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閃光の勇者  作者: バジルソース
第1章:小さき光よ、蒼星を目指せ
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第11話:竜の武具


 午後の昼休憩に、教授から教えて貰った鑑定施設に寄った。昼食が終わった後だから、ついでにアルバも一緒に。

 

 「すみませーん、ここで武器の鑑定をしてくれると聞きました」


 購買所の隣に位置する鑑定所は、昔ギルドの施設で見たことのあるものだった。小洒落たカウンターの奥に、見たことのない道具や魔物の骨が乱雑に設置されている内装は異国情緒を感じさせる。


 「ああいらっしゃい。君たち新入生だね?」 

 

 部屋の奥から出てきたのは、身だしなみの整った中年の男性だった。こういう怪しげな内装の職員も奇妙な格好をしていると思ったが、意外と普通で驚いたのが懐かしい。


 (こういう異国情緒あるお店の雰囲気好きだな、なんだか冒険しているみたい)


 「すげぇなんだこの剣!刀もあるじゃねぇか!」

 

 鑑定所に入ってからアルバはずっとこの調子である。


 「気に入ってくれたようで嬉しいよ。どれも私のコレクションでね」


 「昔見たことある鑑定所もこんな感じでしたが、鑑定員の共通した趣味ですか?」


 疑問に思ったリトはそう質問する。


 「職業柄、魔法の道具が好きな人が多いからね。それに鑑定員の間では、こうして自慢のコレクションを飾ることが流行っているのさ」

 

 確かにどの道具も見たことが無い。頭がポストになっている鳥の入った檻や、小柄な竜の頭蓋、奇妙な紋様の入ったモーニングスターなど、変わった物ばかりだ。素人目でもその殆どが希少なものであることが分かる。


 「おっと、話がズレたね。用件は何かな?」


 「僕と彼の武器の鑑定をして欲しくて来ました」

 

 そう言ってリトは自分の武器を取り出す。 

 アルバはコレクションの刀に目を奪われているから、しばらくそのままにした方が良さそうだ。

 職員の人もご機嫌な様子でそれを眺めている。


 「ほお、これが君の武器か」


 職員は斉竜を手に取り、刀身を重点的に触れる。

 魔法の道具や武具には刻印(ルーン)と呼ばれる、文字化させた魔法陣が刻まれており、それが刻まれている道具は魔道具と呼ばれている。

 本来その刻印を正確に読み取るには、特殊な道具が必要であるが、優れた鑑定員は刻印に触れるだけで大体の効果と使われている素材を言い当てるという。

 真剣に武器を触る鑑定員は、しばらくして口を開く。


 「ほお、白魔力を宿した武器か。そしてこの質感…、やはり竜鋼(りゅうはがね)か」


 「竜鋼?」


 「竜の骨や鱗を、錬金術で鉄と混ぜ合わせた竜鉄(りゅうてつ)に、竜の息を吹きかけて鍛えた金属だね」

 

 予想通り竜の素材が使われた武器だった。しかもその内で上等な物のよう。


 「等級は2級といった所だろう。武器としての効果は、付与した属性に聖属性を加えることだね。属性を複数付与することもできるけど、その場合自分にかかる負荷が並ではないから気を付けなさい」


 等級は1〜4まであり、等級は3つの要素で決まる。

 1つは効果、これは刻印の質に作用され、高等級の魔法が刻まれていれば比例して高くなる。

 2つは素材、貯蔵できる魔力の量は素材に左右され、希少な素材であればその耐久は高くなる。

 3つは危険性、扱い次第で人にどれほど危害を加えるかにより、武器のであれば性能関係なく3級に分類される。

 この場合2級は、量産不可な遺物と同等な価値に当たり、冒険者でも所持している者が限られる。

 

 「2級…、まさかそんなに高いなんて」


 「性能はシンプルだが、使用されている素材を加味したからね」


 そう言って鑑定員はリトに武器を返す。

 まさか選別で渡された物がこんな高級品だったとは、リトは師匠に改めて感謝した。

 

 「それにしても聖竜の骨が使われている剣を持っているとは、まさか君はアイゼフ・フリートの弟子かい?」

 

 アイゼフ・フリート、それは師匠のフルネームだ。


 「師匠を知っているの!?」


 「もちろん、彼はこの国では『竜殺し』の異名で有名だったからね。一度彼の武器に触れたことがあるから、まさかと思ったが」

 

 思えばその話は初耳だった。師匠については、かつてアスガルスの兵長であったことと、リトの親代わりであったことしか知らない。そもそも師匠は自分のことを話したがらないから知りようもないが。


 「『竜殺し』!?オメェの師匠ってそんな強そうな人だったのかよ」

 

 ここで刀に夢中だったアルバが食いついてきた。


 「おっと、そういえば君の武器も鑑定するんだったね。早速武器を見せてくれないかな?」


 おうよ、と返事してアルバは自分の武器を差し出した。古びた鞘に収められた刀であり、巻き付けられている包帯には文字が無数に羅列している。

 鞘から出すと、紅い刀身が姿を見せた。 

 刀身の根元には文字が刻まれているが、東洋語だということ以外は分からない。

 その瞬間に鑑定員は絶句した。


 「こ、これは…。少し待ってなさい」


 そう言って鑑定員は奥の部屋へと消えて、しばらくして戻ってきた。


 「間違いない、これは1級魔道具だ」


 1級魔道具。それは特殊な例を除いた、魔道具の最高等級を意味する。個人所持している人間はごく少数であり、物にもよるが指輪一つで国宝に匹敵するほどの価値があるという。


 「1級!?なんでアルバそんなものを…?」


 「昔恩人が譲ってくれたんだ。これすげぇんだよ、いくら斬っても刃こぼれしねぇし。そういやおっちゃん、その刀に彫られてる文字って何て読むんだ?」

 

 「東の土地の言語で、『影楼(かげろう)』と彫られているね。登録されている魔道具にその名前があったから、まさかとは思ったよ」


 魔道具は基本的に、管理局と呼ばれる国家組織で登録されており、等級も振り分けている。鑑定員はその登録簿の殆どを記憶しているそうだ。


 「刻印の効果は、気配の誤魔化し、不意打ち攻撃の威力上昇、幻術の3つだね。性能もかなり高いから、学園内では使わないように」

 

 そう言ってアルバに刀を返した。

 思えば魔獣と戦っていた時も、魔獣はアルバが見えていなかった。おそらく幻術で視界を奪っていたのだろう。そしてその間の攻撃が不意打ちだったから、あれほどの切れ味を発揮したのだろう。

 ふとリトは、時計に目をやる。昼休憩も終わる頃だろうし、そろそろ戻らなければ。


 「今日はありがとうございました!」


 「私のコレクションが見たくなったら、いつでもおいで」

 

 そういった挨拶を交わし、リトとアルバは鑑定所を後にした。


 

◉魔道具の歴史

元々魔道具は、遺跡からの出土品であり、その全てが再現不可能な希少品だった。

しかし魔道具の核となる刻印(ルーン)が生まれたことでその価値は暴落し、現在では生活や冒険には欠かせないものとなっている。


⦿4級

最もありふれた魔道具。その全ては量産が確立しており、街のインフラなどの殆どはこれが使われている。


⦿3級

そこそこ価値のある魔道具。魔法の武具は性能関係なく3級以上に分類される。


⦿2級

量産の難しい高度な技術で作られた魔道具。他にも希少な素材で作られている物や、仕組みすら解明されていない魔道具が分類される。


⦿1級

非常に高い性能を誇る魔道具。その殆どは古代の遺物や製造方法の失われた物であり、性能も極めて高い。

また拘束具など、危険な魔道具もこれに該当する。


⦿????

英雄の活躍を称えるべく規定された等級。



⦿????????

極めて危険な魔道具。故に国家機密として扱われ、その存在は一般に秘匿されている。


⦿????

ソレは神の時代に存在した聖遺物。




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