二通の報告書
湊透の机へ、霧生四から二通の報告書が届いた。
一通は真珠艦隊の出現記録。もう一通は、輸送船団『星渡』の帰着と補給に関する記録だった。透は二つを別の保存箱へ入れた。
真珠艦隊の報告には、楽器の種類について異なる証言が並んでいる。以前の灯標七と似た点はあるが、同じ現象だと証明する材料はまだ足りない。出現も消失も、機器によって時刻が違っていた。
「同じ艦隊だったと思いますか」
若い職員が聞いた。
「似ていると思う。ただ、似ているだけだ」
透は答えた。
もう一通には、船団の負傷者、故障した機器、足りなかった燃料、港で補った水の量が細かく記されている。こちらは次の便の準備に直接使える数字だった。
透は護衛艦『芦月』へ、真珠艦隊の資料とともに補給港の現状を送った。音楽の謎はまだ解けない。それでも船を動かす人には、使える給水口の数が必要だった。
夜、返ってきた受領通知には『記録ありがとう。次の護衛に使う』とあった。透は机の横へ貼った。遠くで何かが起きても、人類の仕事が記録と連絡でつながっていることだけは確かだった。
報告の末尾には、霧生四の補給官から一枚の依頼が添えられていた。『交換用ろ過膜の到着時期を知りたい』。透の担当外だが、連絡先を探すことはできる。彼は物流局へ問い合わせ、まだ発送の見込みがないと知った。返事を遅らせても状況は変わらないため、そのまま伝えた。代わりに近隣港の在庫を確認する部署を紹介した。巨大な謎を調べる日にも、水を濾す膜を探す仕事はなくならなかった。
受領通知を送った篠宮は、補給の数字を確認し、新しい護衛計画を作り直した。透はその修正履歴も保存した。記録は使われてこそ意味がある。




