。
それを見た直後、うわああああとカイが泣き出してしまった。
2人に礼は出来たと満足そうにルースミアが言うと、俺たちから距離を取り巨大なドラゴンの姿になった。正確には元の姿になった。
「久しぶりだねその姿も」
カイとレイチェルは泣くのを忘れて目の前にいる、超ド級の大きなドラゴンに見入った。
「うむ、さてそろそろ急がねばフローズンデスの呪いがどんどん蝕んできおるわ。
サハラ、主と会えて楽しかったぞ」
表情はドラゴンになってしまったため分からないが、笑ったように思う。
「さようなら、だ」
俺は言わなければいけない事を言いかけようとした瞬間、ルースミアは飛び上がった。
そして微かに聞こえてきた。
『主の側が我の安住の住処だったのかもしれない。最後の時まで一緒にいたかった…』
ルースミアが飛び去った後もしばらく空を見上げ続けていた。
「俺たちも帰ろう!」
3人街に戻る道を歩いていく。カイとレイチェルはあれ以来一言も喋ることなくただ俺の後をついてくる。
「ねぇ、サハラは何で平気なの?」
不意にレイチェルが聞いてきた。
「俺にもやっと夢が出来たからだよ」
「夢?」
「そう、絶対にもう一度ルースミアに会うっていうね」
「でもそれは!」
「レイチェル、言ったじゃないか。
『夢は強く思えばきっと叶うよ!
叶わない夢なんて寂しいだけでしょ』って。
あれは嘘だったの?」
レイチェルがハッとした顔になり顔をブンブンと振る。
「うううん!叶うよ!夢は強く思えば必ず!」
カイが微笑んでいた。レイチェルも笑顔になる。
「あ〜あ、やっぱりルー姉さまには敵わないなぁ、ね?カイ姉さま」
「その様ですね」
「うん?なんの話」
2人が顔を合わせたあと
「「なんでもない(です)」」
ヴァリュームへと俺たちは戻って行く。
俺は夢を叶える。絶対に。
だって…俺は!
読んでいただきありがとうございます。
残り2話のチェックも完了しましたので、本日中に全て更新させます。
それでは




