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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
最終章 見果てぬ夢
66/71

公開処刑

ブックマーク60件突破しました!

「「「騎士として一騎打ちを所望する!

死んだとて名誉は守りたい!」」」


ギャレット達3人が同時に答えた。

そして最初に戦う騎士が前に出る。どうやらギャレットは最後のようだ。


「よおぉし!かかってくるがいい!騎士魔法でも何でも使って構わんぞ!」

「では正々堂々と……参る!」


勝負は一瞬で決まった。

ノーマ侯爵の兜による突進と突き上げで騎士は空を舞い、落ちてきたところをハンマーで引っ叩かれ倒れて動かなくなった。

騎士に声援しようとしていた者達も声をかける間さえなかった。


「儂の勝ちじゃぁぁぁぁぁあああ!

次!かかって来い!」


次の騎士が前に出る。さすがにあの猛突進のような突進に注意しているようだ。


「いざ!ヴァリューム騎士団の名にかけて!」


ノーマ侯爵はまた同じように猛突進しだす、騎士は素早くマタドールのように躱した…はずだったが、ノーマ侯爵がなんと直角に曲がって突き上げたのだ。

そして最初の騎士同様ハンマーで引っ叩かれると動かなくなった。


「儂の勝ちじゃぁぁぁぁぁあああ!

手応えがないぞぉぉぉぉぉぉぉおおお!

少しは骨のあるところを見せぬか!

最後の1人かかって来い!」


もはやこれは戦いなのだろうか?ただ突進され突き上げられハンマーで引っ叩かれる。

技も何もない、これはただの交通事故だった。

声援を送る者もなく、ただ目の前で起こる事故を見ているようだった。


ギャレットが覚悟を決めたのか剣を胸の前に立て祈るように目を閉じる。

そして目を開けると一歩前に出た。そのギャレットは俺の知るギャレットと違う気がした。

端正な普段の顔つきと違い、嬉しそうにニヤけているように見えた。



ノーマ侯爵は馬鹿の一つ覚えのように猛突進をしてきたが、ギャレットは避けるそぶりを見せない。

剣を持たない方の手を前に出すと見えない盾でもあるのかのようにノーマ侯爵の突進がそこで止まった!

周りからも歓声が起こる。


「今のは騎士魔法の防壁(バリア)です」


気がつくと俺たちの側にセッターが来ていた。


「ほぉ儂の突進を止めるか!

それならこれはどうだ!」


なんの変哲もないハンマーによる振り下ろしだった。ただし、尋常じゃない早さだ。

だがギャレットも大人しくしているわけではなく、素早く後ろに下がり小さいハンマーによる攻撃を避けた。


予測(プレディクション)で完全に見切れてます。さすがはギャレット様!」


セッターが俺たちに教えるように嬉しそうに言う。


ギャレットはただ避けたのではなく、そのまま攻撃に転じていた。ギャレットの剣が袈裟斬りのように振り下ろされるとノーマ侯爵はそれを尋常じゃない早さでハンマーを振る。

ノーマ侯爵の筋力と小さいハンマーのため軽量だからだろう、切り掛かったギャレットの剣よりも後から振るったはずのハンマーの攻撃が剣を捕らえた。

さすがに予測(プレディクション)があっても切り掛かった後に間に合うような速度で攻撃が来ては避けようもなく、ギャレットの剣はハンマーの一撃により砕かれた。


驚きを隠せないギャレットに一瞬の隙が生まれ、ノーマ侯爵の追撃の尋常じゃないメッタ叩きをされてしまった。

メッタ叩きが終わると力無くギャレットは倒れた。


「なかなかの強さだったぞ!

これにて処刑を終わる!」


そうノーマ侯爵は言うと見守っていたヴァリュームの民達に叫ぶように言った。


一応処刑だったはずなのだろうが、こうも正々堂々と勝負して敗れた姿を見たヴァリュームの民達は当初の処刑とも違ったため、声もなく広場から去っていった。



3人の騎士が引きずられるように連れて行かれるのを見て、セッターがギャレットのところへ駆けつけようと側に近寄ろうとすると兵士に止められた。


「お前はコイツの従者か何かか?」


そばで見ていたノーマ侯爵がセッターに言う。無言でセッターが頷くとノーマ侯爵がセッターにそっと何かを言うと立ち去っていった。



広場からノーマ侯爵と兵士達が去り、俺は気になりセッターに何を言われたのか聞いてみた。


「3人とも生きています。名を捨てノーマ侯爵に仕える条件に応じればそのまま生かすそうです。

ただしその後の生死についてまでは教えないと」


意外にいい奴なのか?ノーマ侯爵、男気のある人物のようだった。




処刑と言うのだろうか?が終わりセッターはギャレットに言われた通り荷物をまとめたら俺のところに行きますと言って足早に去っていった。

俺たちも宿へ戻ることにした。



「パパ、お姉ちゃんは?」


宿に戻って早々、セーラムがそう言ってきた。

どういう事か詳しく聞いてみると、宿の方に誰か来たみたいでレイチェルが接客しに行ったんだそうだ。セーラムにはここで待っててねと言われて大人しくしていたそうだが、一向に戻る気配がなく見に行ってみたらレイチェルはいなくなっていたそうだ。


慌てるレイチェルの両親が宿屋中さがし出し始めた。もちろん俺たちも探したがレイチェルは見当たらず、見つかったのは一通の俺宛の手紙だけだった。

すぐさま中をカイに確認して貰い読んでもらう。


『捜索した森に来い。3日過ぎたらレイチェルを殺す』


すぐにそれがスレイドの物だとすぐに分かった。

俺はセーラムをレイチェルの両親に任せるとルースミアとカイを連れて急いで宿を出た。






読んでいただきありがとうございます。

おかげさまでブックマーク60件突破しました。感謝の気持ちを込めて本日後ほどもう1話更新させていただきます。



それでは

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