第16話 クラスみんなで川原キャンプ。セシリアと一緒に過ごす、穏やかで楽しい一日だった件
学校の先生が提案した「夏の特別実習」として、クラス全員で村近くの綺麗な川原へ1泊2日のキャンプに行くことになった。
朝、集合場所に着くと、セシリアが俺の隣で目を輝かせていた。
「レインくん、楽しみ! 一緒にテント張ろうね!」
彼女は朝からエプロン姿で小さな籠を抱え、張り切っている。
クラスメイトたちもわいわいと賑やかで、ドラ息子三人も少しぎこちないながら参加していた。
川原に到着すると、透明度の高い川がキラキラと輝いていた。
木々が囲む自然豊かな場所で、鳥の声と水の音が心地よい。
「まずはテントだ! レインくん、手伝って!」
セシリアが俺の袖を引っ張り、二人でテントを張り始めた。
彼女がポールを倒しそうになるたびに笑い、俺が支える。
その繰り返しが、なんだか楽しかった。
「レインくん、上手いね! 私、いつも失敗しちゃうのに……」
「まあ、慣れてきただけだ」
昼前には全員で川遊びを始めた。
セシリアは水しぶきをかけ合いながら笑い、俺の腕に絡みついてくる。
冷たい水が気持ちよく、セシリアの濡れた髪と笑顔が眩しかった。
午後はみんなで魚釣りとバーベキュー。
セシリアが朝作ってきた特製ソースを塗った肉を焼き、俺に差し出してくる。
「はい、あーん。レインくん、食べてみて!」
「……うまい」
俺が素直に褒めると、セシリアは頰を赤らめて喜んだ。
周りのクラスメイトたちもからかいながら笑う中、アルフレッドが少し離れた場所から俺を見て、軽く頷いてきた。
先日の学校での一件以来、奴らとの距離が少しだけ縮まった気がする。
夕方、キャンプファイヤーを囲んでの時間になった。
火を囲みながらみんなで歌を歌ったり、馬鹿話したり。
セシリアは俺の隣にぴったりくっつき、時々俺の肩に頭を預けてくる。
「レインくん……こうしてみんなと一緒にいると、すごく幸せだよ」
焚き火の揺らめく光が、彼女の横顔を優しく照らしていた。
俺は自然と彼女の手を握り返した。
「……俺もだ」
夜が更け、ほとんどの生徒がテントに入った後、俺とセシリアは少し離れた川辺に座っていた。
星空が美しく、川のせせらぎだけが聞こえる。
セシリアは俺の肩に寄りかかり、小さな声で言った。
「レインくんがいてくれて、本当に良かった。この瞬間が、ずっと続けばいいのに……」
その言葉に、俺は胸の奥が熱くなった。
「そうだな……このまま、ずっと続けばいい」
セシリアが照れくさそうに笑い、俺の手に指を絡めてきた。
その温もりが、穏やかで、優しくて、かけがえのないものに感じられた。
翌朝、みんなで片付けをしながら「また来年も行こう!」と約束した。
セシリアは俺の手を握ったまま、満足そうに微笑んでいた。
村へ帰る道中、俺は静かに思った。
守りたいものが増えてきた。
セシリア、彼女の家族、学校の仲間たち……
この穏やかな日常を、絶対に失いたくない。
今日一日、ただ楽しかった。




