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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
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191 入学後



入学後




そして、きららも大学に通い始めました。


始めは電車通学の予定でしたが、お兄ちゃんであるゆたかが「自転車通学」をしていたので、自分もそうしようかと考えていました。


そんな時、ジイジがきららに言いました。

「バイクで通学したらどうだい?」


実は、ジイジはバイクを持っているのです。

バイクと言っても「自転車」ではなく、「オートバイ」です。

自宅に持ってくると、邪魔ですし、バアバが良い顔をしないので、知り合いのバイク屋さんに預けてあるのです。


若い時にはお金がなくて、必要最小限の持ち物で我慢していたジイジですが、お金が手に入って、色々買ってしまいました。


ゆたかが大学の時に乗っていた自転車は「ロードレーサー」と言われた自転車で、車輪を外してバラせば、地下室でも何とかなりました。

でも、オートバイではそうはいきません。

そこで、知り合いのバイク屋さん ・・・ チョット趣味っぽい方のバイク屋さんに預けているのです。


整備と称して、そのバイク屋さんが乗ったり、ツーリングに行く事を許しているので、お安く預かって貰っているらしいのです。

でも、実際、何台のバイクを持っているのかは不明です。

ですから、益々バアバには知られたくないジイジなのです。


この家の子供は、18歳になると運転免許を取得するのですが、何故か「大型二輪」の免許も取らされるのです。

おとうさんやおかあさんの考えではありません。

ジイジが、上手い事を言って、そう仕向けたとしか思えません。

でも、教習所等の費用を出してくれるので、誰も文句は言いません。

きっとジイジは、孫たちと一緒にバイクのツーリングに行くのが夢なのかもしれません。



きらら。

「バイクって言っても、バイクは無いし、もしバイクがあっても大学の近くに駐車場が必要でしょう?」

真っ当な意見です。


ジイジが小さい声で言いました。

「バイクは有るんだ。 それに駐車場も何とかなる ・・・ 」


「え? 何だって?」

バアバです。

バアバは「地獄耳」です。


「ジイジ! お部屋でお話をしましょう。」

そうして、ジイジはバアバに連れて行かれてしまいました。



数時間が経ちました。

そして、「仕方がない」の顔をしたバアバと、バアバの後ろに隠れて「ピースサイン」を出したジイジが戻ってきたのです。

とても「曾孫がいる」ジイサンの感じではありません。


バアバ。

「きららが良ければ、バイク通学を認めても良いわ。 でも、雨はまだしも、嵐の様な危険な時は駄目よ!」


と、いつの間にか、きららはバイク通学をする方向になってしまいました。


きらら。

「大学にバイクを止める所なんてあるの?」


ゆたか。

「職員用の駐車場はある筈だけど、学生用は自転車置き場位だと思うよ。」


ジイジ。

「いや、知り合いの駐車場が近くにあるから、大丈夫なんだ。」


丁度、きららが通う大学の近くにそのバイク屋さんの知り合いの駐車場があるのです。



みんな、きららの通学方法で盛り上がっている時、お姉さんであるナオミは何も気にしていない感じです。

でも、一番気にしていたのはナオミなのです。

「公共交通機関」を利用するならまだしも、バイクなのです。

自転車ではなく、オートバイなのです。

顔は平静を装っていますが、心配でたまりません。

「ちょっと ・・・ 」

と言って、リビングからいなくなりました。



ナオミがお部屋に入ると、パソコンを立ち上げます。

キーボードなどを操作しなくても、目的の画面が表示されました。

魔法のパソコンなのです。

ただ、ナオミが使う時だけで、ゆたかが使うと普通のパソコンです。


「エアバックの魔法」のタイトルの画面です。


「エアバックの魔法」 ・・・ 一応利用可能な魔法です。

目に見えないバリアで囲って、戦車やミサイルでも相手にならないくらい強固に、魔法を掛けた相手を守る代物です。


ただ、ちょっと問題があります。

「作用反作用の法則」が働いてしまうのです。

詳しく説明すると、「ニュートンの運動第3法則」です。

「二つ物体が互いに力を及ぼし合う時、その力の大きさは等しく向きは反対で、常に同時に生じる」というものです。


逆に分からなくなりました。

つまり、強く押されると、押された分、反対側に弾き飛ばされてしまうのです。

今のままの魔法では、きららがオートバイに乗っている時に車に追突されると、車に追突された勢いのまま、きららは素っ飛んでしまうのです。

バリアに守られて怪我等はしないと思いますが、多分グルグル回って、気持ち悪くて吐いてしまうかもしれません。


ナオミ、悩みます。

自分の子供達にも「エアバックの魔法」を掛けています。

でも、子供達はナオミの近くにいるので、「自分に引き付けておく魔法」を使って、素っ飛んで行かない様にしているのです。

きららの場合は、どうして良いのか分かりません。



何か悩みながら居なくなったナオミを、気に掛けたていたのはゆたかです。

夫ですから、妻の状況には敏感です。

愛しているからです。


ゆたかが部屋の扉を器用に開けると、パソコンの前でナオミが悩んでいます。

何故って、ゆたかは両手に双子のももとさくらを抱っこしているのです。


ゆたかの後ろには、ワンコのタロウに跨ったゆういちとニャンコのクロがいます。

ニャンコのクロが先にいれば、扉を開けてくれたと思います。


双子をベビーサークルに寝かせると、ナオミの見ているパソコンの画面をのぞき込みました。

「俺も、大学の通学には自転車を使っていたけど、車に幅寄せされたことがあったんだ。」


「そ、そうなの? きららには電車通学をさせようかしら?」

ナオミは心配です。

ジイジもバアバも、そして、おとうさんもおかあさんも、誰もそんな心配をしていません。

まあ「魔女だから大丈夫」とかと思っているのかもしれません。


でも、魔女でも交通事故で亡くなる事もあるのです。

きららの本当のおかあさんは、交通事故で亡くなったのです。

何も対策を取らなければ、魔女と言えども人間と変わらないのです。



ゆたか。

「エアバックの魔法 ・・・ 良いんじゃない?」


ナオミ。

「でも、自動車なんかに追突されたら、弾け飛んじゃうわ ・・・ 怪我はしないけど ・・・ 」

「子供達にもこの魔法を掛けているけど、子供達は自分の近くにいるから、”自分に引き付けておく魔法” を使って、素っ飛んで行かない様にしているのよ。」


ゆたか。

「きららをオートバイに引き付けておいて ・・・ 」


ナオミ。

「 ・・・ おいて?」


ゆたか。

「オートバイを強くしちゃうって言うのは ・・・ 出来るかな?」


ナオミ。

「あるわよ。 ”防御の魔法”。 これをオートバイに掛けて、ぶつかってきた方を弾き飛ばしちゃうの。 戦車がぶつかっても、弾き飛ばすわよ。」

毎度、ナオミは過激です。


ゆたか、ちょっと呆れますが、まあ、いつもの事なので ・・・

「でも、ぶつかった時に、オートバイが倒れちゃうと大変だよね。」


ナオミ。

「それなら、良い魔法があるわ。 ”立ちコケ防止の魔法” 。」


ゆたか。

「何、それ?」


ナオミ。

「自転車に乗り始めた子供に使う魔法。」


ゆたか。

「へ~~、 そんな魔法も有るんだ?」


ナオミ。

「普段の立ちコケと緊急時の場合と、臨機応変に対応出来る様に魔法を改良しなきゃあ。」


可愛い妹の為に、兄と姉が知恵を絞ります ・・・ ?




色々な魔法を組み合わせるのには、「組み合わせる魔法」も必要なのです。

基本的に、魔法は「個別に機能する」ものなのです。

複数の魔法を同時に起動させるのは、普通は至難の業なのです。


それを可能にしたのがナオミです。

古い文献を調べつくして、複数の魔法を起動させる方法を探し出したのです。


でも、魔法ごとに構成している呪文が違います。

呪文の文字はいにしえの文字で、魔女達だけが使っていた文字なのです。


魔法は、一つ一つが独立して成り立っているのです。

普通に複数の魔法を掛けようとすると、呪文同士が反発しあいます。

呪文の文字は古代の文字で、それぞれに「意思」が宿っているのです。


因みに、他の魔女が作った魔法でも、使う事は可能です。

その魔法を作った魔女しか使えないと、自分の娘の魔女もその魔法が使えなくなってしまいます。

使い勝手の良い魔法や治癒の魔法などは、知り合いの魔女にも教えたりもします。

大昔の魔女は、お互いが作った魔法の「物々交換」などもしていたのです。



魔法は、呪文を文字で書いただけでは効力を発揮しません。

呪文の一文字、一文字に「念」を込めるのです。

そして、呪文の文字の一つ一つに魔力を吹き込むのです。


殆どの魔法は、魔法ごとに作った魔女が違います。

同じ文字であっても、違う魔女が念を込めて、呪文の文字それぞれに魔力を吹き込んで、それぞれの魔法を完成させているのです。

ですから、同じ魔女が作った魔法なら大丈夫なのですが、それぞれの魔法を違う魔女が作ったものの場合、複数の魔法を同時に掛けようとすると、呪文同士が反発しあうのです。


大昔の魔女は、「自分達」ではなく「自分」の為に魔法の呪文を考えたのです。

現代の魔女の様に、「お金があれば何とかなる」と言う様な安楽な生活ではありませんでした。

自分、そして自分の家族が生きるのに、精一杯だったのです。

将来、魔女同士が助け合って生きていくなどとは、考えもしない大昔の事なのですから ・・・



複数の魔法を掛ける事を可能にする魔法を作り出すのは、ナオミの得意とするところです。

呪文の文字を解析して、「相互に反発しあわない様にする魔法」の呪文を作り上げるのです。

「接続の魔法」と言われています。


ただ、同じ「接続の魔法」が全て魔法に共通なのではありません。

その都度、違う呪文の「接続の魔法」を用意しなければいけません。


その為に、魔法のパソコンがあるのです。

見た目は普通のパソコンなのですが、パソコン自体がナオミの意志を反映して起動するのです。



何でもアリのパソコンなのですが、「無駄なセキュリティ」は搭載していません。


当然、不正アクセスや、訳の分からないウイルスが送られてきますが、全てを返り討ちにします。

来るのを止めるのではなく、受け止めて攻撃しに行くのです。

外敵に対して、常に攻撃するシステムなのです。

まあ、「攻撃は最大の防御」なシステムです。


不正アクセス等が、色々なサーバーを経由していようが関係ありません。

「プロバイダーがどうの」なども関係ありません。

瞬時に相手を見つけ出し、叩き潰します。


「来た」のですから「道筋」は分かるのです。

人間では分からない「魔法のシステム」なのですから ・・・



まあ、一種のセキュリティと言えるのかもしれませんが、魔法の防御システムなのです。

「防御」と言うより「攻撃」が正しいのかもしれませんが、相手が攻めて来なければ、何もしません。

攻めてくるのは、味方ではなく、間違いなく敵なのです。


叩き潰すのは、ソフトだけでなく、ハードも叩き潰してしまいます。

スーパーコンピューターの様な、巨大なモノでも関係ありません。

完膚なきまでに周辺機器も含めてぶち壊します。


懲りずに、同じ様な不正アクセスや、訳の分からないウイルスが送られてくる場合もある様です。

同じ相手だと認識した場合は、送った人間自体を「消去」します。

他人の、それも魔女のテリトリーに入り込んでくる様な人間は「不要」と判断するのです。

魔女に「躊躇」はありません。






どんな訳か分かりませんが、そんな訳でお家にバイクが来る日になりました。

(オートバイって書くのが面倒臭くなったので「バイク」です ・・・ )


ジイジときららが、朝早くから出掛けて行きました。

でも、帰宅時間は午後の夕方です。



夕食前に、ジイジの運転で「二人乗り」で帰ってきました。

バイクは大型のアメリカンです。

二輪免許取得後の1年間の初心者期間は、二人乗りをすることができないので、きららは後ろのシートです。


夕食後のリビングでのコーヒータイムです。

帰りが遅くなったのは、ジイジの知り合いの教習所で、きららがバイクの練習をしていたからだそうです。

運動神経抜群のきららですから、バイクの運転も上手で、少し遠くまでツーリングもしたそうです。

話しの感じでは「二人乗り」ではなく、二台のバイクの様です。



でも、ナオミが気になったのは、きららが着ていたジャケットです。

「変わったデザインね?」


きらら、嬉しそうに ・・・

「ヘルメットとかと一緒に、ジイジに買ってもらったの。 CO2ボンベが付いていて、バイクから投げ出されると瞬時にエアバックが身体を守ってくれるんだって。」


ナオミ、微笑みながら ・・・

「そう。 良かったわね。」

でも、ナオミはこう思いました。

「私の魔法をバイクときららに掛けておけば、そのエアバックを使う時はないわね ・・・ 」




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