↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠艦隊――人類が敗走する宇宙に、オーケストラが響いた  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
117/240

ここに残る人々

冷域九の津久井怜は、地下避難室の人々を次便へ案内する準備をしていた。全員を運べるだけの座席はない。第一便が戻っても、何人かはまた待つことになる。


「私は最後でいい」


年配の採掘員が言った。別の若者も同じことを口にした。津久井は感謝しながらも、その場で申し出を確定しなかった。


「まず健康状態を確かめます」


重い荷物を持てる人が健康とは限らない。地下の空気が薄くなれば、先に具合を悪くする人もいる。医療担当の判断を入れ、乗る順序を決めることにした。


待つ人々のため、食料と寝台を別の区画へ移した。退避艇の発着で格納庫が使えなくなっても、地下に残る場所を確保するためだった。


津久井は柴野誠へ、施設の鍵と物資の一覧をもう一度渡した。


「もし通信が切れたら」


「換気を優先し、無理に外へ出さない」


柴野が答える。


名簿の修正に時間がかかるたび、津久井は待つ人へ理由を説明した。秘密にしていると誤解されるより、少し遅れても確かな情報を渡したかった。


待機者への食事の配布も続けた。次の便を待つ間、腹を空かせる人が増えれば判断を誤る。津久井は台所にも当直を残した。


医療担当は高齢者だからといって一律に先へ載せる判断はしなかった。元気に歩ける人もいれば、若くても治療が必要な人がいる。津久井は個別に説明する時間を取り、家族が分かれる場合には次の連絡方法を渡した。人々の不満がすぐに消えるわけではない。それでも待つ理由を知らされないまま扉の外に残すことだけは避けたかった。


津久井は頷いた。人を送り出す指揮と、残る人を守る指揮は同じくらい難しい。格納庫の扉が開く音を聞きながら、彼は新しい乗客名簿を読み上げ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。