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王賊 Crown & Crime  作者: ふん
死へと誘う詩

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32/62

第四部「偽物の王子」

 パットンがジェーンとカックラウを呼び、シオンを拘束した。


 シオンは抵抗しなかった。

 詩を完成させることができなかった時点で、すべてが終わったことを理解していた。


 高級宿から出たシオンを、騎士団が連行していった。


 グライムとパットンが残された。


「おい、大丈夫か……。まだ目の焦点があってないぞ。それに気付かれたら、シオン・ヴォーカルが術式を続けていた可能性もある」

「大丈夫だ。テンパった人間は人の目を見ない。ヤバかったのは、段階的な術式だと気付かなったことだ。三行目で催眠だ。三行目の最後まで聞いてたら、ヤバかったかもな」


 パットンが椅子に座った。


「詩の添削、あれは作戦だったのか」

「いいや、パットンが来たからとっさに思いついたあがきだ」

「なぜ突然詩の批評を?」


 グライムが窓の外を見た。


「詩人はナルシストだ。批評を無視できない。反論したくなる。反論する間にリズムが崩れる。リズムが崩れたら術式は成立しない。よかったよ、アンタが王賊教育で詩を習ってるを教えてくれて」

「読める程度だ。王族教育の詩の知識があれば、十分に指摘できたがな」


 パットンが立ち上がると、続きを話した。


「詩で人を殺す……。そんなことを考える人間がいるだなんてな……。たしかに詩には闇深い側面もある。だが、それは言葉の上でイーブンにするから価値のあるものだ」

「言葉で人を変えることはできる。その究極が、詩で人を殺すことだと、奴は思ったんだろ」

「言葉は確かに力を持つ。だがそれを人を殺すのに使えば……」

「犯罪者になる。でも、英雄にもなれる。そして、英雄になったのは国の王だ」

「王と賊を一緒にするな……」

「……本当にそうか?」


 グライムは真面目な顔になった。

 その表情の変化は、思わずパットンが気圧されるほどだった。


「どういう意味だ……」

「パットン。ここは高級宿屋だ。ふいの事件の現場でもある」

「そうだな。だからどうした」

「つまり、城の監視も、オレの仲間もいない空間だ」

「……なにが言いたい」

「ここに盗み聞きする者はいない。突然、降って湧いて現れたセーフティーゾーンだ。わかるな?」

「……どうだろうな」


 パットンは警戒した。グライムが情報戦を仕掛けているかと思ったからだ。

 だが、グライムは驚くほどあっさりと、パットンが聞きたかった言葉を口にした。


「……第二王子はいつから、偽物と入れ替わってる」

次の話で、シーズン1ラストの話です

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