最後の腕輪の力
お待たせしました。第5章のはじまりです。
俺たちは馬車を走らせヴァリュームを目指した。
近道になる森はグリーンドラゴンが約束を守ってくれたのか安全に走り抜ける事が出来、馬達の休憩を取りながら僅か5日で森を抜けるところまで来れた。
「早え!馬車でこれは最速記録だぜ」
スレイドもそう驚いていた。
俺は馬達に感謝をしながら、ヴァリュームまであと半日とかからない、行きに森に入る前に一晩明かした野営地までたどり着き、馬達を休ませた。
ヴァリュームのある方向を見据える。
静かだった。
「まだオーク達の進軍はないみたいかな?
さすがに5日でヴァリュームが落ちる事なんてありえないでしょ」
「そりゃあルースミアちゃん対策で作られた城塞都市だぜ?そう簡単に落とされるわきゃねぇ」
ルースミアはそれを聞いてクククっと笑っていた。
まぁ実際に間近で見た事ある生存者って俺だけだもんな。
「そろそろ馬達はどうだ?」
頼んでみると言って皆んなを馬車に乗せる。
馬達は元気に走り出してくれた。
ヴァリュームには夕方には着き、入り口付近まで来ると厳重警戒が張られていて俺たちが来ると尋問された。
ギャレットの名前を出したら、少し待たされギャレットのおかげで身柄を保証してもらえたため無事に中に入れた。
ギャレットは昨日には到着していて、領主に報告するとすぐさま警戒態勢を敷かれたそうだ。
当面は警戒と防衛を行い、皇帝によるヴィローム奪還を待つというものだった。
ヴァリュームの街中は何処にこれだけの騎士がいたんだというほどあちこちに配備されている中、俺たちはレッドエンペラードラゴンインにたどり着く。
「父さま、母さま、ただいま!
あのね、帝都に行ってきたのよ。大きなお城があって色んな種族の人がヴァリュームよりもい〜っぱいいたのよ。
でもね、ヴァリュームが危ないって聞いて、皆んなに無理を言って急いで帰ってきたの。それでねヴァリュームが無事でね、どおざばどがあざばがぶじでよかっだぁぁうわああぁぁぁん」
レイチェルはそのまま大泣きし始めてしまった。相当心配だったんだろうな。
なだめる2人を見て本当の親じゃないけど、親子なんだなと思った。
そのまま泣き疲れて寝てしまったレイチェルを母親が連れて行くと父親である店主が俺たちに礼を言って部屋を用意してくれた。
一番高い部屋しか空いてなかったらしいが、そこを俺たちに使って欲しいとあてがわれた。
「本当になんと感謝していいやら。これであの子の夢も叶いましたよ。
ですが今ヴァリュームは危険です。本当は連れて帰って欲しくなかったのが本音ですけどね」
うんうん、そうだね。これからオークの波にのまれかねない所に俺も本当は来たくなかったよ。
「しかし戻ってきてしまい、あの子も冒険者になってしまっている以上、町の防衛に参加する義務があります。
それに厳戒令が敷かれて、町から出る事も出来ません」
なんですと!じゃあ戻った以上戦うしかないってのかよ。
「腕がなるぜ!安心しな、オークの1匹や2匹どうってこたぁねーぜ!」
「スレイド、間違いなく1万匹以上いるかもしれないんだけど…」
「安心しな、ヴァリューム騎士団って言ったら5千からなる精鋭ぞろいで全員腕前はマスター級、それに加えて冒険者にもマスター級がここには揃ってる。
赤帝竜対策って事で人数こそおよばねぇが、帝都の騎士団にも引けは取らねぇぜ」
おおお、凄いんだな。これならなんとかなる気がしてきたぞ。
「それにコッチには強い味方がいるしな!」
ルースミアをチラッと見る。
「お願いします。私達には騎士団とあなた方に頼るほかないんです。
後は出来たらレイチェルを守ってやって欲しい」
最後のが本音だな。俺が言うまでもなくスレイドが任せとけと返事をした。
それを聞いた店主は部屋を出て行った。
オークの軍団が来るまでどれだけ時間があるか分からないが、迎撃するほかない以上俺たちはできる限りの準備をする事にした。
翌朝早々俺はルースミアと予備の棒を買いに、カイはスレイドに剣の稽古をつけてもらう事に、レイチェルは宿の手伝いをしていた…
「え?ない?」
武器屋に行って予備の棒を買おうと思ったが、すでに騎士団と冒険者達によって買い漁られお店はすっからかんだった。
外から材料が回ってくる事もないため、今あるだけで完売状態らしい。
仕方がなく宿へ戻り、宿屋の裏手で剣の稽古をしていたスレイドとカイにその事を伝えるとスレイドが面白い事を言い出した。
「確か騎士の魔法に武器を一時的に魔法の武器に変えるってのがあったと思うぜ。
まぁ会えたら騎士団長に聞いてみたらどうだ?」
なるほど騎士魔法ね。
ウィザード魔法にもそう言ったのはあると思うけど、騎士魔法とどう違うんだろう。
俺はスレイドに礼を言ってギャレットを尋ねてみる事にした。
運良く警備の指揮が終わって休んでいたギャレットに会え、騎士魔法について聞いてみた。
「確かに騎士の魔法には武器に悪を倒すために一時的に魔法の武器にする魔法はある。
一時的とはいえ折れたりすることはなくなるな」
スレイドの言っていた通りだった。
他にも教えてくれて、神官や僧侶が使うものよりも直に攻撃するまるでジェダ◯の騎士みたいなものだった。
かっこいいな。問題は騎士でもないのに使えるかだなぁ。
ギャレットに礼を言って戻るときにルースミアに聞いてみたら、最初から得ているものではなく、後から得られるものであれば恐らく問題なかろう。とお墨付きを頂けた。
宿に戻った俺にスレイドはどうだったと聞かれ、俺は腕輪の最後の力を騎士魔法にする事を伝えた。
「そうか!じゃあ騎士魔法を習得しろ。んで俺と模擬戦してくれ。
騎士魔法スゲェっての前から聞いててな。一度戦ってみたかったんだよ。
あぁもちろん武器は木剣で頼むな。じゃなきゃ模擬戦どころじゃなくなりかねねぇ」
ワハハハハと豪快に笑った。
コイツは本当に戦闘狂だな、まぁ騎士と模擬戦なんてする機会ないんだろうな。
「じゃあ早速習得するよ」
俺はそう言ってコマンドワードを言い、騎士魔法習得と口に出す。
うん、元から知っていたように分かるぞ。
「スレイド、いいよ」
「加減してやるから安心しな」
お互い木剣を持って距離をとる。
俺は少し剣を振って調子を見るとスレイドに目で合図を送った。
結果は散々だった。
そりゃあそうだ。エキスパート級以下の俺が如何に騎士魔法があるとは言えマスター級に敵うわけもない。
そんな状況にも関わらずスレイドは喜んでいやがった。ガキかよ。
でもおかげで騎士魔法の実際の感じはつかめたな。
いつもありがとうございます。
次回更新は明日の17時予定です。
第5章はじまりました。
賢人の腕輪の力も全て使ってしまいました。勿体無いですね。
それとついに文字数が10万文字超えた様です。他の人と比べると相当1話ごとの文字数が少ないんだなぁと思ってしまいました…
今現在4話先まで下書きが終わっていますが、第5章は少し書きにくいところがあって、修正続きになっています。
なんとか毎日更新は頑張っていきますので、宜しくお願いします。
それでは




