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真珠艦隊――人類が敗走する宇宙に、オーケストラが響いた  作者: 竜太郎


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六つの返答

霧生四へ向かう六隻の退避艇を、護衛艦『芦月』が後方から監視していた。篠宮航は航路を変えず、必要なときだけ通信を送るよう指示した。冷却器の制限がある艦にとって、急な加速は避けたかった。


「一隻から返信がありません」


白石が報告する。篠宮は時計を見た。通信の遅延が想定の範囲を少し超えている。


返信のない艇へ、短い確認信号を送る。しばらくして、乗員から声が返った。船内の医療装置が電力を多く使い、通信機が一時停止していたという。


「それなら大丈夫です」


通信士が安堵した。篠宮は頷かなかった。電力の不足は別の故障につながる。艇へ消費量を確認させ、霧生四に救急の準備を頼んだ。


赤い脈動が遠方でひとつ明滅する。白石は戦闘態勢を申請しかけ、測定距離が不確かだと気づいて踏みとどまった。


監視席の一つで警報灯が明滅した。篠宮は赤い反応と関係のない計器故障だと確認し、整備班へ連絡した。


戻ってきた通信士は、先ほどの遅延が短くなったことを報告した。篠宮は問題が解決したとは書かず、改善した条件だけを記録した。


医療装置の電力不足が判明すると、霧生四の病院から応急手順が送られた。白石は通信の順序を調整し、医師と艇の乗員が直接話せる時間を確保した。艇側では照明を一部落とし、医療機器を優先することになった。暗くなった客室で、不安がる子どもへ乗員が小さな灯を渡したという。篠宮はそれを聞き、必要な電力だけを残す方法を艦でも確かめさせた。


篠宮は全艇の位置を確かめた。六つの返答が揃っている。だからといって危険が消えたわけではない。彼らは帰着するまで、同じ速さで見張りを続けた。

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