26話 新たな武器
カウンターを挟んで僕とおばちゃんが相対する。後ろで固唾を飲んで見守っている2人に成長した僕の姿を見せてやる!!
「…これを」
これまで取ってきたアイテムの名前が載ったアイテムウィンドウを表示しておばちゃんに見せる。NPCのおばちゃんは、真剣な顔付きで僕の出したウィンドウをスクロールしていく。
僕は息を呑み緊張を押し殺す。いけるのか?剣作れるのか?そんな思考が頭の中を何回も駆け巡る。全て見終わったおばちゃんはウィンドウ画面から視線を切り真剣な面持ちでこっちを見る。
えっ、なんか表情暗くない?ダメだったの?足りなかった?不安が頭の中を何度もよぎる。
「現状あんたがこれまで取って来た奴を組み合わせるとコイツらが作れるよ」
「いや、いけるんかい!!」
「あん?」
「ああ、ごめん気にしないで」
「思わず突っ込みたくなる間ね」「ああ、俺も此処に来たばかりの頃同じ事言って突っ込みいれたよ」
後ろの2人がなんか言ってるが、気にしたらダメだ。下手なツッコミはホォローされてる時が1番辛いんだよ。
気を取り直して、取り敢えずおばちゃんが出した作れる武器が表示されたウィンドウを見ていく。中には、剣以外の槍や斧なんかの武器達も表示されているが剣以外の武器に興味がない為どんどん下にスクロールしていき、1つの武器を目にしてスクロールする手が止まる。
「……刀だ」
ウィンドウには、『良刀薄緑』と書かれている。もう他の武器を選ぶなんて思考は無かった。
「これ!!これでお願いします!!」
「はいよ、じゃあこの水彩鉱石、黄金輝石、あと鉄鉱石×3を提供しておくれ、後お題は7000ゴルだよ」
水彩鉱石と黄金輝石は1つしか採れなかった為複数要求さらなくて良かったーと思いつつ要求された素材を実体化させておばちゃんに渡す。続いて要求されたお金を実体化しようと手が止まる。
自分が今一文無しだって事に、此処で漸く思い出した僕は嫌な汗が流れるのを犇々と感じながら、己のアイテムウィンドウでドロップしたアイテム一覧を見せながらおばちゃんに問う。
「おばちゃん。これ全部買い取ってくれたら幾らぐらいになる?」
「なんだい急に…まぁ、2000ゴルくらいじゃないかい?」
「…2000か、じゃあ此処に載ってるアイテム全部売るから2000にまでまけてくれ」
「バカ言ってんじゃないよ。既に結構おまけしてんだこれ以上は負けてやることなんて出来ないよ」
流石のおばちゃんも嫌そうな顔を浮かべて僕の提案を蹴る。だが、此処で引いたらダメだ更なる譲歩引き出してこそ値引きなのだ。
「お願いだよー」
「無理だねこれ以上は鐚一文もまけてやらないよ」
「じゃあローン組ませてよ」
「あんたら旅人だろ?お前らみたいな流離う奴らにローンなんかそうそう組めるかってんだ」
「そこをなんとかさー、肩叩き件あげるから」
「あんた私に喧嘩うってんのかい?」
ダメだ僕の交渉力ではこのNPCから更なる譲歩を引き出すのは無理のようだ。此処は大人しく、また金策しに行くしか道は無いだろう。
項垂れ僕は諦めて鉱石達をしまい店を後にしようと振り返ったとき、ずっと後ろで見守ってくれていた救いの大先輩が手を差し伸べできた。
「なんだ、キル金が足りなかったのか?」
「うん。どう頑張っても5000ゴル足りなかったよ」
「そうか、じゃあキルの育成費用としてギルドの経費で出すか。良いよな?アンネ」
「そうね。良いんじゃない」
「じゃあはい。これで良い武器頼むよおばちゃん」
「任せな。まぁ、鍛造するのはうちの主人だけどね」
端金のように5000ゴルをポイっと出したフライと、それをさも当然の様にして見ているアンネロゼに、全線組の財力を見せつけられた様なきがする。
結果として大先輩2人の偉大な背中に魅せられる形となり、僕も稼げる男になるぞーとモチベーションを上げたのたのだった。
数分後「「「おー」」」と僕、フライ、アンネロゼは声を重ねてこの金属が放つ見事な鈍い光の反射とこの名前にもある薄緑色の刀身に感嘆の声をもらす。
それほどまでにこの刀は美しいと思わせる物もを持っている。しかもこの『良刀薄緑』は、良い能力を持っているのだ。
『良刀 薄緑』 斬撃属性
モンスターに振る場合にのみ威力に高い補正がかかる。モンスター戦闘じこの武器の消費耐久値を減少させる。
どうやらモンスター特化の刀様だ。名も無き刀もカッコいいがコイツもめちゃくちゃカッコいいと僕の何かが訴えて来る。
「よかったなキル」
「間違いなくレア武器の部類に入る一品ね」
「うん!!2人ともお金ありがとう。今度返すよ!!」
フライとアンネロゼも祝福に御礼を言いつつ早速装備しようとして、早速つまづく。能力値不足で装備出来なかったのだ。
「技量値が25を越えないと装備できない、だと」
「あー、この世界では武器は意志を持ってて使い手の実力が足りないと使わせてもらえないって設定があるからな」
「そんなバカな?!」
僕が膝から崩れ落ちて絶望していると、見かねたアンネロゼがフライを肘打ちした後「ぐほ!?」と悲鳴をあげるフライに「意地悪しないで教えてあげなさいよ」と言いながら僕の前でしゃがむと天啓をくれた。
「今すぐ残りのステータスポアント25まで注ぎ込めばいいじゃない」
その手があったか!!と僕は彼女の妙案に乗っかりステータスポイントをTEC(技量値)に振り込んでいくのだった。




