大ふへん者
やふーい。
みんなげんきー?
りせた。だよー。
この前、面接行ったらさ。
「レジュメには資格取得って書いてありますけど、履歴書には書いてないですね。資格、ないのですか?」
って言われたんよね。三人いた、中央の面接官に。中々の眼光だった。
「あ、今回の応募には関連性のない資格ですので、省きました」
と、返した。
まぁ、本当のところは、いつ取得したか覚えてなかったから、書かなかったんよな。
二度目の高校の時ではあるんだけど。証書とか家にあるんだかどうだかすら、覚えてなくてさ。中々に不便な脳であるよ。あいまいみー。
しかし、この場は誤魔化すのだ。面接だから。
「いや、正確に能力を把握したいので、記載しておいてもらわないと」
下から睨むような視線に射抜かれた。咄嗟に脳の回転速度を上げる。
「はい、仰る通りですね。申し訳ありません」
これ以上は、よくない。と、秒速で苦笑いを浮かべて頭を下げ、謝意を伝えると。
「もし、採用となった時は、証書の提示は可能ですか?」
左の面接官から、追加質問がきた。ひとのよさそうな笑顔だった。助け船だろうか。
「はい。母校に問い合わせしてでも」
記憶を検索しても、在処が分からない。なので、最悪のケースを想定して答えたのだった。
終始和やかなムード……とはいかなかったけど。
左の面接官は、その後も『もし、他の職種を打診したらどうでしょうか?』なんて、色々と聞いてきてくれた。
おそらく、あのひとだけは気に入ってくれたのだろう。プッシュしてくれるといいけど。
まぁ……右のひとは、置物のようだったし、中央のひとは腕組んでたから微妙かなぁ。左のひとの権力の方が他ふたりより低そうだったし、次に備えた方がよさげであるな。ふへぇ……。
……そして、数日後。
別企業の面接に備えて、履歴書、職務経歴書を作成している時に、思い出したのだ。『あ、資格ちゃんと載せるか』と。
——しかし。
筆者は、整理整頓がクソほど苦手だ。
そして、一軒家ソロ暮らしである。生活は、不便でしょうがない。
そう。まさに、前田慶次郎利益さんもびっくりの、大ふへん者なのだ。
「どこやったかなー……」
とぼとぼと、重い足取りで、二階へ向かう。あるとしたら、一階の納戸か、二階のウォークインクローゼットのはず。
一階には、見当たらない気がした。多分だが。
扉が年中開け放たれたままのウォークインクローゼットは、最早物置である。
確か、この辺りに……学校通ってた時の教科書とかあったような……?
ぼやっと全体を見渡して、溜息をひとつ。
え? 服? それは、違うところにぶら下がってたり、積まれてたりするぜ? それがなにか。
ゴソゴソガサガサ、探していると。
「お? これか?」
母校の、文集兼情報誌を発見した。
あの学校は、春頃に作文大会がある。生活体験作文というものだ。書いたものはクラスで発表し、代表を決めて、全校大会に臨むという、ちょっと面倒なイベントである。全校大会優勝者は、県大会的なところへ進むそうな。
その全員分の作文と、その年の資格試験合格者、部活動報告なんかがみっちり載っている冊子である。どうやら、ちゃんと取っておいてあったようだ。
……と、いうより。むしろ捨てないからな、なにも。
「確か、二年生の時だっけか……?」
巻末近くのページを、パラパラとめくる。
「お、これやな」
試験日と、合格者名一覧を発見した。
PCの前に戻って、履歴書にデータを入力する。
「なんか、懐かしいなぁ……」
並んでいる数々の名前を見て、楽しかった過去の映像が、脳裏に浮かんだ。
「そういえば、一年の時に取った資格ってなんだっけな……」
もう一度、冊子を探しに行った。
「えっとー……」
冊子を発見したその下にあった段ボールを開けると、テキストや教科書の山だった。
箱を引っ張り出して、中身をごそっと出す。
ハラリと教科書たちの隙間から紙片が落ちた。
拾い上げる。
美ら海水族館のガイドMAPだ。沖縄、よかったよなぁ……。
修学旅行も二年生だったな。
「あ、そういえば……」
あの時、どんな作文書いてたんだっけ。
確か、二年生の時は、論文調で書いてみようとか思い付いて書いてみたんだったよな。
「えーっと、二年生……二年生……。あれ? ないなぁ……? なんでだ?」
二年の場所を見返しても、自作は何故か載っていなかった。
目次を見返すと……。
筆者は、全校大会で発表していたので、巻頭の方に掲載されていたのだった。
「お、あったあった。えっと……」
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【いつの日にか】
2年 りせた。
人間は、無価値である。なぜなら人間というものは……
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吹いた。
筆者は、大不変者だった。
これは酷い。




