三つの未定
共同防衛評議会で、冷域九の第三便計画が再び議題に上がった。榊原千景は、護衛艦、輸送船、途中補給の三つを並べた表を壁へ映した。どの欄にも未定の印がある。
「このままでは何も決められない」
議員の声に、議長は分かっていることから決めようと応じた。瑞帆六は冷却器材の供給を続ける。霧生四は受け入れ区画を用意する。芦月は後方警戒を引き受けるが、速い護衛行動はできない。
千景は決定事項だけに印を付けた。『星渡』の改装船は試験前で、冷域九の七隻目も長距離を飛べない。計画はまだ全体として成立していない。
会議の終わりに、羽白からの最後の通信が資料として回った。誰も直接関係しないと切り捨てなかった。冷域九と同じことが、別の星でも起きている。
議会の廊下では、冷域九から避難した人の親族が集まっていた。千景は会議の結果を伝える担当者へ、未定の事項も省かず説明するよう頼んだ。護衛艦が一隻つくと聞けば、出航が決まったと思う人もいる。担当者は順に質問を受け、回答できないものを別の紙へ書いた。説明が終わっても誰も満足しなかったが、その場で誤った予定を広める人はいなかった。千景は議場に戻り、消し忘れた照明を落としてから、資料を次の担当者へ渡した。
冷域九へ送る次の通知には、支援を止めたとは書かれなかった。運行条件を検討している、と明記された。千景は文を短くし、必要な資料の請求先を最後に添えた。判断するための道を閉じないためだった。
千景は帰り際、航路の図を消さずに置いた。議決は次回へ持ち越されたが、支援を担う各港の仕事まで止めてよいわけではない。




