190 卒業と入学
卒業と入学
ついに、きららも高校を卒業です。
卒業式には、おとうさんとおかあさんが出席しました。
ジイジとバアバは学園の理事長をやっているので、保護者側ではなく学校側の関係者なので、「出席」と言えるのかどうか ・・・
ゆたかは新しいアメリカ企業大型物件の件で、きららの卒業式に出席できません。
保護者が出席し易い様に土曜日が卒業式だったようですが、その土曜日に出勤だったのです。
この間、原宿の設計事務所との打ち合わせに行って、この物件の打ち合わせに出席しなかったので、今回出席する事になったのです。
この物件の会社のまとめ役である役員は、今回は欠席です。
娘のきららの卒業式に出席するからです。
ゆたかとは会社での立場が違います。
悔しかったら「偉くなれ!」という事でしょうか ・・・ ?
ナオミは、誰も居なくなってしまったので、三人の子供の面倒をみなければいけないので欠席です。
原宿のカフェの上の保育園という手もあったのですが、まあ、親ですから、仕方がありません。
ところで ・・・
近頃は、小学校の卒業式に「袴」を履かせる事が流行っているようです。
殆どの学校は、「お子さんの袴は度遠慮下さい。」と保護者に通達しています。
実際は、通達を守らないどころか、袴をはいた子供が出席して、そしてトイレに行って、慣れない袴をグチャグチャにしてしまう事があるそうです。
通達を無視して勝手な事をしておいて、「着ているものの面倒をみてくれなかった」と、教師や学校に対して逆切れして文句を言う親が沢山いるそうです。
小学校を卒業する年齢の子供です。
自分の着ているものを直せない様な状況を作ったのは、親の責任でしかありません。
学園の小学校の理事長はバアバです。
「決まりごと」に対しては厳格です。
当然、「袴禁止」の通達を出しました。
「ご遠慮 ・・・ 」ではありません。
「禁止」です。
この学園は、良家のお坊ちゃま、お嬢ちゃまが通う、トップクラスの学校なのです。
通達を守らない様な保護者は、子供と一緒に卒業式に出られません、いや、出席させません。
「ルールを守れない」ことが、大っ嫌いなバアバが理事長なのです。
当然、「通達」を見て、文句を言ってきた保護者がいました。
でも、相手は理事長なのです。
経済界のお偉方でも、政治家でも、黙らすことが出来る人なのです。
文句を言ってきた保護者たちを集めて、バアバ、いや、理事長がこう言ったのです。
「この時期になって、学園をお辞めになるとは ・・・ 」
当然、大騒ぎになって、文句を言い出す親が続出です。
勝手に騒ぎ出した親達を理事長が黙らせます。
「うるさい! 決まり事も守れない様な親などは、子供にとって害悪でしかありません。」
「今日付けで ”退学” の手続きを取ります。」
一番騒いでいた一人の母親が言いました。
「横暴だわ! 訴えてやる。」
バアバ、いや、理事長が平然と答えます。
「○○さんですね。 入学の時の誓約書はお持ちですか? 学校での制服については、学校側の規定に従うと ”署名捺印” をしていますよね。」
何人でも、人の顔と名前を覚えることが出来る理事長です。
名前と顔を知っている事にビビった○○さんですが、食い下がります。
「そ、そんなものはもう、どこかにいってしまったわ。」
理事長は平然と答えます。
「大丈夫です。 ”誓約書” の原本は、学校側で保管していますから。」
契約等の書類の大切さを熟知している理事長です。
そこいらの人間が勝てる相手ではありません。
「お子さんの為に卒業はさせますが、式への出席は ”あなた方次第” です。 当然、中等部への入学はありません。」
学園の小学校は卒業出来るのでしょうが、卒業式の出席は叶いません。
まして、決まっていたと思った、学園の中学校への入学は取り消しという事にされてしまうのです。
「私立」なのです。
決められたルールがあるのです。
そのルールに納得して入学してきたのです。
そして、決められた制服があるのです。
その制服に憧れて、この学園を選ぶ子供も多くいるのです。
他にも私立校はありますし、公立校もあるのです。
保護者は、無理にこの学園を選ばなくても良いのです。
人数が減っても、学園は成り立ちます。
そんじょ其処らの私立学校ではありません。
何処から所得を得ているのか定かではない、ジイジとバアバが理事長をやっているのです。
と、 ・・・ 卒業式にはそんなこんながあって、直ぐに入学式です。
きららは、今度は大学の入学式です。
入学式には、今度もおとうさんとおかあさんが出席しました。
ジイジとバアバは学園の理事長をやっていて、学園の入学式と日程が重なって、きららの入学式には出席出来ませんでした。
ゆたかは、またまた、新しいアメリカ企業大型物件の下打ち合わせで、出席は叶いません。
自分の卒業した大学に、久し振りに行きたかったのですが、残念でした。
今回も、保護者が出席し易い様に土曜日が入学式だったようですが、その土曜日に出勤だったのです。
「おとうさんの策略か?」とゆたかが疑ったかどうかは分かりません ・・・ ?
ナオミも、また、誰も居なくなってしまったので、三人の子供の面倒をみなければいけないので欠席です。
夫のゆたかが卒業した大学に行ってみたかったのですが、諦めました。
今回も、原宿のカフェの上の保育園という手もあったのですが、まあ、親ですから、仕方がありません。
それに、ゆたかと一緒に行きたかったのです。
きららの卒業式と入学式の時の、おとうさんとおかあさんです。
まず、卒業式。
二人して、泣いたそうです。
勿論、嬉しくてです。
きららは、おかあさんが産んだ子供ではありませんが、おかあさんが妹の様に可愛がっていた魔女の娘さんなのです。
「立派に育てて見せる」と、墓前で約束したのです。
自分が産んだどの子供よりも、可愛がって育てました。
ただ、娘のヨーコや息子のゆたかの勉強については、本人に任せっきりだったので、きららの場合も同じでした。
その代わり、兄になったゆたかと、姉になったナオミが、一所懸命やってくれたのです。
でも、卒業式では感極まったのです。
一区切りがついたのです。
(まあ、お金しか出していないと言われそうですが ・・・ )
でもでも、直ぐに入学式だったのです。
また、おとうさんとおかあさんの二人が出席して、二人して泣いたのです。
帰って来たおとうさんとおかあさんにナオミは聞きました。
「どうだった?」
卒業式の時も、入学式の時も同じだったのです。
おとうさんもおかあさんも、思い出したように泣いてばかりで、「何が何だかわからない」 ・・・ それだけでした。
呆れるしかないナオミです。
「まあ大学の方は、そのうち、きららに連れて行ってもらおう」と思ったナオミだったのです。
でも、卒業式も入学式も、タイムリーに映像を見ていました。
ドローンを飛ばしたのです。
普通のドローンではありません。
結構、大型のドローンですが「小さくする魔法」で「蚊」ぐらいの大きさに小さくしたのです。
本来、大型のドローンですから、移動速度は速いのです。
そして、何より改良型です。
自宅でも、子供の様子を確認するのに使っています。
以前のものは「ブーン」と、それこそ蚊が鳴く様な音がしたのですが、発生する音と逆位相の音を発生させて「無音」にしたのです。
「ノイズキャンセラー」の応用です。
その位とお思いになる人もいると思いますが、気になる人は気になるのです。
特に蚊の飛んでいる音は、耳障りで気分が悪くなります。
特に自宅で使っていると、必ずニャンコのクロが反応します。
いくらナオミが注意しても、クロは「ブーンの音」が気に入らないのです。
何メーター離れていても、クロに掛かったら「敵」ではありません。
そして、鬱陶しい音のするドローンは、木端微塵に叩き潰されてしまいます。
クロが本性を現せば、「超大型の黒ヒョウ」になります。
因みに、ワンコのタロウが本性を現せば、もののけ姫の「山犬」以上の大きさの「山犬の化け物」に代わります。
ワンコのタロウもニャンコのクロも、戸隠神社の神様からの「授かりもの」なのです。
魔女は普通の宗教を信じる事はありませんが、天然・自然なのものには「神が宿る」と思っています。
「八百万の神様」 ・・・ 特定の神様は、信用出来ないからかもしれません。
さて ・・・
そんな訳で「無音仕様」のドローンを開発したのです。
大きさも小さく、速度も速く、航続距離も半端ではありません。
でも、人間には秘密です。
「兵器」として使用されたのでは敵いませんから ・・・
録画した映像は、卒業式と入学式が終わった「ある日曜日」に、リビングでお祝いをした時にも流されました。
家族全員です。
何故か、いつもは呼んでも来ないゆたかの姉のヨーコも旦那さんと来ています。
「新しく出来た妹」のきららですが、ヨーコはナオミと同じ様に大好きです。
弟よりも妹が欲しかったヨーコなのです。
その所為か、弟のゆたかには厳しく当たる事が多い様です。
ヨーコが結婚して家を出て行きましたが、会社が同じで、尚且つ、同じ本社勤務なのです。
現場勤務の時は、ヨーコと会う事も無かったのですが、設計部に移動になってしまいました。
設計事務所と打ち合わせの為に「外回り」をするのは、姉のヨーコに遭わない様にする為なのかもしれません。
リビングの大型テレビに映し出された、きららの卒業式と入学式の映像です。
基本的に、きららの映像が殆どです。
何故って、おかあさんは泣きっぱなしでしたし、おとうさんも涙をこらえた「しかめっ面」をしていたからです。
それに、卒業式の時も入学式の時も「映像的」には、着ているもの以外ほとんど変わりません。
おとうさんとおかあさんの映像は、見ていて、面白くも何ともありません。
本当に、着ているもので区別するしかありません。
きららは、卒業式は「制服」です。
入学式の時は、ナオミも一緒にお買い物に出掛けた時に買ってもらったスーツです。
おとうさんとおかあさんは ・・・ まあ、どうでもよいという事で ・・・
この映像を見たゆたかはこう思いました ・・・ 勿論、声に出しては言いません。
「俺の時には、二人とも来なかったよな ・・・ 」
この映像を見たヨーコはこう思いました ・・・ 勿論、声に出して言いました!
「私の時には二人とも来なかったわ。 私の本当の両親なのかしら?」




