七隻の帰還
最初の退避便だった七隻が、冷域九へ帰還した。傷ついた艇もあったが、航行不能になったものはない。津久井怜は乗員の疲労を確かめてから、再出航の準備を許可した。
「すぐ乗せれば日程を取り戻せます」
副官が言った。津久井はその表を見た。時間は確かに足りない。だが点検を省けば、今度こそ帰ってこない艇が出るかもしれない。
保守員の柴野誠が機体を調べ、一隻の冷却管に亀裂を見つけた。急いで直すか、その艇を留めておくか判断が必要だった。
「六隻で出せますか」
津久井が尋ねる。医療担当と輸送係が相談し、乗る人数を調整した。希望する全員を載せられないが、危険な状態の人を先に送ることはできる。
六隻の整備が終わる頃、乗客たちは小さな鞄を抱えて並び始めた。誰も出港口で大声を出さなかった。待っている人の顔を見れば、喜ぶことをためらう者もいる。
戻れない七隻目の艇には次便の部品を運ぶ役目が残った。整備員はできる修理だけを進め、無理な試運転を避けた。
運び出す予定の空気瓶は出発前に改めて数えられた。誰も余分な荷物を増やさないよう、津久井は重量表を確かめた。
修理中の一隻の操縦士は、自分たちだけ残ることを申し訳なく思っていた。津久井は整備員を連れてきて、冷却管の状態を一緒に説明した。無理に飛べば、乗る予定だった人たちごと失う恐れがある。操縦士は悔しそうに頷き、残っている人の荷物を運ぶのを手伝った。まだ飛べない艇にも、そこで働く乗員がいる。津久井は夜の当直表へ彼の名前を書き加えた。
津久井は一人ずつ乗員名を確かめ、最後に扉の封鎖状態を確認した。格納庫の向こうへ続く闇の中に、霧生四の座標を示す小さな光があった。




