↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠艦隊――人類が敗走する宇宙に、オーケストラが響いた  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/192

星系を越える不一致

湊透は、三つの星系から届いた真珠艦隊の目撃報告を読み比べた。


同じ時刻を示す記録がある。だが艦影の数も、音楽が続いた長さも違った。互いに遠い場所で同時に現れたのか、時計のずれなのか、そもそも同じ現象なのか。


通信室では『艦隊が一つとは限らない』という意見まで出た。透はそれも仮説として保存した。人々が知りたいのは答えであり、正直な空欄ではない。それでも空欄を無理に埋めれば、航路の判断が狂う。


「出現予測は作れそうですか」


上官が尋ねた。


「作れても、使わせるのは危険です。今の資料では当たる理由がありません」


上官は渋い顔で、予測表の公開を見送った。


透は報告した観測員たちに、音源の特定方法を尋ねる追加質問を送った。返事は一つずつ遅れて届く。ある者は『耳で聞いた』と記し、ある者は『機械の音だった』と書いた。


夜、通信室の若い職員が古い音声を再生していた。透は席へ戻るよう言い、仕事が終わったら自由に聴いていいと付け加えた。


別の観測所へ問い合わせると、古い時刻同期装置の交換が遅れていることが分かった。透は装置の誤差を補正してみたが、報告の不一致はすべて説明できなかった。それでも何件かは同時刻の記録として比較し直せる。小さな前進だった。透は各観測員へ、同期の方法と校正した日時を追加してもらった。答えが出ないからといって、調べる手順まで曖昧にする必要はない。通信室の夜は、地味な確認作業で明けていった。


彼自身もあの旋律が耳に残っていた。恐怖なのか懐かしさなのか分からない。分からないことを、彼は無理に名づけなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。