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閃光の勇者  作者: バジルソース
第1章:小さき光よ、蒼星を目指せ
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第6話:ごく普通な学園生活 (1)




 枕が変わると寝付けなくなるとはよく言うが、僕はそう思わない。むしろ今寝ている枕のほうがぐっすり眠れる。

 ジェネレシア学園には寮がある。基本は申請制であり、アスガルスに家を持つ生徒は利用していないが、スカウトや推薦受験の生徒の大半は国外出身である。

 ちなみに僕とアルバも国外出身なので、男子寮を利用している。

 ジェネリシア学園の寮は2人部屋であり、相手は希望制。希望者がいない場合は学園が相性を考慮して決める。

 部屋の設備がかなり充実している。ベッドは綿でフカフカだし、トイレも水洗式、シャワールームや個人用倉庫だってある。

 

「ふあぁ、もう朝…」


 朝日もよく当たる場所だからか、いくら寝心地が良くても寝坊の心配はない。ちなみにアルバは起きる時間がバラバラなので、いつの間にか僕が目覚まし役になっていた。

 とりあえず寝室を出て洗面台に向かって歯を磨こう。


――――――――――――――――――――――


 寮棟の1階には食堂があり、朝食が配給され、いくつかのメニューのうち好きなのを貰える。ちなみに食堂は男子寮含めて3つ。メニューのレパートリーも豊富で、東方の料理である和食なんかもある。

 僕はベーコンと目玉焼きを挟んだサンドイッチとホットミルク、アルバはシャケおにぎり3つと水を受け取り、食堂の席で一緒に朝食をとっている。

 

「美味し〜」


「しっかり炊かれた米が使われるじぁねぇか。いいね〜」 

 

 お互い満足気。

 パンは耳まで柔らかいし、ベーコンもいい具合の焼き加減だ。

 ホットミルクも新鮮な牛乳が使われてるらしく、臭みが一切無い。

 

「さて、朝食も食べ終わったし。アルバ、そろそろ講義の準備しようか」


 ジェネレシア学園は約30の学科で分かれており、純剣術専攻科、純自然魔法専攻科、黒魔法召喚科…など様々。ちなみに僕とアルバは剣と魔法を学ぶ剣道魔道並行科に所属している。

 学科に所属しているとは言っても、希望すれば好きな講義を受けれる。その場合事前に申請する必要があり、そうしないと人数オーバーで受けれないことがある。

 

「相棒、最初の講義は初歩的な魔法講義だったよな、何を準備すれば良いんだ?」


「とりあえずノートと羽ペンだけで良かったはずだよ。教材とかは今日配布されるし」


 朝食を食べ終わった2人は、講義室へと向かった。

 講義室のまとまっている棟は学堂と呼ばれ、それが4つくらいある。1つの学堂でも沢山の講義室があるのに、改めて凄く広い。

 移動に大変ではと思いきや、この学園には転移門(ポータル)が設置されている。しかしこれから向かう所は男子寮の隣にあり、時間も余裕がある。学園探検も込みで徒歩で移動することにした。

 廊下を歩いて気付いたが、全員制服の彩色は同じだが、デザインが異なる。ネクタイやリボン、マントやローブなど、模様も異なる。アルバも和服仕様だし、制服はオーダーメイドのようだ。

 そして学堂に辿り着き、講義室に入室した。

 第1魔法講義室、魔法講義用の講義室のようで、席は段々式で80席あり、教卓の後に横3メートル縦6メートルくらいの大きな黒板が設置されている。

 席の指定はされていないため、とりあえず適当に座った。そしてアルバは僕の隣の席に付いた。

 生徒が全員集まった頃に、教師が入室した。

 白衣を着た赤茶色のオールバック、穏やかそうな若い男性は教卓に立って、講義を始める。

「始めまして。私は精霊学を担当するジーマ・ジャックだ。講義開始時間ぴったりに集まるとは、君たちは優秀な生徒のようだね」


 ジャック教授は咳払いをして、続ける。


「今回の講義は属性魔法の仕組みについてだ。君たちは魔法を当たり前に使うが、どんな仕組みで発動するのかは考えたことはあるかね?」

 

「まぁ、知っている人には退屈な講義に聞こえるだろうが、復習程度に聞いてくれていい。結論から言うと、属性魔法は精霊の力を借りている」

 

「精霊とは、自然の魔力が集まって自我を持った上位的存在であり、属性魔法を使う為に重要な存在である。魔法を使う為には彼らと契約する必要があるが、その方法は簡単。では炎の魔法を使う場合で説明しよう」

 

 教授が指を鳴らすと、チョークが浮かび、黒板に文字を書いた。


「1、炎の精霊を象徴する魔法陣を地面に描く。この魔法陣を描くことで精霊と簡単な意思疎通が取れる」


「2、魔法陣に立ち、魔力を流して精霊に祈る。祈りの文言は何でも良い、彼らは好奇心旺盛なため、祈りを捧げればすぐに応じる。精霊からの返信が来た時点で、もうすでに炎の魔法が使える」


 ここで生徒が1人手を挙げて、質問した。


「祈りの文言は本当に何でもいいのですか?」


「勿論何でも。力が欲しいとか、会話がしたいとかでも、精霊は応えてくれる。その時点で精霊と魂との回路が確立して、属性魔法が扱える」


「ではここで魔法の使用手順について説明しよう」


「1、使いたい属性の精霊を意識する。こうすることで使いたい属性を選択する。しかし、この魔法を使いたいって思うだけでも、属性は選択できる。意識することで、自分の魔力は炎の魔力へと変換される」


「この時点でも魔法は使えるが、9割の確率で暴発したりと使い勝手が悪い。属性の次は、どんな形にするか」


「2、覚えた魔法陣を思い描く。火炎球(ファイヤーボール)を例に説明しよう」


 教授は手を起点に、虚空に魔法陣を描いた。

 複雑な文字式が入り乱れる円形の図形が、仄かにオレンジ色の光が灯る。


「これは炎の球を構築する魔法陣であり、構築が完了したら、炎の魔力を流し込む。」


 魔法陣が火の灯された導火線の様に、徐々に光を帯びる。


「そしてここで発射をイメージするが、ここで発射すれば私が怒られるので止めておこう。」


 魔法陣が燃え尽きるように消滅した。


「しかし魔法陣をイメージで構築していたら、時間もかかるし、脳への負担が大きい。そこで活躍するのが、詠唱だ」


「実は魔法名はその魔法の魔法陣を文字にした物。唱えることで、魔法陣の構築がカットされる」

 

「等級の低い魔法なら、慣れようによっては唱えるだけで使用できる。ここで等級について」


 浮遊するチョークが、再び文字を描く。


「等級は初級、中級、上級、極級、超級、神級に分かれ、初級から等級が上がる」


「鍛錬すれば上級まで扱える。その先を極めた魔法が極級。常人の限界とされる等級であり、それを越えた先の等級が、超級。ここからが才能の領域だ。しかし私は、努力を積み重ねれば到達できる領域だと考えている、現に凡才である私もこの領域に到達できた」


「とはいえ神級は別だ。人で到達できた者は確認出来ていない。これは大規模な儀式でようやく使用できるかどうか、まさに神の領域だな。私も研究に携わっているが、未だに到達出来ない」


 教授は何処からか水を取り出して飲み、一呼吸置いた。

 質問は無いかと言わんばかりに、教授は周囲を見渡し始める。


「属性魔法の基礎的知識については以上だ。次は、魔法陣の効率的な構築方法について、実践を混ぜて説明しよう」




◎長いので要約

精霊・・・属性魔法を使う為に必要なエネルギー源。

     自身の魔力と精霊の魔力を交換することでえ

     る。

魔法陣・・魔力の使用用途を決める。記号や線の集まり

     であり、プログラミングで言うシステムコー 

     ドの様な物。

詠唱・・・魔法を使う為の最終段階。魔法名は魔法陣を 

     文字に圧縮した物であり、声に魔力を乗せて 

     唱えることで魔法陣構築を補助できる。

     無詠唱の場合だと複雑な魔法陣を正確に思い

     描く必要がある。

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