↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠艦隊――人類が敗走する宇宙に、オーケストラが響いた  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
94/228

最初に降りた子

冷域九からの第一便が霧生四へ到着したとき、保安主任の久住律は担架の数を先に数えた。七隻から降りた乗客のうち、治療を必要とする者が予定より多かった。病院区画の寝台が足りない。


「医療船へ回せますか」


看護師が訊く。律は航路の許可を確認し、灯標七の『冬星』へ連絡を取った。移送できる患者と、いま動かせない患者を医師に分けてもらう。


一番最初に降りたのは、小さな少年だった。手には紙で作った採掘機を握っている。少年は母親の所在を尋ねたが、名簿には『次便予定』としか書かれていなかった。


「ここで待てる?」


律が聞くと、少年は首を横に振った。彼は待合所の扉を離れず、やって来た人の顔を一つずつ見た。


律は同行してきた女性へ頼み、少年と一緒にいる人を探した。偶然にも、隣の艇から叔父が降りてきた。少年は紙の機械を握ったまま駆け寄った。


叔父は少年の小さな手を握り、最後まで列から離れなかった。


待合所の時計は遅れていた。律は直すよう手配した。戻ってくる時刻を聞かれる場所で、時計まで不正確であってはならなかった。


病院区画の医師は、重症者だけを優先するのではなく、短い処置で帰れる人も別の場所へ案内した。律は空いた通路に椅子を並べ、診察を待つ人の列を作った。子どもの叔父には、次便の情報を届ける方法を教えた。親族が一人見つかっても、残る家族の不安は消えない。律は叔父の名前を預かり、冷域九の指揮官へ伝える名簿に加えた。


待つ人を迎える場所には、たどり着いた人のための椅子も必要だ。律は床へ新しい線を引き、次便を待つ人の列を作った。係留口はまだ明るいままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。