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第14話 黒蜘蛛のアラスと森で対峙した。セシリアを守るため、俺は本気で戦う

森の奥は、木々が密集して薄暗かった。


俺は悪魔形態の気配を完全に消した状態で、木々の間を移動しながらアラスの魔力を追っていた。



学校から離れたこの場所なら、誰にも見られずに戦える。

突然、木の陰から妖しい声が響いた。


「ふふ……ようやく来てくれたわね、レイン・ヴァルディス」


銀紫色の長い髪が揺れ、紫色の瞳が暗闇の中で妖しく輝く。

アラスは人間の姿のまま、優雅に微笑んでいた。


「やはりおまえか!」


アラスはくすくすと笑った。


「いいのかい?あの娘を放っておいて。私の傀儡に今頃は殺されているかもよ」


「へっ!おまえに子蜘蛛がいるように、俺にも仲間ができてな。そいつらに任せておけば、俺は安心しておまえを殺せるってことさ」


「なに!?仲間だと!?」

「ああ。三人もな」


あいつら。なかなかセンスはある。あの状況なら任せても大丈夫だ。

俺がこいつを始末して帰るまでなら。


「行くぞ!アラス!」


飛びかかりながら魔力を解放する。


その瞬間、アラスの背中から黒い蜘蛛の足が8本、音を立てて飛び出した。

下半身が巨大な黒蜘蛛に変貌し、半魔形態へと変化する。


「バカめ―!!わざわざ飛び込んでくるとはねえ!!」


アラスの影から無数の子蜘蛛が飛び出してきた。


「くっ……!」


飛びかかった俺に纏わりつき、あっというまに黒い塊になり俺の動きを封じる。


「アッハハハハ!やはり人間ごときにアシェルの超魔力は宝の持ち腐れだったようね!このまま私の子蜘蛛に食われて死ね――!!」


そのとき、シオン戦で感じた、黒い力の奔流を感じ取った。

爆発的に魔力が上がる。


「フフフ……。アラス。子供だましの力だな」

「なにっ」

「こんなもので俺に勝てると思ったか!!」


俺は体内の魔力を一気に外へ放出した。

子蜘蛛の塊がはじけ飛び、焼け散る。


そのまま指先に魔力を集めて、雷にしてアラスに放った。


「くそっ!」


飛び退き、アラスは手から糸を出して枝伝いに逃げる。


「逃がすかっ!!」


翼をはためかせてアラスを追う。

指先から放った雷がアラスを撃ち抜いた。

アラスの体が焼けながら霧散する。


「あれは!?子蜘蛛か!?」

「かかったね!!レイン!!」


木の上からアラスの本体が、俺の背中にとりついた。


「囮に気を取らせて、おまえの隙をうかがっていたのさ」


アラスの八本の脚が背後から伸びて、俺の体に突き刺さる。


「ぐあっ!!」


「ほほほ。このアラスの傀儡毒。お前に注入して、大事なセシリアをおまえの手で殺させてやる!ついでに村も焼き払わせてやる!」


くそっ!!そんなことさせるかよ!!


アラスの毒が脚の針から体内に入ってくるのを感じたときだった。

……。


「ふふふ……さっきも言っただろう。子供だましだと」

「ふん!強がりを!たっぷり注入してやるよ!」


アラスの毒針が体内にあるということは、俺とアラスの体が繋がっているということだ。


「アラス!俺の魔力ときさまの毒と、どっちが強いか勝負だ!!」


俺は魔力を解放してアルスの毒針から、奴の体内へと送り込んだ。


「きさまごときの毒なぞ、消し去って逆に俺の魔力を注入してやる!耐えられるかなあ!?」


俺の魔力が注ぎ込まれて、アラスの脚が燃え上がる。


「うわぎゃああ――っ!!」


叫びながらアラスが俺の体から離れる。

その瞬間を俺は逃さなかった。


「死ね――!!蜘蛛女!!」


指先から放たれた雷が今度こそ、轟音と共にアラスの体を縦横に貫いた。

今度は子蜘蛛じゃない。

アラス本体だ。


「おのれ……よくもやったなレイン・ヴァルディス……」

「自分の無力さを呪うんだな」


崩壊していくアラスは、なおも俺を見て笑った。


「魔王様はおまえを許さない。おまえも、その周りの者もね……ふっふふふふ」


最後に、そう言い残すと、アラスの体は霧散した。


「……封印が緩むにつれ、どんどん厄介なのが来るな」



それにしても、さっきの毒はヤバかった。

俺がセシリアを殺すなんて、考えたくもない。


だが、あのときもまた、自分でないみたいに冷静になって、最適な対処の仕方をとった。


俺の中の、アシェルの超魔力がそうさせるのか?



まあいい。

今考えるのはめんどくせえ。

それより、セシリアが心配だ。

森の奥から、急いで学校の方へ戻り始めた。


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