突然のイケメン登場に、キャパオーバーな私
今更ながら、異世界に来ているんだと実感していると、
「結衣、お菓子食べにゃいのかにゃ?」
チャールズ様が、そう言って顔を覗き込んできた。
「ほら、結衣の大好きにゃマカロンにゃ」
口元にマカロンを押し付けられ、仕方なくぱくりと頬張る。
「美味しい!」
思わず笑みが零れると、
「結衣は柑橘系の味が好きにゃから、ライムのマカロンにゃ」
にぱっと笑うチャールズ様の笑顔は、やっぱりチャチャを思い出す。
みかん色の毛色をした、茶トラのチャチャ。
チャールズ様のやんちゃな瞳は、いたずらっ子で、くりくりとした淡いグリーンの瞳を持つチャチャを彷彿とさせる。
「チャールズ様、何故……私の名前を知っているのですか?」
「にゃ? 結衣は僕を分からにゃいの?」
そう言って、寂しそうに呟くチャールズ様に、
(いや、だって……私、この世界に来たばかりだし……)
と思いながらも、「まさか……」という気持ちが脳裏をよぎる。
でも、チャチャは間違いなく、あの朝、冷たくなっていた。
しかし、目の前のやたらと「にゃ」をつけて話す少年には、初対面とは思えない懐かしさを感じていた。
私が戸惑いながらチャールズ様を見上げた、その時。
「チャールズ! 結衣がこっちの世界にいるって、本当か!」
ドアが勢いよく開き、淡いミルクティー色の柔らかそうな髪を、後ろだけ少し長めに伸ばしたイケメンが飛び込んできた。
「結衣、兄上にゃ」
チャールズ様がそう言うが早いか、
「結衣!」
低音イケボが私の名前を叫び、いきなり走り寄ってきて抱き締められた。
「え? ……えぇ!!」
思わず叫んだ私に、
「この匂いは……間違いなく結衣だ……」
そう呟き、さらにギュッと抱き締められた。
逞しい腕の中で、私はキャパオーバー寸前だった。
見上げたイケメンの瞳は、懐かしい金色をしている。
猫正宗によく似た、淡いミルクティー色の髪。
金色のアーモンド形の瞳が、ゆっくりと私を見下ろした。
目と目が合った瞬間、イケメンの破壊力に、完全に私の脳内は限界を迎えた。
「ぎゃー!! 兄上、いきなり抱き締めたりするから、結衣が失神しそうにゃ!!」
「なに? 結衣、結衣?」
慌てる二人の声を聞きながら、私は完全に意識を手放した。




