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村の収穫祭準備でみんなと過ごす穏やかな一日。守るべきものが少しずつ増えていく予感がする件

収穫祭の準備が始まった。


村全体が活気づき、クラスメイトや大人たちも総出で広場を飾り付けたり、森から木材を運んだりしている。


俺はセシリアと一緒に、大きな木箱を運ぶ作業を手伝っていた。


「レインくん、重くない? 無理しないでね」


セシリアは汗を拭きながらも、俺の顔を気遣うように何度も声をかけてくる。

その優しさが心地よくて、俺は自然と口元が緩んだ。


「大丈夫だ。セシリアの方こそ足下気をつけろよ」

「大丈夫よ!だってレインくんが私の分まで持ってくれてるんだもの」


彼女は照れながらも嬉しそうに寄り添い、俺の隣を離れようとしない。

作業の合間に水を渡してきたり、休憩を勧めたりと、今日もぐいぐい寄り添ってくる。



少し離れた場所では、アルフレッドたちが木材を運んでいた。

先日の学校の一件以来、奴らとは妙な距離感が生まれていた。

アルフレッドが俺に気づき、軽く会釈のようなものを寄越してきた。


「…………」


俺も軽く頷き返す。


言葉は交わさないが、以前のような敵意は感じられなくなっていた。




昼過ぎ、広場に簡単な食事が出された。

エレナが作った大きな鍋料理をみんなで囲む。


ルークとミアも走り回りながら参加し、村は笑い声で満ちていた。

セシリアは俺の隣に座り、器に取り分けた料理を差し出してきた。


「レインくん、これ食べて。今日の目玉だよ」


一口食べると、優しい味が広がった。

周囲の賑わいと、セシリアの笑顔を見ていると、自然と胸が温かくなる。


この世界には愛がある。夢がある。

俺が生きていた世界では感じられなかった、甘酸っぱい温かさ。

真っ赤なリンゴのように匂い。

ずっとここにいたい。その思いはいつしか強く、大きくなっていた。


(……セシリアだけを守ればいいと思っていたのに。この村の連中も、放っておけなくなってきたな)




夕方近く、作業が一段落した頃、広場で小さな宴が始まった。

焚き火を囲み、歌を歌ったり、軽く酒を酌み交わしたり。


セシリアは俺の腕に軽く寄りかかり、満足そうに目を細めていた。


「レインくんとこうして過ごすの、すごく楽しい……みんなと一緒にいると、毎日が特別だね」


「……ああ。俺も、そう思う」



焚き火の揺らめく光の中で、セシリアの横顔が優しく輝いていた。

この瞬間が、ずっと続けばいいのに——そう思わずにはいられなかった。





地獄の最下層。

永劫の氷獄の奥で、魔王の声が響いた。


「ヴォルド」


黒い鎧に覆われた巨体が、ゆっくりと跪いた。

三本の角が生えた兜のような頭部を垂れ、背中に巨大な戦斧を携えた悪魔騎士ヴォルド。


「氷の封印が解けた貴様の配下で、誰が尖兵を務めるのか決まったか」


「はっ。我が配下の勇猛果敢な戦士が名乗りを上げました」



黒い影が蠢き、ヴォルドの配下の悪魔たちが動き始めた。

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