表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第五章 レドナクセラ帝国の崩壊
55/71

嵐の前の静けさ

騎士魔法を習得してから早くも10日が経った。

オークの軍団が攻めてくることはなく、俺たちはただひたすら侵攻に備えて待つだけだった。

ギャレットにもあれから2度ほどあって話を聞けたが、偵察は2〜3日おきに出しているため逐一報告が来ているらしいが、ヴィロームだった町は今では禍々しい姿に変わり果て、そこで戦っている形跡はなくオーク達が町を守るように陣取っていたという。

ヴァリューム騎士団の中にはこちらから打って出ようではないかという話も出てきているらしい。


帝都を出てすでに16日ほど経っている。

皇帝が軍を招集し出兵したとすれば、そろそろ戦いが始まっていていい頃だった。


俺たちはと言うと騎士団と冒険者ギルドの方で連携を取り合って、オークの軍団が攻めてきた時の配列や戦略など決まった取り決めが報告され実際に数度演習も行っていた。


俺とカイ、スレイドは町の外で隊列を組んで白兵戦に備える前線に配備され、ルースミアはソーサラーで登録していたため城壁の上から魔法による攻撃として配備されてしまった。

レイチェルは僧侶で登録したため、町中の後方でけが人の治療を任され、少なくとも俺たちがやられない限り安全な場所にいられるので一安心だった。


俺たち前線の部隊には顔見知りのアルトリウスとその仲間らしい3名とキリシュ達もいた。

久しぶりの再会で話をしたが、相変わらずアルトリウスが一番話していたな。



それから更に5日が経つと、流通が止まっているため食料問題が起こりはじめ、配給制がはじまった。

ただこの世界では神官や僧侶、騎士達による神聖魔法による食料と水を作り出す魔法があるおかげで、兵糧攻めされる心配はなかった。

最も神聖魔法で作り出される食料は簡素なパン1つのため飢え死ぬ心配がないと言う程度のものの為、配給される食料は重要だった。


ギャレットの話によれば、配給される食料の備蓄は今のままならあと30日ほど、更に切り詰めれば60日までは何とか持つという事だった。




「待ってるだけってのも暇だぜ」

「確かに。このままだと食料が尽きて、戦う気力がない頃に攻め込まれたらお手上げだよ」

「なぁ、いい方法ねぇかなぁ」

「うーん、待ってるだけで疲弊していくのなら、こっちから打って出るしか無いんだけど、攻めたら町の防衛が減っちゃうからね」


待つ戦いがこんなにキツイとは思わなかったし、まさか俺がこんな経験するなんて思いもしなかったよ。


そんな時に冒険者ギルドから知らせが入り、少数で赤帝山方面での食料補給をしに行く事が決まった。

俺も1度だけ加わり、食えそうなものを片っ端から集めて、連れてきた馬車に積んでいくというものだった。


もうどれだけ経ったのかわからなくなってきていたが、ヴァリュームに俺たちが戻ってから30日ぐらいたった頃だったと思う。

3名の騎士が帝都より森を抜けてヴァリュームに到着した。

ヴァリュームの民は朗報を期待したが、騎士達から告げられた言葉は耳を疑いたくなるようなものだった。



帝都陥落及び皇帝陛下の死去



もちろんこれは後からすべて領主直々の言葉で伝えられた事だ。


ヴィロームが陥落された後、勢いのついたオークの軍団は次々と町を占領していき、ついには帝国軍を押し返す形で帝都に侵攻した。

防衛の準備をしていなかった帝都では初日こそ守りきったが、皇帝が休んでいる隙に侵入したダークエルフによって殺害され、皇帝を失った帝国軍は士気の低下が下がる一方で、そのまま押される形で陥落したという事だった。

帝都の住民は逃げ切れた者は隣国を目指したらしい。


帝国軍最高司令官の指示で生き残った騎士のうち100名は隣国に危機の知らせ及び難民の護衛に向かわせ、そしてヴァリュームに生存確認と報告のため3名だけ騎士を向かわせたという事だった。

残った騎士達は少しでも時間が稼ぐため、また騎士道にのっとり玉砕覚悟で最後まで戦う事を選択したらしい。

こちらはギャレットに聞けた細部の情報だった。



ヴァリュームが後回しにされたのは、おそらくこの要塞のような町を占領するには時間がかかることと、逃げるためには赤帝山を越えるかヴァリューム湖の先に広がる広大なジャングルを抜けるしかないのをわかっていたんだと思う。

まさにヴィロームを抑えられ袋の鼠状態だ。


街中ではあちこちから神に助けを求める声が聞こえた。

どうせ神何ていないのに助けを求めたって意味は…と思ったがこの世界にはいるんだったな。


町中は完全に通夜ムードだった。


そんな中追い打ちをかけるようにオークの軍団がヴァリュームに向かってきているという情報が入った。


はは、こりゃもう終わったな。

そう思った時だった。俺の頭の中に声が聞こえてくる。

『始原の魔術を使うのじゃ。始原の魔術は其方の想像通りに精霊が答えてくれるであろう』

想像ね…



「全員配置につけー!」


騎士、冒険者達が一斉に持ち場に向かって走り出すが、足取りは重い様に見える。

どうやら始まるようだ。

うん。



めちゃくちゃ逃げたい。

なんで俺が戦争に参加しなきゃいけないんだ。こんな世界に来なけりゃ今頃…何もないな。


何もない、でもそれが幸せなのかもな。


いつもお読みいただきありがとうございます。

次回更新は明日の17時を予定していますが、もしかしたら明日17時までにもう1話更新するかもしれません。

気分屋ですみません。

早ければ本日22時ごろに更新するかもです。



それでは

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ