暗い貨物室
冷域九で無人補給器を受け取った柴野誠は、貨物室の明かりを落とした。電力節約のためではない。補給器の着陸灯が故障しており、外の誘導灯との区別がつかなくなっていた。
「自動で入ってきますか」
整備員が聞く。柴野は首を振った。最後の一メートルは、目視で誘導するしかない。
機体はゆっくり接近した。大きな荷物を積んでいるため反応が鈍い。足元の床が振動し、整備員たちは呼吸を止めた。
鈍い音を立てて機体が着地する。誰かが拍手しかけたが、柴野はまだ安全確認を終えていない。封鎖扉を閉め、外側の気圧を測定した。
異常がないと分かってから、彼は荷物を降ろすよう命じた。中には水、酸素、交換用の弁が入っている。数は少ないが、待っている人々へ分けられる量だった。
地下へ運ぶ途中、少女が箱を見つめた。
「これ、どこの人が送ってくれたの」
「霧生四だよ。まだ会ったことのない人たちだ」
柴野は答えた。少女は箱の取っ手を一緒に持った。
作業員は封印を外す前、容器の温度を測った。医療用の品を傷めないためだ。
荷室の床には、着陸時に漏れた冷却液が薄く広がっていた。柴野は子どもたちを近づけず、整備員に吸収材を配った。物資が着いた喜びで、別の事故を起こすわけにはいかない。霧生四の発送記録と箱の数が一致するかも確かめた。一つ不足していた箱は、機体の奥で固定具に引っかかっていただけだった。柴野は全部を運び出してから、受領したと返信した。
機体の到着で退避の道が開いたわけではない。けれど暗い貨物室から運び出された一つの容器が、地下室の空気を少し長く保てるようにした。




