↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠艦隊――人類が敗走する宇宙に、オーケストラが響いた  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/228

誰のための警報

灯標七の外縁警報は、夜の配給時間に鳴り始めた。


最初の一報は赤色未同定群の可能性。次の一報では距離不明。三報目には誤観測の疑いが付いた。倉科澪は放送室に入り、避難命令と注意喚起を別々に準備させた。


早く避難させれば混乱が起こる。遅れれば取り返しがつかない。彼女は観測室からの確証を待ちながら、病院船だけ先に移動できるよう手配した。


廊下では人々が配給皿を手に立ち止まっている。子どもたちは大人の顔を見ていた。


「現時点では港の機能を維持します」


澪の声が通路へ流れた。曖昧な安心は口にしなかった。


外側の監視艇が警報原因を特定した。赤い反応ではなく、損傷した輸送艇が不規則な光を反射していたらしい。ただし、その先の宙域に赤がないと証明されたわけではない。


澪は警報を解除し、監視を続けるよう命じた。配給所では冷めた食事が配り直された。


仕事に戻る途中、澪は管制室の新人に言った。


「誤報を恥じなくていい。ただ、次も確かめることを忘れないで」


警報が鳴る前、食堂の係は配給を終えて休もうとしていた。解除後、皿を並べ直すため再び厨房に立った。澪はそのことを聞き、余っていた補助職員を食堂へ送った。軍の監視網には表示されないが、警報を鳴らすたびに誰かの労働が増える。誤報を減らすことも、解除を早めることも重要だった。ただ、危険の知らせを遅らせてはいけない。その矛盾を職員たちが一人で背負わないよう、澪は勤務表に支援枠を追加した。


新人はうなずき、記録の確認を始めた。警報は人を怖がらせるためではなく、人を動かすためのものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。