裏切り
スレイド視点
「今こそ好機!ヴァリュームの諸君!一気に叩きのめすぞ!」
騎士団長の声と共にヴァリューム騎士団と冒険者達が一斉にオーク達の元に走り出した。
「リーダー、カイちゃん、俺たちも行くぜ!」
「はい」
「うん」
俺はサハラの背中を押して先に行かせた。
周りの冒険者達も手柄をあげようと倒れたオークの軍団へ我先へと向かいだした。
「スレイド様?」
俺はカイの腕を取るとその手から1本のシミター、フローズンデスをひったくるとそのシミターでサハラの片腕正確には肘を切り落とした。
もちろん『賢人の腕輪』がある方だ。
そして素早く俺は腕輪を取ると、呆気に取られて入るカイに教えてやる。
「ほれ、さっさと治療しに連れてかないと、おっ死んじまうんだろ?」
フローズンデスを見せて教えてやる。
カイは慌てて激痛で呻いているサハラの元へ駆け寄る。
「鞄渡しちまったのは想定外だったが、ま、腕輪は手に入った。
ついでにフローズンデスまで手に入ったと来れば申し分ねぇか?」
周りは手柄を求めて走っているから、こっちにゃ全然気づいてねーな。
フローズンデスで切った場所は霜がついて凍った様になってるおかげで血がでねぇ。
最高じゃねぇか?
「じゃあな!サハラ、カイ。
これで俺は夢を叶えて見せるぜ!ハッハッハッハッハー」
そう言って俺はオークの軍団の方へ他の冒険者達を見習うように向かっていった。
へっ!急がねーと厄介なドラゴンが襲ってきかねねぇな。
オークのところへたどり着くと、まだ戦えるオーク達は騎士団や冒険者と戦っていた。
それにしてもスゲェ魔法だったな。10万の大軍の大半が重症かよ?
「おら!邪魔すんな!」
バカなオークが襲ってくるがフローズンデスで一刀の元に切り伏せる。
こいつぁよく切れるぜ!
さてと、取り敢えず作戦通りサハラにコマンドワードを言わせてコマンドワードは分かった。後はサハラとルースミアが離れ離れになった時を狙うだけだったが、うまい具合に前線と後方で別れられたお陰で、全てが順調に進んだぜ。
オーク様様だぜ!だが、この先何処に行くかだな。
「おいお前、あぁそうだお前だ」
「何だテメェは!」
「そんなに身構えるなよ。俺はお前の味方だぜ?」
「あんた誰だ?」
「闘いと争いを何よりも好む[闘争の神エナブ]様が、お前のその手段を選ばず強さを求め闘いを求める姿に感動し、手を貸してやりたくなった、と言ったら信じるか?」
道化た口調とは裏腹に全く油断も隙もなく話してやがった。
姿は一見普通の戦士に見えるが、その身につけている物全てが魔力を帯びてやがった。
少なくとも神じゃなくてもあり得ない装備なのはじゅうぶんわかる。
「その[闘争の神エナブ]様が手を貸して俺に何をさせたいってんだ?」
「別に?何も求めはしないさ。
俺がお前に求めなくてもお前は勝手に俺が望むように動いてくれるだろうからな」
「つまり俺の好きにしろって事か。
このオークとかダークエルフはあんたの仕業って事か?」
「これは俺ではない。いくら俺が闘争を望んだとしても一方的なのは好きじゃないからな。
ま、想定外の奴の登場で一方的にはならなかったみたいだが」
「サハラか。
もし俺が手助けを望んだら[闘争の神エナブ]様はどうしてくれるって言うんだ?」
「望めば一時安全な地へお前を飛ばしてやる。
その後の行動は楽しませて貰えれば言うことなしだ」
「へっ!楽しませられなかったら俺を殺すってか?」
「もちろん!対価が支払えない奴に興味はない」
「いいぜ!その話乗ってやる」
「いいねぇその心意気」
次の瞬間俺は眩暈を覚えるが、直ぐに元に戻ると何処かわからない場所にいた。
ここが何処かなんざ後でいい。
まずはこいつだな。俺は腕輪を身につける。そしてこの腕輪を掻っ攫う計画を立てていた頃から考えてあった能力を獲得する事にした。
「へっ!あいつは謙虚過ぎんだよ。こういうのはなこう使うもんだぜ」
コマンドワードを言い獲得したい能力を口で言う。
「あらゆる種類の武器技術の習得!」
こいつはスゲェ、使った事なかった武器の扱いが剣同様に分かるぜ。
後は魔法か。
「魔法のその習得の仕方はやめておくべきだと俺は思うぞ?」
闘争の神エナブが楽しそうに見てやがった。
「何でだ?」
「魔法の書もなく、お前に力を貸す神は恐らく俺だけだ。いや、いるかもしれんが…
俺は神聖魔法の騎士魔法しか使えんからな」
「あぁそれならそれで十分だぜ。あいつの使ってるのを見て欲しかった魔法はそれだったからな」
「ならそうすればいい。
いいか?俺を楽しませろよ」
そう言うと闘争の神エナブは消えて行きやがった。
俺は騎士魔法も習得して残る1つになる。
今はこれでいい!必要になる時が来るまで取っておこう。サハラのようにな。
「ハハハハハハーハッハッハッハッハ!」
いつも読んでいただきありがとうございます。
時間更新は明日の17時予定です。
今回の話なんとなく気がついていた人もいたんではないでしょうか?
何はともあれサハラはこれで腕輪を失いました。どうしよう…
それでは




