始原の魔術
本日2話目です。
カイ、スレイドと合流して城塞都市の町の入り口に無言で向かう。
入り口にはルースミアとレイチェルが待っていて、2人から励まされるのだけど俺の心は逃げだしたい気持ちでいっぱいだった。
「[愛と美の神アーティドロファ]さま、サハラとカイ姉さまとスレイドに勝利の祝福をお願い!」
おおお、何かやる気出てきたー!ってこう言う人の気持ちを無視したようにやる気出させちゃう魔法ってのもどうかと思うんだけどな。
まぁいっちょやってやるぜ!あれ?
「よっしゃー!オークの奴らをぶった切りまくってやるぜ!」
「お父さん、私に力を貸して下さい」
周りを見ると他の冒険者達も仲間の神官に祝福されて気合が入ってきているようだ。
「サハラ、気をぬくんじゃ無いぞ」
「うん、大丈夫だよ。それと、これ鞄邪魔になっちゃうし、ルースミアのものだからさ」
「預かっておく」
町の外へ出て演習でやったように隊列を組んで並び待機する。
「なぁ、ヤバイ時助けられるように3人常に近くで戦うぞ」
なるほどね。俺とカイは無言で頷く。
徐々に日が落ち始め、それと同時に地響きが近づいてくる。
ギャレットが軍馬にまたがり前に立つ。
やべぇなんか司令官みたいでかっこいいな。
「諸君!間もなくオークの軍団がやってくる!
そしてこの一戦で全てが決まる!
いいか!諸君らが死んでもヴァリュームのためにはならない!オーク共を殺すことがヴァリュームのためになるのだ!
諸君らが、その義務を果たす事を私は期待する!」
「「「おおおおおおおおおおおーー!」」」
かっこいいな、なんか映画みたいだ。
これが鼓舞するってやつか。確かに周りを見ると士気が高まってるのがわかる。
地平線に太陽が消えて行く。
しかし、この日は神が力を貸してくれたのか月明かりが眩しいぐらいに大地を照らしてくれる。
「この戦!神が我らに味方してくれているぞ!」
「「「「おおおおおおおおおお!」」」」
しかしその勢いもオークの軍団が姿を見せ始めると静まっていく。
そりゃそうだ。前から向かってくるオークの軍団で真っ黒なんだからな。
「敵、オークの軍団おおよそ、じゅ、10万です!」
城壁の上から悲鳴に近い報告の声が聞こえてくる。
10万だ⁉︎フザケンナよ、こっちはいいとこ6千だぞ⁉︎
先ほどまでの士気はもはや完全になくなっている。中にはジリジリと下がって今にも逃げ出しそうだ。
「流星群」
突如流星群の掛け声と共に、8個の炎がオークの軍団に向かって飛んでいき爆発を起こす。
ルースミアか。
それが開戦の合図になった。
「我が眼前の敵を爆せよ!火球!」
「突き抜けろ雷!雷撃!」
「魔法の矢よ敵を打て!魔法矢!」
「流星群」
「雹よ降り注げ!雪よ霙よ嵐となれ!氷嵐!」
さすがにウィザードがこれだけいると圧巻だな。ルースミアは2度目の流星群使ってたけどね。
「雷よ突き抜けそして駆け巡れ!連鎖雷撃!」
「我が手より放たれよ!数多の火球よ流れる星のごとく降り注ぎ灰塵と化せ!流星群!」
上空を火の玉が光の矢が、雷が上空を煌びやかに照らしながらオークの軍団に向かって飛んでいく。
おお!ウィザードの誰かが流星群を使ったぞ!
よし、俺も始原の魔術を使ってみるか。
俺の想像に精霊が答える、か。
元の世界で実際に起こった自然災害を思い浮かべた。
やっぱりこういう時は竜巻だよな!
俺はテレビで見た車で逃げながら撮影している竜巻の映像を思い浮かべる。
始原の魔術に詠唱はない。ただ精霊に伝えるだけだ。
「風の精霊よ。荒ぶる風の大渦となってオーク共を吹き飛ばせ!」
オークの軍団に最初は小さなしかし直ぐに巨大な竜巻が生まれる。
まさしくその竜巻は俺がテレビ画面で見た竜巻のイメージそっくりだった。
ヴァリューム側も皆んなそのあまりの巨大な竜巻に黙り込み、ウィザード達も魔法を使うのも忘れて見ていた。
もちろんルースミアも初めて見る巨大な竜巻に驚きを隠せないでいたようだ。
「ありゃぁ…サハラがやったのか?」
スレイドも驚き俺に聞いてきた。
俺は無言で眼前の竜巻を見つめながら頷いたが、竜巻に気を取られているのか反応はなかった。
10万いたオークの軍団は巨大な竜巻に蹂躙され、渦に飲まれ、なす術もなく吹き飛ばされ地面に叩きつけられていった。
「「「うおおお!神が我らを味方しているぞー‼︎」」」
しかし作り出したか召喚したか分からないが、竜巻はものの数分で散ってしまった。
砂埃でオーク達がどうなったのかよくわからないが、それも徐々に収まっていく。
完全に砂埃が収まった時、竜巻によって空へ投げ飛ばされ地面に叩きつけられ、息も絶え絶えのオーク達の姿が見えた。
それは圧倒的破壊力だった。
「今こそ好機!ヴァリュームの諸君!一気に叩きのめすぞ!」
ギャレットの声と共にヴァリューム騎士団と冒険者達が一斉にオーク達の元に走り出した。
「リーダー、カイちゃん、俺たちも行くぜ!」
「はい」
「うん」
スレイドが俺の背中を押して先に行かせた。
その直後、俺は今までに受けたことのないほどの激痛が体を襲い倒れこんだ。
いつも読んでいただきありがとうございます。
結局2話更新してしまいました。
次回更新は明日の17時予定です。
今回多数の魔法が使われ、掛け声のようなものがありますが、地味に考えてしまいここで無駄に下書きが止まったりしました。
お気に召しましたら幸いです。
それでは




