それ、誉め言葉じゃないよ?
やっほー。みんなー。
りせた。だよー。
元気してるー?
ちょっと前にさ、友人のためのエッセイ書いたんだけど。対人関係の話。
先日、その友人と……肉を、食ってきたんだよね。
肉は、美味しいからねぇ……。
……で、さ。
その、悩んでた仕事を、ついに辞めたってことで、呼ばれたんよね。
肉を、食おう……ってさ。
話の内容は、電話やらLINEやらでは、一応ざっくり聞いてたんだが。
対面だったからね、しっかり話をしたんだよな。
「ほんと、人間関係って大事だよ。先輩に『君とは合わないな』って言われたの、結構きつかったわ……」
と、やはり彼は、そう言っていた。
以下、仮にKと表記することにしよう。
筆者は、問題提示と解決型の会話をするため……
「てかさ。転職するって話された段階で、その仕事、Kには合わんだろうからやめといた方がいいって言ったやん? でも、『やる気あるから大丈夫!』って、言ってたろ?」
という感じで返していくことになる。
「うん。あの時はそういうつもりだった。でも、先輩がさぁ……。ほんと、会話がないのは辛いわ……。会話のある仕事がよかった。相性ってあるよなー」
Kは、やれやれといった様子だった。
「てかさ。工場勤務と営業では、そもそも生きてきた世界が違うんだから、いきなり合うわけないだろ。相性以前の話だわ。価値観やら視点が違いすぎる。そう思ってたから一旦反対したわけさ。でも、そのやる気というものに、賭けるのもありか? とも思ったから、あの時はあれ以上言わんかったけど。やっぱり予想通りだったなぁ」
だが、こちらの方がやれやれなのである。
「うん。やる気だけでは無理だったわ」
「そらそーやろ。コミュニケーション取ろうにも、使う言葉が違いすぎるわさ。……てかよ。あの仕事、Hの紹介なんやろ?」
Hとは、筆者の元同僚だ。とある事情で、高校時代の友人Kに紹介した経緯があった。ちなみに今は、筆者とHは、別の仕事をしている。
「そうそう。Hさんとはこの前も飲んだんやけどさ。辞めたって報告した。そしたらまた仕事紹介してくれるって言ってた」
「いや、まず、そこがアカンわ。そもそも、Hは、Kの事情や能力を考えて仕事紹介してねーから。あれは、アイツの営業としての都合だけで紹介してるわけだからよ。商売上、自分の株を上げるためって感じだわ」
「あー……。入ってくれたら顔が立つ……とか言ってたな」
「せやろ? アイツは口上手いからよ。Kはいいように騙されるぞ? 上手い話を振られたら、それは信じんほうがいい。そもそもの発端は、Kがアイツの営業断ってからやんな。そういうことやわ」
「でもさ、この前は奢ってくれたぞ?」
「それ、そのうち回収するつもりやと思うぞ。そもそもひとに奢るタイプじゃないからな、アイツ。Kが金稼いだら、契約取れるとか、そんな感じよ」
「あー……。出世払い的なこと言ってたかも……」
「とにかく。アイツに仕事紹介してもらうのは、もうやめとけ。自分が出来ることってのを、まず考えてみるのが大事だろ。給料だけ見ても、続かんときはあるからなー」
「出来ることかぁー。俺、成長志向はあるからさぁ。Hさんにも、それがあればイケルって仕事紹介してもらったんやけどな……」
「いや、成長志向自体は、いいことなんやけどさ。それ、階段状なんよ。積み上げが大事なんよ。スポーツだって、反復練習しながら、段階的に新しいこと覚えるだろ? いきなり難しすぎることなんて出来んて。今回は、そこのギャップで、先輩に見限られたわけだわ。まずは自分の立ち位置、足下みないと。そこから成長したい方向を見定める感じでやらんとよ。世間で言うところの、キャリア形成って、そんな感じやと思うぞ」
「ふーむ。出来ること……。だったら、また工場しかないってこと……? んー……工場はなぁ……」
「工場の何が嫌なんかは知らんけどさ。工場勤務だって、技術向上とか頑張ったり、出世して管理職になったりして、めっちゃ稼いでるひとおるからな?」
「そうなんやー」
「だから、そういうスキルアップをしっかり考えながら転職するってのが大事らしいぞ? オレも何も考えてなかったから、苦労しとるんよ」
「そっかー。でもさ。先輩に、『K君はとても年相応に思えない。若そうに見える』って言われたからさ。まだ23です! って言ったらさ、ワンチャンあるかな? 可愛がってもらえるくない?」
「……いやまて。それ、誉め言葉として言ってないと思うぞ?」
「え? どゆこと? 若いっていいことじゃないの?」
「あー……。んとな。前さ。結構歳の、おばちゃんがさ。『○○さん、すごい若く見えるけど。実は○○歳らしいよ? びっくりじゃない? よっぽど苦労してこなかったんだろうねー』って、言ってたことがあるんだ。Kが言われたような場面で使われるってことはさ、そういう意味なんだよ。要するに、実年齢に対して中身がない……って意味だ。全然喜ばしくない言葉だな。むしろ貶されてる感じ」
「え、まじか」
「いや、散々嫌味言われてるって言ってただろ? そのひとが、そういうこと言ったなら、そういう意味でしかないだろ」
「そっかー……。確かに、『新卒くらいにしか思えない』って言われたけど……。そういう意味なんかぁ……」
「見た目が若いってのは、プラスに思えるかもだけど。必ずしもそうじゃない場合もあるさ。いわゆる、『貫禄がない』とかでさ。信頼性がない的に思われることもあるな。結局、年齢を重ねるのであれば、中身がしっかり成長してないとダメってこった。それが成長志向って話だろ? ……てか、会社で歳サバよむなよな」
「なるほどなー。そっかぁー。え、じゃあ、俺どうしたらいいの?」
「とりあえず、転職アプリとか、エージェントとか、いくつか登録して、色々見たり話聞いたりしてみな。オレも別にプロじゃないからよ」
「ん。わかった。やってみるわ」
「てかさ。前回、あんまり強くも詳しくも言わんかったやろ?」
「うん」
「あれ、なんでか分かる?」
「え? なんやろ? 俺が頑張るって言ったから?」
「おん。もちろんそれもある。ワンチャンやる気だけで何とかなることもあるかも? って思ったのもあるけど。そもそも、こういう話、偉そうだからしたくないってのもあるんよ。Kは部下ってわけじゃないんやしよ。それにまぁ、失敗したとしても、ある意味それでいいかなって思ってたのもある」
「ん? どゆこと?」
「失敗したからこそ、今こうしてちゃんと話聞く気になってるだろ?」
「あー」
「あの時は、Hの話に乗せられて、それしか見えなくなってたろうからな。一度痛い目見たほうが、体感もあるし、入りやすかろうってな」
「うん。まぁ、勉強にはなったかなー。だから後悔はしてない」
「……それがどういう意味の勉強か、ってのが重要だけどなー」
「人間関係って、大事やなって」
「おおん……。それは、うん。そやな……。ま、頑張れ」
そうして、安っいステーキ屋を出た。
頑張れ。




