ゆがむ貨物番号
霧生四の入港管理室へ、船団『星渡』から不自然な貨物番号が送られてきた。
同じ箱が、三つの輸送船に積まれていることになっている。管理官の川瀬弥生は入力ミスを疑ったが、船長たちはそれぞれ現物を確認したと返した。
「輸送網が重複を起こしているのかもしれません」
通信係が言った。遠くの港が失われ、古い記録を別の場所で復元した結果かもしれない。
弥生は箱の中身を照会した。水再生装置の部品だった。三つあるなら助かる。しかし到着してみなければ、どれが使えるか分からない。
彼女は部品数を一個として計算し直した。期待した分を最初から数に入れれば、後で足りなくなったとき誰かの水がなくなる。
夕刻、船団から赤い光の目撃情報が届いた。航路士の浅海朔が、距離不明と付け加える。霧生四の監視装置には何も映っていない。
弥生は迎えの曳航艇を準備させ、同時に港の給水量を抑えた。備えることと、慌てることは違う。
貨物番号の照合には、古い配送網を知る民間職員が協力した。かつて荷物を三つの港へ分散したとき、同一番号の写しをそれぞれ発行していたという。記録の重複は大きな事故ではないかもしれない。だが今の管理簿では、本物が三つあるように見える。弥生は過去の処理方法をメモし、到着時に箱の封印を照合する手順を決めた。今夜分からなかったことが、明日からの作業を止めないようにするためだった。
受け入れ担当者には、箱の開封時に二人で番号を確認するよう伝えた。忙しいときほど、一人の思い込みが大きな不足につながる。
夜の管理室に残ったのは、重複した三つの番号と、未確認の赤い目撃談だった。弥生はどちらの欄にも、まだ確定印を押さなかった。




